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【不動産】昔つけられたままになっている抵当権登記の抹消

2020-06-30

事例

今年40歳になるAさんは、3年前に亡くなった父から、千葉県市原市にある2000㎡の土地を相続しました。幕張でサラリーマンをしているAさんにとって特に使い道もなかったのでそのまま放置していたところ、市原市の不動産業者から土地を売って欲しいと頼まれました。

使い道のない土地を持て余していたAさんは、まさに「渡りに舟」と思い、さっそく売却の話を進めようと思ったのですが、そこで問題が発覚しました。法務局に行って土地の全部事項証明書(登記簿謄本)を確認したところ、生前に父が土地を担保にお金を借りていたようで、Z興業株式会社を債権者とする2000万円の抵当権設定登記が昭和48年に設定されていました。

当時まだ生まれていなかったAさんにとって、抵当権設定登記がどのような経緯で土地に付けられたものなのか、全く分かりませんでしたが、不動産業者からは「抵当権を抹消してもらってからでないと、土地は買えません。」と言われています。

そこで、Aさんは、稲毛にあるZ興業株式会社の所在地のビルを訪ねてみたのですが、ビルには全く別のテナントが入っていてZ興業株式会社はありませんでした。

Aさんとしては何とかして抵当権設定登記を抹消して、土地を不動産業者に売りたいと思っています。

 

解決方法

何十年も前に不動産に設定された抵当権の登記がそのままになっているという事案は、ときどき見かけます。登記がそのまま残ってしまっている理由としては、借金を完済しないうちに貸主が倒産してしまった場合、借金を返済し終わったけれども登記を抹消するのを忘れてしまっていた場合、元々執行逃れなどを目的とする実体のない架空の登記であった場合などが考えられます。

 

消滅時効を援用して抵当権設定登記の抹消手続を請求する

通常のケースであれば、Aさんの場合、亡父が2000万円の借金を完済したという証拠(領収証)などが残っていれば、それを理由にZ興業株式会社に債権の消滅を主張して抵当権登記の抹消手続を請求することができます。しかし、大昔の借金完済の証拠が残っていることなどあまり期待できません。

このような場合には、消滅時効を主張して債権を消滅させることが考えられます。50年近く前の借金であれば、時効期間を過ぎていると考えてほぼ間違いないでしょう。消滅時効による債権の消滅を主張して抵当権登記の抹消手続を請求するのです。

X興業株式会社が応じない(協力してくれない)場合には、X興業株式会社を被告とする抵当権設定登記抹消登記請求の裁判を提起することになります。

ただし、この手続は、現在もX興業株式会社が存在している場合でなければできません。では、本件のようにX興業株式会社が存在していない場合はどのようにすればよいのでしょうか。

 

裁判所に特別代理人を選任してもらう

X興業株式会社を調査してもその存在が確認できず、実体がないことが明らかになった場合には、裁判所に抵当権設定登記抹消登記手続請求訴訟を提起すると同時に特別代理人選任命令の申立てをして、X興業株式会社の特別代理人を選任してもらうことになります。

通常、特別代理人には、千葉地方裁判所に候補者として登録している千葉県の弁護士が選任されます。なお、特別代理人の費用はAさんが負担する必要があります。通常10万円くらいです。

特別代理人となった弁護士が被告X興業株式会社のために訴訟行為をすることになりますが、余程の新事実が発見されない限りはAさんの勝訴判決が出ます。後は、判決書を使って抵当権設定登記の抹消手続をすればよいのです。

 

 

このように、昔つけられてそのままになっている抵当権の登記などは、債権者が存在しなくなっていても、裁判手続を利用することによって抹消することが可能です。

Aさんも抵当権設定登記の抹消登記手続を命じる判決をもらって無事に登記を抹消し、不動産業者に土地を売却することができました。

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