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【相続】民事信託を活用する具体例4選
遺産相続に備える方法としては「遺言」や「生前贈与」が有名ですが、最近では「民事信託」を利用する方法が注目されています。
今回は民事信託の基本や具体的な活用方法を4つご紹介しますので、高齢になったときの財産管理や死後の相続対策に関心のある方はぜひ参考にしてみてください。
1.民事信託とは
民事信託とは、委託者が受託者へ財産を預けて管理してもらうための信託契約で、営業を目的としないものです。
たとえば親が子どもへ財産を預けて、親の生前や死後に適切に管理してもらうケースが多数です。親が高齢になり認知症にかかって自分では財産管理が難しくなったとき、子どもが管理してくれると安心でしょう。親の死亡後には配偶者や別の子ども、孫などのために管理してもらうこともできます。
最終的な財産の帰属先も決められるので、死後に子どもに財産を帰属させれば財産を相続させるのと同じ結果になります。
民事信託は生前の財産管理から死後の遺産相続対策まで幅広く活用でき、非常に便利なため、近年では利用されるケースが広がってきています。
2.民事信託の設定方法
民事信託を利用するためには、以下の3者を定めて「信託契約」を締結しなければなりません。
委託者
財産を預ける人です。一般的には「親」が委託者となるケースが多数です。
受託者
財産を預かって管理する人です。子どもや孫、甥姪などの親族が受託者となるケースが多くみられます。
受益者
財産管理によって利益を受ける人です。第三者はもちろんのこと、委託者自身を受益者としてもかまいませんし、受益者の途中変更も可能です。
たとえば親の生前は親自身を受益者として、死後は子どもや孫などを受益者にするケースがよくあります。
3.民事信託の活用例4つ
民事信託の活用事例を4つ、ご紹介します。
認知症対策
親が年を取り認知症になってしまったら、自分で財産管理するのは難しくなるでしょう。
そんなとき、親が元気なうちに子どもと信託契約を締結して財産を預けておけば、事前に親が希望したとおりに財産を管理運用してもらえます。
たとえば自宅の不動産と預貯金を預けておけば親が認知症になった後、子どもが自宅にかかる固定資産税などの経費を払い、預貯金から生活費を支出するので親が安心して老後を過ごせるでしょう。
投資用の物件を預けて親自身を受益者としておけば、子どもに管理を任せて親が賃料を受け取れます。株式を預けて運用してもらうことも可能です。
障害のある子どもの生活を守る
障害のあるお子さまがおられる場合、親が死亡した後の子どもの生活が心配になるでしょう。そんなとき、民事信託を利用して信頼できる親族に財産を預ければ、親亡き後の子どもの生活が守られます。親の生前は親本人、死後は子どもを受益者として自宅や預貯金を管理してもらったら、子ども自身が生活費や医療費を管理できなくてもQOLを維持できるでしょう。
障害のあるお子さまにごきょうだいがおられる場合などに特に有効な方法です。
2代以上先の相続方法を指定
民事信託を利用すると、委託者の次の世代だけではなくさらに先の世代までの相続方法を指定できます。
たとえば「夫の次は妻、妻の次は長男」の順番で財産を受け継がせたり、「親の次は長男、長男の次は次男の子ども(孫)」へ財産を受け継がせるよう指定したりできます。
遺言の場合には、遺言者の次の世代までしか財産承継方法を指定できないので、その後は誰にどのような方法で承継されるかわかりません。
配偶者の親族へ財産を散逸させたくない方、長男に子どもがいない場合などに有効な方法となります。
事業承継
事業承継においても民事信託が利用されるケースがよくあります。
この場合、先代経営者が後継者候補者へ株式を委託して、先代経営者を受益者とします。
先代経営者に「指図権」を残しておけば信託契約後も先代経営者が株式の議決権を行使できますし、後継者候補者が経営者として不適任な場合には信託契約を解除して後継者を決め直せます。
民事信託にはさまざまな活用方法があり、遺言や後見制度では対応しにくいニーズにも柔軟に応えられます。関心のある方はお気軽にご相談ください。
【相続】相続人に未成年者がいるときの注意点
相続人の中に未成年者が含まれている場合、遺産分割協議を進める際に注意が必要です。
未成年者本人が署名押印した場合はもちろん、法定代理人である親が代理で署名押印した場合にも遺産分割協議書が無効になってしまう可能性があります。
今回は相続人に未成年者が含まれているときの正しい遺産分割方法について解説します。
1.未成年と親の利害関係が対立する
未成年者は単独で有効な法律行為ができません。
通常時には「法定代理人(親)」が代理で取引などを行います。
しかし親と子どもが両方とも相続人となるケースでは、親が子どもを代理できません。親と子どもの利害が対立してしまうからです。
たとえば父親が亡くなって母親と子どもが相続人となったケースを考えてみましょう。この場合、母親にしてみれば「子どもの相続分を減らせば自分の相続分が増える」ことになり、母親の利益が子どもの不利益となってしまいます。
公正な遺産分割を期待できなくなるので、こういった利害関係の対立するケースでは母親に子どもの代理権が認められません。
一方の利益が他方の不利益となって利害が対立することを法律的に「利益相反」といいます。
2.特別代理人の選任が必要
親と未成年の子どもが両方とも相続人となる場合、どのように遺産分割を進めたらよいのでしょうか?
