借金問題に悩まされて債務整理を検討しているなら、知っておいた方が良いことがいくつかあります。
安心して債務整理に取り組むために、押さえておくべき知識を専門家の視点から解説します。
1.債務整理の種類
現在広く利用されている債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産の3種類があります。
任意整理は債権者と直接交渉をして借金を減額する方法で、債務整理手続きの中でもっとも簡易です。
個人再生は裁判所に申立をして借金をより大きく減額してもらう方法で、複雑で専門的な手続きです。
自己破産は裁判所に申立をして借金を0にしてもらう方法で、やはり複雑で専門的です。
個々の債務者の状況によってどの債務整理手続きに向いているかが異なるので、まずは専門家に相談をして、最適な債務整理方法の選択をすることが重要です。
2.どこまで財産を残せるのか
債務整理をすると、財産を失うことを心配される方が多いです。
ただ自己破産以外の債務整理をしても、基本的に財産がなくなることはありません。
車のローン返済中に個人再生をすると車が失われるケースもありますが、それ以外であればだいたい手元に財産を残せます。住宅ローンがあっても任意整理なら家はなくなりませんし、個人再生でも「住宅資金特別条項」を利用すれば家は失われません。
自己破産をするときにも、現金であれば99万円まで財産を残せますし、それ以外の財産でも総額99万円分までは手元に残せる運用をしている裁判所が多いです。
また破産手続開始決定後に取得した財産は破産者の自由財産となるので、没収されることはありません。
3.財産隠しをするとどうなるのか
そうはいっても自己破産をすると一定以上の財産が失われることは事実です。また個人再生では財産はなくなりませんが、所有している財産の評価額以上の額を返済しなければならないので、財産が大きいと返済総額が増えてしまいます。
そこでこれらの手続きの際、財産隠しをしようとする方もいます。
しかし自己破産の際に財産隠しをすると、裁判所から選任された「破産管財人」が状況を調査するのでバレてしまいます。財産隠しが判明すると「免責不許可事由」となるので免責(借金が0になること)を受けられなくなるおそれがありますし、悪質な場合には「詐欺破産罪」といって、犯罪が成立してしまう可能性もあります。
個人再生の場合にも、財産隠しがバレると不正な方法で再生計画案が作成されたということになり、再生計画を認可してもらえなくなりますし、いったん認可されたとしても再生計画認可決定が取り消されてしまうケースもあります。また個人再生にも「詐欺再生罪」があるので、逮捕されてしまうリスクも存在します。
このように、債務整理をするとき、財産が惜しくても財産隠しをしてはいけません。
安全に債務整理を進めて借金問題を解決するために、弁護士までご相談ください。