現代社会では、ほとんどの人がスマホやPCを使って情報検索しています。自社に関するネガティブな情報が拡散されてしまったら、企業の信用が大きく毀損されて損害が拡大するでしょう。
今回は企業がネットで風評被害を受けたときの対処方法をお伝えします。
ネット風評被害によるリスク
ネット風評被害とは、ネット掲示板や口コミサイト、SNSなどにおいて信用を毀損する投稿をされることです。いったんネガティブな投稿が行われるとTwitterなどのSNSを通じて情報が一気に拡散し、炎上してしまうケースも少なくありません。
企業がネット風評被害を受けると以下のようなリスクが発生します。
売上減少
企業の商品やサービスのイメージがダウンして売上が減少する事例が多々あります。
人材を集めにくくなる
採用活動によって優秀な人材を集めようとしても、求人に応募する人が減少して人材確保が難しくなる可能性があります。
信用の低下、株価の下落
企業に対する信用が大きく低下して、上場企業の場合には株価が下落するケースも少なくありません。
企業の場合、個人以上にネット誹謗中傷を放置すると多大な不利益が及ぶものです。早めの対処が肝心といえるでしょう。
削除請求
企業がネット上で誹謗中傷、風評被害を受けたときには、まずは削除請求を進めましょう。
問題となる投稿が残っていると、どんどん拡散されて多くの人の目に触れる可能性が高くなるからです。
サイトに対する直接請求
掲示板や口コミサイトやSNSなど、運営主体によっては投稿のガイドラインがもうけられていて、違反する投稿に対しては運営側が積極的に削除する対応をとっているものがあります。
そういったサイトであれば、まずは運営者へ報告し、任意の削除を求めましょう。
ただし削除請求者が法人の場合、削除の基準が厳しくなっており受け付けてもらえないケースも少なくありません。
裁判所で仮処分を申し立てる
サイト運営者へ報告しても削除を受け付けてもらえない場合には、裁判所へ削除の仮処分を申し立てましょう。
権利侵害や保全の必要性を説明できれば、裁判所からサイト運営者へ投稿の削除命令を出してもらえます。
なお削除されると不法な投稿の証拠が消えてしまうので、スクショを撮影するなどの方法により、自社で証拠をとっておく必要があります。
発信者情報開示請求
不法な投稿を消しただけでは、投稿者にとって痛手はありません。また同じような嫌がらせや名誉毀損の投稿が行われる可能性もあります。
再発を防止するには、投稿者を特定して二度と不法な投稿をしないよう、約束させるべきです。権利侵害の投稿によって企業側が被った損害について、賠償金の請求もできます。
ただネット上の投稿はほとんどのケースにおいて匿名で行われます。
損害賠償請求を行うには、投稿者本人を特定しなければなりません。そのため「発信者情報開示請求」を行う必要があります。
発信者情報開示請求の手順
まずはサイト運営者やプロバイダへ情報開示を求めましょう。任意に投稿者の情報の開示を受けられれば、労力をかけずに情報を取得できます。
任意開示を受けられない場合、裁判所へ仮処分や訴訟を申し立てる必要があります。
これらは非常に複雑で難しい手続きなので、弁護士に任せましょう。
損害賠償請求
投稿者の氏名や住所などの情報が判明したら、相手に損害賠償請求を行います。
具体的には慰謝料や売上低下分の損害、弁護士費用や調査にかかった費用などを請求できます。
相手と和解するときには、二度と御社に関する投稿をしないよう約束させて、違約金条項も定めておくとよいでしょう。
企業がネット誹謗中傷被害に遭ったら、早めの対応が肝心です。被害を拡大させる前に解決できれば、売上低下や信用毀損の程度も最小限に抑えられます。削除や発信者情報開示請求の裁判手続きは、弁護士までお任せください。