この場合、家庭裁判所で「特別代理人」を選任しなければなりません。
特別代理人は利益相反などの事情で本来の代理人が本人を代理できないときに選任される代理人です。未成年者を代理して親とともに遺産分割協議に参加し、協議を成立させることができます。
子どもが複数いる場合
相続人となる子どもが複数いる場合には、子どもの人数分の特別代理人が必要です。
子ども同士の利害も対立するため、1人の特別代理人が子ども全員の代理を務めることはできません。
3.子どもが相続放棄する場合の特別代理人
借金が遺されたなどの事情で相続放棄する場合にも、特別代理人の選任が必要となる場面があります。
親が単純承認して遺産を相続し、子どもだけが相続放棄する場合です。こういった状況になると、親が子どもに相続放棄をさせて遺産を独り占めする可能性があり、子どもの利益が害されてしまうおそれが高くなるため、子どもの利益を守る特別代理人が必要です。
ただし親も子どもと一緒に相続放棄するなら子どもと利害が対立しないので、親自身が子どもの代理人として相続放棄できます。親が相続人ではなく子どものみが相続放棄する場合にも、親と子どもの利益相反が起こらないので親が法定代理人として相続放棄できます。
4.特別代理人が必要なケースと不要なケース
遺産相続が起こったとき、子どもの特別代理人が必要なケースと不要なケースをまとめると以下のとおりです。
特別代理人が必要なケース
- 親と子どもが両方とも相続人で、両方が遺産分割協議に参加するとき
- 親と子どもが両方とも相続人で、親が単純承認して子どもが相続放棄するとき
- 複数の子どもがいて、一部のみが相続放棄するとき
特別代理人が不要なケース
- 子どものみが相続人で親は相続人でないとき(離婚前の配偶者が死亡して子どもが相続人となったケースなど)
- 親も子どもも一緒に相続放棄するとき
5.特別代理人の選任方法
特別代理人は、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所で選任してもらいます。
必要書類
- 特別代理人選任申立書
- 未成年者と親権者の戸籍謄本
- 特別代理人候補者の住民票または戸籍の附票
- 遺産分割協議書の案
費用
収入印紙800円分と連絡用の郵便切手が必要です。
遺産分割協議の案を作成しておく必要がある
特別代理人の選任申立をする場合には、先に遺産分割協議の「案」を作成して家庭裁判所に適正と認めてもらわねばなりません。未成年者を不当に害する内容では特別代理人の選任が認められない可能性があるので、専門家の意見を聞いて作成しましょう。
当事務所では遺産相続のサポートに力を入れております。相続手続き全般の代行も可能ですので、千葉県にて相続人のお立場になられた方はお気軽にご相談ください。
【相続】遺産分割協議や調停に期限はあるの?
