離婚したら、一般的に元夫婦は別居して別々に暮らし始めるものです。
しかしまれに離婚後も「同居を継続する」ケースがあります。
今回は離婚後も同居を続けるメリットやデメリット、手続きの方法や注意点を解説しますので、離婚後も相手と同居を続けるか迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
1.離婚後に同居するメリット
離婚したからといって必ずしも別居する必要はありません。
同居を続けると以下のようなメリットがあります。
1-1.生活費が低く抑えられる
元夫婦が一緒に暮らせば、別々に暮らすより家賃や光熱費などの生活費を低く抑えられるでしょう。引越し費用も不要です。
すぐに引っ越して別居する資金がない場合、しばらく同居するメリットが大きくなるでしょう。
1-2.子どもが両親と一緒に暮らせる
小さい子どもがいる場合、両親そろった環境で育てたい方も少なくありません。
夫婦が離婚後も同居するなら、子どもは両親と一緒に暮らせるので、離婚によって与える影響を小さくできます。
親権者にならなかった親にとっても、子どもと一緒に生活して成長の様子を確かめられるのはメリットとなるでしょう。
1-3.各種の手当を受け取ることができる
離婚して「ひとり親」となったとき、所得が一定以下であれば児童扶養手当や医療費支援などの手当や補助を受けられます。
離婚後に相手と同居していても、きちんと「世帯分離」をしていれば手当や補助の対象になります。
2.離婚後に同居するデメリット
2-1.トラブルの可能性が高まる
離婚後に同居し続けると、相手の顔を見ながら生活しなければなりません。不仲になって離婚したご夫婦の場合、大きなストレスがかかるでしょう。喧嘩が頻繁に起こってトラブルになったら子どもにもかえって悪影響となる可能性があります。
2-2.「事実婚」「偽装離婚」とみなされる可能性がある
離婚後も同居していると「事実婚」として婚姻関係を継続しているとみなされたり、「偽装離婚」を疑われたりする可能性があります。
偽装離婚によって児童扶養手当などの給付金を受給したら、返還しなければなりません。
財産分与を行った後で偽装離婚を疑われると、高額な贈与税が課税されるリスクも発生します。
離婚後も同居するならきちんと「世帯分離」を行い家計も完全に分けて「事実婚」や「偽装離婚」とみなされないように慎重に対応しましょう。
3.離婚後に同居する場合の注意点
3-1.生活費や養育費について
離婚すると、元のパートナーへは「生活費(婚姻費用)」を請求できません。離婚前と生活形態が全く変わらなくても、基本的に自分の収入で生活しなければならないので注意が必要です。
ただし未成年の子どもの親権者になったときの「養育費」は請求できます。
3-2.親権を決めなければならない
離婚すると、子どもの親権者を「親のどちらか一方」に定めなければなりません。
離婚後に同居を継続してこれまで通りに両親が子どもと一緒に生活するとしても、どちらかを親権者にする必要があります。将来別居する際には親権者が子どもと一緒に暮らすことになるので、それを踏まえて慎重に親権者を決定しましょう。
4.離婚後に同居する際の手続き
4-1.生活費や養育費について取り決めをする
離婚後に同居するなら、必ず事前に生活費の分担方法や養育費についてきちんと取り決めましょう。合意した内容は必ず「書面」にしてください。
生活費の分担をあいまいにしておくと、「事実婚」や「偽装離婚」とみなされてしまうリスクが高くなります。
4-2.世帯分離する
次に「世帯分離」の手続きをしましょう。世帯分離とは、同じ住所に住んでいても住民票上の「世帯」を分ける手続きです。
世帯が別であれば元夫と元妻の収入が合算されません。収入の少ない側は各種手当を受け取りやすくなりますし、健康保険料、税金なども低くなる可能性があります。
世帯分離の手続きをしたいときには、役所で世帯分離届(住民異動届)を提出しましょう。
本人確認書類と印鑑などをもって役所へ行けば手続きができます。
離婚するときには夫婦間で取り決めておくべき事項がたくさんあります。迷ったときにはお気軽に弁護士までご相談ください。