いったん相続トラブルが発生してしまったら、解決するまでに3年や5年の長期間がかかってしまうケースも少なくありません。
人生の貴重な時間を無駄にしないためにも、できるだけ早く解決しましょう。
今回は相続トラブルを解決する方法を解説します。
1.遺産内容を開示し合う
遺産分割を行う際、まずは「どのような遺産があるのか」を明らかにしなければなりません。
「相手が財産を隠しているかもしれない」と疑問が生じると、トラブルのもとになります。
自分が把握している財産については、隠さずに開示して話し合いのテーブルに乗せましょう。相手が把握している預貯金などの財産についても、積極的に開示してもらう必要があります。
隠された遺産を調査する方法
そうはいっても、遺産を開示せずに隠そうとする相続人がいます。その場合、こちらが遺産内容を調べなければなりません。
金融機関や証券会社に問い合わせる
預貯金については金融機関に、株式や投資信託などの投資商品については証券会社へ問い合わせましょう。相続人である資料を示して申請すると、相続開始時の残高証明書や相続前後の取引明細書、預けている資産の明細などを開示してもらえます。
不動産については名寄せ帳を取得する
多くの不動産があって把握しきれない場合、役所で「名寄せ帳(固定資産税課税台帳)」を取得しましょう。その市町村における土地や建物がすべて記載されているので、詳細を把握できます。
弁護士に相談する
自分たちで遺産調査をするのが難しい場合には、弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、「弁護士法23条照会」という方法を使って効率的に遺産内容を把握できます。
2.できるだけ譲り合って話をする
遺産分割協議を行う際、それぞれの相続人がある程度譲り合いの気持ちを持って話し合うことがスムーズな遺産分割のコツです。自分の利益のみを優先すると、どうしても相手に悪い印象を与えて争いにつながります。
ただし相手が無茶な主張をしているなら、妥協する必要はありません。法的な権利は保障されているので、それを前提に相手の気分を害しないように話し合いを進めるのが理想です。
3.家庭裁判所で「遺産分割調停」を申し立てる
自分たちで話し合ってもどうしても合意できない場合には、家庭裁判所で「遺産分割調停」を申し立てましょう。
調停では、裁判所の「調停委員」が間に入って話し合いを仲介してくれます。
もめている相手と直接話さなくて良いので、クールダウンできて冷静な判断が可能となるでしょう。調停委員から解決案を提示してもらえるケースもよくあります。
弁護士に依頼する
ただし遺産分割調停は長期化することも多いので注意が必要です。相続人がたくさんいたら全員参加しなければなりませんし、それぞれが自分の主張をすると合意しにくくなるためです。
スムーズに解決するには、弁護士に依頼して交通整理するようお勧めします。弁護士がついていれば、調停委員を説得しやすいので調停を有利に進めやすいメリットもあります。また調停委員から解決案を提示されて受け入れるか迷ったときにも、弁護士のアドバイスを受ければ適切に判断できて損をせずに済むでしょう。
4.遺産分割審判で裁判官に遺産分割方法を決めてもらう
遺産分割調停を行っても解決できない場合、調停は不成立となって「遺産分割審判」となります。審判では、審判官(裁判官)が遺産分割方法を決定します。
審判では「法定相続分」が基準となるので、誰かが多めにもらうなどの柔軟な解決はできません。不動産について分け方が決まらない場合、「競売」になってしまう可能性もあります。
審判になると自分達の希望を通すのは難しくなるので、できれば調停までの段階で解決する方がよいでしょう。審判は最終手段を考えてください。
遺産相続トラブルを早期解決するには、弁護士によるサポートが非常に有益です。弁護士が代理で交渉したら、相手を説得できて調停をせずに合意できるケースも少なくありません。お困りの相続人の方がおられましたら、お気軽にご相談ください。