「遺産分割協議には期限があるのでしょうか?」
というご相談をお受けすることがよくあります。
遺産を相続したら、相続人同士で話し合って遺産分割をしなければなりません。
遺産分割そのものには期限がありませんが、早めに対応しないと不利益を受けるリスクが発生します。
今回は遺産分割協議や調停、審判の期限について解説しますので、相続人の立場になった方は参考にしてみてください。
1.遺産分割に期限はない
遺産分割は、どの相続人がどの遺産を相続するか決める手続きです。
話し合いによって分割する「遺産分割協議」、家庭裁判所の調停を利用する「遺産分割調停」、家庭裁判所の裁判官に遺産分割方法を決定してもらう「遺産分割審判」の3種類があります。
遺産分割自体に期限はありません。
相続開始後3年や5年、10年以上が経過した後でも遺産分割協議や調停を行って遺産分割できますし、相続登記や預貯金の名義変更も受け付けてもらえます。
ただし遺産分割が遅れると以下のようなさまざまなリスクが発生するので、できるだけ急いで遺産分割協議を進めましょう。
2.相続登記の期限や義務化
不動産を相続したら、「名義変更(相続登記)」しなければなりません。
2021年時点において相続登記には期限がありませんが、今後法改正によって期限が設定され義務化されることが決定しています。義務化後は、基本的に不動産の所有者となった日から3年以内に相続登記しなければなりません。期限に遅れると「過料」の制裁が適用される可能性もあります。
義務化前の現時点においても相続登記をせずに放置していると、他の相続人が勝手に共有登記にして表見的な持分を売却してしまうなどのトラブルに巻き込まれる可能性があります。
不動産が遺産に含まれているなら、早めに遺産分割を終えて相続登記しましょう。
3.相続税の期限について
相続税の申告や納税には「相続開始後10ヶ月以内」という期限があります。期限を過ぎると延滞税や無申告加算税などのペナルティが課される可能性があるので、必ず期限内に申告と納税をしなければなりません。
実は相続税の申告期限までに遺産分割が終了していないと、配偶者控除や小規模宅地の特例などの相続税の控除や減税制度を適用できない可能性があります。申告前に遺産分割できなかったケースで控除や特例による減税を受けるには、いったん高額な税金を収めてから後に還付請求を行わねばなりません。
相続税の申告納税期限を考えると、遺産分割は「相続開始後10ヶ月以内」に成立させるのが得策です。
なお相続税が発生するのは、遺産額が「相続税の基礎控除額を超える場合」です。
- 相続税の基礎控除=3000万円+法定相続人数×600万円
遺産額が上記以下であれば相続税の申告や納税の義務はありません。
4.預金が休眠口座扱いになってしまう
遺産に預貯金が含まれている場合にも遺産分割の期限に注意が必要です。
預貯金を10年以上放置していると、「休眠口座」扱いとなって預貯金が公益活動へ使われてしまう可能性があるからです。申請すれば休眠状態から復活させることも可能ですが、預貯金には時効もあります。今後、金融機関の運用方針が変更されれば、預金の払い戻しに応じてもらえなくなるリスクが発生します。
5.株式の権利を失う
遺産に株式が含まれている場合、遺産分割協議をして名義変更しないと相続人による議決権行使や配当金受け取りが困難となります。
また一定期間以上株式の保有者が不明な状態が続くと、会社には強制的に株式を買い取る権利や競売を申し立てる権利が認められます。売却代金は所有者に支払われるはずですが、所有者不明であれば代金受け取りが不可能となってしまうでしょう。
株式を相続した場合にも、やはり早めに遺産分割を行うべきです。
遺産分割協議の進め方や遺産分割協議書の作成方法がわからない場合、他の相続人ともめてしまった場合には弁護士がサポートいたします。まずはお気軽にご相談下さい。
【相続】遺言書の検認と必要なケース、申立の手順を解説
自筆証書遺言や秘密証書遺言を自宅で発見したら、開封前に家庭裁判所で「検認」を受けなければなりません。
検認とはどういった手続きなのか、検認が必要な場合や手順を解説します。
1.遺言書の検認とは
遺言書の検認とは、家庭裁判所で遺言書の状態や内容を確認して保存する手続きです。
遺言者の死後に遺言書が発見されると、その後に書き換えられたり捨てられたりする可能性が懸念されるでしょう。そこで発見された時点において「検認」を行い、遺言書の破棄や隠匿、書き換えなどを防ぐ必要があります。
法務局に預けられていなかった自筆証書遺言や秘密証書遺言を発見したら、遺言書の開封前に必ず家庭裁判所へ遺言書の検認を申し立てなければなりません。
2.遺言書の検認を受けないリスク
もしも遺言書の検認を受けなかったらどういった問題が生じるのでしょうか?
過料の制裁
封入されている遺言書を検認前に勝手に開封するのは違法行為です。5万円以下の「過料」の制裁が適用される可能性があります。
過料とは、金銭を支払わねばならない行政罰の一種です。刑事罰ではないので前科はつきませんが、お金の支払を命じられるのはリスクといえるでしょう。
遺産相続手続きができない
自筆証書遺言や秘密証書遺言を発見したら、遺言書で指定された通りに不動産の名義変更や預貯金の払い戻しなどの相続手続きを行う必要があります。しかし検認を受けていない遺言書では、名義変更の申請を受け付けてもらえません。
相続手続きを行うためにも早めに検認を受けましょう。
相続争いのもとになる
遺言書を発見したのに検認を受けずに放置していると、他の相続人から「遺言書を書き換えたのではないか?」などと疑われてトラブルになる可能性もあります。
相続争いを避けるためにも、早期の段階で検認を申し立てるべきです。
3.遺言書の検認が必要なケースと不要なケース
遺言書の種類により、検認が必要なケースと不要なケースがあるのでそれぞれをみてみましょう。
検認が必要なケース
- 法務局に預けられていなかった自筆証書遺言
自筆証書遺言が自宅や貸金庫などに保管されていた場合には、検認を受けなければなりません。
- 秘密証書遺言
秘密証書遺言とは遺言者が封入して公証役場で認証を受けた遺言書です。自宅などで遺言者本人が保管しています。秘密証書遺言を発見したときにも必ず検認を受けなければなりません。
検認が不要なケース
- 法務局に預けられていた自筆証書遺言
自筆証書遺言が法務局に預けられていた場合には検認は不要です。
- 公正証書遺言
公正証書遺言の場合、検認を受ける必要はありません。遺言書の謄本等があれば、そのまま相続手続きを進められます。
4.遺言書の検認の手順
遺言書の検認は以下の手順で進めましょう。
家庭裁判所へ申し立てる
まずは「遺言者の最終住所地」を管轄する家庭裁判所へ検認の申立てをします。申立ができるのは、遺言書の保管者や遺言者の相続人です。
必要書類
- 検認申立書
- 遺言者の出生時から死亡時までの戸籍謄本類
- 相続人全員分の戸籍謄本
- 遺言書が封入されていない場合、遺言書のコピー
相続人の構成によっては、上記以外の戸籍謄本類も必要になります。
費用
収入印紙800円と連絡用の郵便切手が必要です。
検認申立後の流れ
相続人へ通知書が届く
遺言書の検認を申し立てると、しばらくして家庭裁判所から相続人全員へ検認に関する通知書が届きます。相続人が出席するかどうかは自由ですが、通知によって検認が行われることを伝え、出席の機会を与えます。
遺言書の開封と内容確認
当日は家庭裁判所において遺言書の開封と内容確認が行われ、結果が記録されます。
検認済証明書の申請
遺言書の検認が終了したら、「検認済証明書」の発行を申請しましょう。検認済証明書があれば、不動産や車の名義変更などの相続手続きを進められます。
検認済証明書の発行には150円の手数料(収入印紙)がかかります。
遺言書を発見したときには、早めに検認を申し立てましょう。千葉県で遺産相続に関する手続きの進め方がわからない場合には弁護士がアドバイスを致しますので、お気軽にご相談ください。
【離婚男女】離婚後も同居するメリットとデメリット、手続きについて
離婚したら、一般的に元夫婦は別居して別々に暮らし始めるものです。
しかしまれに離婚後も「同居を継続する」ケースがあります。
今回は離婚後も同居を続けるメリットやデメリット、手続きの方法や注意点を解説しますので、離婚後も相手と同居を続けるか迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
1.離婚後に同居するメリット
離婚したからといって必ずしも別居する必要はありません。
同居を続けると以下のようなメリットがあります。
1-1.生活費が低く抑えられる
元夫婦が一緒に暮らせば、別々に暮らすより家賃や光熱費などの生活費を低く抑えられるでしょう。引越し費用も不要です。
すぐに引っ越して別居する資金がない場合、しばらく同居するメリットが大きくなるでしょう。
1-2.子どもが両親と一緒に暮らせる
小さい子どもがいる場合、両親そろった環境で育てたい方も少なくありません。
夫婦が離婚後も同居するなら、子どもは両親と一緒に暮らせるので、離婚によって与える影響を小さくできます。
親権者にならなかった親にとっても、子どもと一緒に生活して成長の様子を確かめられるのはメリットとなるでしょう。
1-3.各種の手当を受け取ることができる
離婚して「ひとり親」となったとき、所得が一定以下であれば児童扶養手当や医療費支援などの手当や補助を受けられます。
離婚後に相手と同居していても、きちんと「世帯分離」をしていれば手当や補助の対象になります。
2.離婚後に同居するデメリット
2-1.トラブルの可能性が高まる
離婚後に同居し続けると、相手の顔を見ながら生活しなければなりません。不仲になって離婚したご夫婦の場合、大きなストレスがかかるでしょう。喧嘩が頻繁に起こってトラブルになったら子どもにもかえって悪影響となる可能性があります。
2-2.「事実婚」「偽装離婚」とみなされる可能性がある
離婚後も同居していると「事実婚」として婚姻関係を継続しているとみなされたり、「偽装離婚」を疑われたりする可能性があります。
偽装離婚によって児童扶養手当などの給付金を受給したら、返還しなければなりません。
財産分与を行った後で偽装離婚を疑われると、高額な贈与税が課税されるリスクも発生します。
離婚後も同居するならきちんと「世帯分離」を行い家計も完全に分けて「事実婚」や「偽装離婚」とみなされないように慎重に対応しましょう。
3.離婚後に同居する場合の注意点
3-1.生活費や養育費について
離婚すると、元のパートナーへは「生活費(婚姻費用)」を請求できません。離婚前と生活形態が全く変わらなくても、基本的に自分の収入で生活しなければならないので注意が必要です。
ただし未成年の子どもの親権者になったときの「養育費」は請求できます。
3-2.親権を決めなければならない
離婚すると、子どもの親権者を「親のどちらか一方」に定めなければなりません。
離婚後に同居を継続してこれまで通りに両親が子どもと一緒に生活するとしても、どちらかを親権者にする必要があります。将来別居する際には親権者が子どもと一緒に暮らすことになるので、それを踏まえて慎重に親権者を決定しましょう。
4.離婚後に同居する際の手続き
4-1.生活費や養育費について取り決めをする
離婚後に同居するなら、必ず事前に生活費の分担方法や養育費についてきちんと取り決めましょう。合意した内容は必ず「書面」にしてください。
生活費の分担をあいまいにしておくと、「事実婚」や「偽装離婚」とみなされてしまうリスクが高くなります。
4-2.世帯分離する
次に「世帯分離」の手続きをしましょう。世帯分離とは、同じ住所に住んでいても住民票上の「世帯」を分ける手続きです。
世帯が別であれば元夫と元妻の収入が合算されません。収入の少ない側は各種手当を受け取りやすくなりますし、健康保険料、税金なども低くなる可能性があります。
世帯分離の手続きをしたいときには、役所で世帯分離届(住民異動届)を提出しましょう。
本人確認書類と印鑑などをもって役所へ行けば手続きができます。
離婚するときには夫婦間で取り決めておくべき事項がたくさんあります。迷ったときにはお気軽に弁護士までご相談ください。
【離婚男女】離婚時年金分割の2つの種類とそれぞれの方法を解説
離婚するとき、夫婦のどちらかが「厚生年金」に加入していたら「年金分割」の手続きをしましょう。年金分割しておけば、将来年金を受け取る年齢になったときに受給額を増やしてもらえる可能性があります。
ただし年金分割には2つの種類があり、それぞれ手続きの方法が異なるので正しい知識をもっておきましょう。
今回は離婚時年金分割の種類と方法をわかりやすく解説しますので、これから離婚する方はぜひ参考にしてみてください。
1.2種類の離婚時年金分割
年金分割とは、婚姻中に払い込んだ「年金保険料」を夫婦で分割する手続きです。離婚時に年金分割をしておけば、将来年金を受け取るときに受給額が自動調整されます。年金額が少ない方の受取額は増額され、多い方の受取額は減額される仕組みです。
金額の調整や支給は社会保険事務所で行われるので、受給時に相手に年金の支払いを請求する必要はありません。
離婚時年金分割には以下の2種類があります。
1-1.3号分割
夫婦の片方が相手の「3号被保険者」になっている場合に適用できる年金分割です。
ただし3号分割の制度が始まったのは平成20年4月以降なので、それ以降の年金保険料にしか適用されません。
3号分割の場合、夫婦の合意は不要で合意割合は当然に0.5(2分の1ずつ)になります。離婚後に請求者が一人で年金事務所へ行けば、3号分割の手続きができます。
1-2.合意分割
合意分割は、被分割者(分割される側)の合意が必要な年金分割です。
相手の合意がないと、合意分割はできません。また合意分割の場合、分割割合も0.5までの割合で自由に定められるので、合意する際に年金分割割合も決める必要があります。
請求者一人では手続きができないので離婚後相手と一緒に年金事務所へ行き、「標準報酬改定書」という書類を提出する必要があります。
1-3.3号分割が適用される場合
3号分割が適用されるのは加入期間が「平成20年4月1日以降」で、なおかつ「3号被保険者(相手の扶養に入っている)」の方です。
扶養に入っていない方や平成20年3月31日以前から婚姻している場合、合意分割が必要です。
1-4.合意分割が必要となる場合
3号分割が適用されない場合には合意分割が適用されます。
たとえば共働きでお互いが相手の扶養に入っていない場合、平成20年3月31日以前から婚姻している場合などでは合意分割しなければなりません。
2.3号分割の手続きの方法
3号分割するときには、以下の流れで進めましょう。
離婚後、年金事務所へ行く
離婚届を提出した後、必要書類をもって年金事務所へ行きましょう。
- 年金手帳
- 戸籍謄本
- 印鑑
上記を持参して年金事務所へ行き「標準報酬改定請求書」に必要事項を記入して提出すれば手続きが完了します。
3.合意分割の手続きの方法
合意分割するときには、以下の手順で進めましょう。
3-1.年金分割情報通知書を取得する
まずは離婚前に年金事務所へ申請し「年金分割情報通知書」を取得しましょう。
3-2.相手と話し合って年金分割の合意をする
次に相手と話し合い、年金分割の合意をします。分割割合も定める必要がありますが、公平に0.5とするのがよいでしょう。また年金分割の合意内容は「離婚協議書」や「年金分割合意書」などの書面にしなければなりません。
3-3.離婚後に相手と一緒に年金事務所へ行く
合意分割の場合、原則的に離婚後相手と一緒に年金事務所へ行って手続きしなければなりません。必要書類は以下の通りです。
- 請求者の年金手帳
- 当事者の戸籍謄本または戸籍抄本
- 年金分割の合意書
なお年金分割の合意書を公正証書にしておけば、被分割者が年金事務所にいく必要はありません。請求者が単独でも手続きできるメリットがあります。
離婚するとき、相手が厚生年金に加入しているなら必ず年金分割するようお勧めします。年金分割には「離婚後2年以内」という期限もあるので、なるべく早めに手続きしましょう。対応に迷われたときには、お気軽に弁護士までご相談ください。
【離婚男女】離婚後に年金分割(合意分割)する方法と注意点
離婚するときに年金分割について取り決めをしなかった場合、「離婚後」でも年金分割できる可能性があります。ただし離婚後の年金分割には期限もあるので、注意しなければなりません。
今回は離婚後に年金分割する方法をお伝えしますので、離婚時に相手と話し合いができなかった方はぜひ参考にしてみてください。
なお3号分割の場合、相手の同意は不要ですので、離婚後に一人で年金事務所へ行けば手続きできます。そこでこの記事では、離婚後の「合意分割」の方法について解説します。
1.離婚後に合意分割する手順
離婚後に合意分割をするには、以下の流れで対応を進めましょう。
1-1.相手と話し合う
まずは離婚した元パートナーへ連絡を入れて、年金分割について話し合いましょう。
合意分割するには、相手が「年金分割すること」と「分割割合」に納得しなければなりません。分割割合は、公平に0.5(2分の1ずつ)とするのがよいでしょう。
合意ができたら「年金分割の合意書」を作成し、双方が署名押印する必要があります。その後2人で年金事務所へ行って「標準報酬改定請求書」を提出しましょう。
なお年金分割の合意書を「公正証書」で作成すれば、相手に年金事務所へ来てもらう必要はありません。請求者が一人で年金事務所へ行って手続きができます。
1-2.年金分割調停を申し立てる
相手が年金分割に応じない場合には、家庭裁判所で「年金分割調停」を申し立てる必要があります。年金分割調停は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所へ申し立てます。
必要書類と費用は以下の通りです。
必要書類
申立書
年金分割情報通知書
費用
1200円分の収入印紙と連絡用の郵便切手
調停では調停委員から相手に対し、0.5の割合で年金分割に応じるよう説得してもらえるケースが多く、相手が納得すれば調停が成立します。
調停が成立した日はそのまま帰宅し、1~3日程度で家庭裁判所から「調停調書」が送られてきます。
1-3.年金分割審判になる場合
調停委員が説得しても相手が年金分割に応じない場合には、手続きが「審判」に移行して裁判官が年金分割について判断します。審判ではほぼ確実に0.5の割合で年金分割を認める決定が出ると考えましょう。
審判が下りたら、家庭裁判所から「審判書」が送られてきます。
また審判が送達されてから当事者が異議を出さずに2週間が経過すると、審判が確定します。すると裁判所から「審判確定証明書」を発行してもらえるので、申請して取得しましょう。
なお調停を行わず、いきなり審判を申し立てる方法もあります。相手の態度により、手続きを使い分けましょう。
1-4.調停または審判後、年金事務所へ行って手続きする
調停や審判で結果が出たら、調停調書または審判書と確定証明書を持って年金事務所へ行きましょう。
調停調書や審判書で手続きを行う場合、相手方に来てもらう必要はありません。
一人で年金手帳や戸籍謄本などを持って年金事務所へ行き「標準報酬改定請求書」を提出すれば手続きが完了します。
2.年金分割の期限
離婚後の年金分割には期限があるので要注意です。離婚後「2年以内」に年金事務所で手続きをしなければなりません。
2-1.調停、審判で時効を止められる
離婚後2年以内に「調停」や「審判」を申し立てれば、時効の完成を猶予させることができます。もしも年金分割しないまま離婚後2年が経過しそうな状況になったら、早めに調停を申し立ててください。
2年以内に調停や審判を申し立てれば、手続きの最中に2年が経過しても時効は成立しません。
2-2.調停や審判後1ヶ月以内に手続きを行わねばならないケース
調停が成立するか審判が出た後で年金事務所へ行けば、年金分割の手続きができます。
ただし調停成立時や審判確定時が離婚後2年を経過している場合、「調停成立後」または「審判確定後」1ヶ月以内に手続きを行わねばなりません。
せっかく調停や審判を起こしても、決定してから1ヶ月以上放置すると年金分割を受け付けてもらえなくなるので、急いで手続きを行いましょう。
離婚後の年金分割には期限があるので、なるべく急いで対応する必要があります。お一人では不安がある場合、お気軽に弁護士までご相談ください。
【離婚男女】住宅ローンが残っている場合の財産分与方法
住宅ローンが残っている場合、家はどのように財産分与すればよいのでしょうか?
まずはオーバーローンになっていないか調べたうえで、離婚後も家にどちらかが住み続けるのか、家を売却して清算するのかなどいろいろなことを決めなければなりません。
今回は住宅ローンが残っている場合の財産分与方法を弁護士が解説しますので、離婚を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
1.オーバーローンかアンダーローンか調べる
住宅ローンが残っている家に居住している場合、まずは「オーバーローン」か「アンダーローン」か確認しましょう。
オーバーローンとは住宅ローン残額から家の価値を引いたときに「マイナス」になる場合です。「家を売却してもローンを完済できないケース」にオーバーローンとなります。
アンダーローンは住宅ローン残額から家の価値を引いたときに「プラス」になる場合です。
家を売却するとローンを完済できるのがアンダーローンの状態です。
オーバーローンかアンダーローンか調べる方法
家がオーバーローンかアンダーローンか調べるには、以下の手順で進めてください。
残ローン額を把握する
まずは残ローン額を把握しなければなりません。金融機関から受け取っているローン償還表をみて現在のローン残高を確認しましょう。
家を査定に出す
次に「家の価値(時価)」を知る必要があります。お近くの不動産会社やネットの査定サービスを使って無料の簡易査定を依頼しましょう。
数日~1週間程度で家の査定額が明らかになります。
差し引き計算する
3ステップ目として、家の査定額から残ローン額を引き算します。
マイナスになればオーバーローン、プラスになればアンダーローンです。
2.オーバーローンの場合の財産分与
残ローン額が高額でオーバーローンになる場合、家は財産分与の対象になりません。
家は除外し、他の預貯金や保険、車などの財産についてのみ財産分与を進めます。
3.アンダーローンの場合の財産分与
残ローン額より家の価値が高くアンダーローンの場合、家は財産分与の対象になります。
「家の価値–残ローン額」の価額が財産分与対象額となり、原則的にはその金額を夫婦2分の1ずつにします。
たとえば家の価値が3000万円、残ローン額が1000万円の場合、夫婦の取得分はお互いに1000万円ずつとなります(2分の1ずつの割合で分与するケース)。
夫が家を取得するなら妻へ1000万円の代償金を払うと清算できます。反対に妻が家を取得するなら夫へ1000万円を払います。
家を売却して清算するなら受け取った売却金2000万円を、夫婦で1000万円ずつに分配するとよいでしょう。
4.家に住み続けるか売却するか決める
住宅ローンつきの家がある場合、離婚後もどちらかが家に住み続けるのか売却するのか、検討しなければなりません。
4-1.どちらかが住み続ける場合の対処方法
住宅ローンを払っている側が家を取得するなら、継続して住宅ローンを払い、家に住み続けるとよいでしょう。
問題は住宅ローンを払っていない側が家に居住する場合です。この場合、金融機関と交渉して住宅ローン名義を変更する必要がありますが、金融機関は名義変更に簡単には応じてくれません。そのままでは居住者と所有名義や住宅ローン名義が異なる状態になってしまいます。
名義を揃えるために「住宅ローンの借り換え」が必要になるケースも多いですが、居住者に収入や資力がなければ借り換えは困難です。
結果的に住宅ローン債務者と居住者が異なってしまい、毎月住宅ローンが支払われるかどうかが不安定な状態になる可能性があります。
4-2.家を売却する方法
離婚後の家の処分に困ったら、家を売却しましょう。
アンダーローンなら家を売却してローンを完済できます。
オーバーローンのケースでも「任意売却」すれば家を売却できます。ただし残ったローンについては離婚後も継続して返済していく必要があります。
住宅ローンが残る家がある場合、財産分与は複雑になります。きちんと処理しておかないと、離婚後に大きなトラブルになる可能性があり、注意すべきといえるでしょう。
迷ったときには弁護士までお気軽にご相談ください。
【離婚男女】親権の決め方
お子様のおられるご夫婦が離婚するなら、必ず「親権者」を決めなければなりません。
最近では、両親ともに強く親権を希望するケースが多くみられます。
そんなとき、どうやって親権者を決めればよいのでしょうか?
今回は裁判所が親権者を指定するときの判断基準や親権者を決める手順を解説します。
離婚を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
1.裁判所の親権者判断基準
離婚後、子どもの親権者になれるのは両親のどちらか一方のみです。
父母のどちらかを指定しなければなりません。
両親とも親権を希望する場合、最終的には家庭裁判所が親権者を指定します。その際には以下のような条件を満たす親に親権が認められるケースが多くなっています。
- これまでの養育実績が高い
- 子どもと一緒に過ごす時間を長くとれる
- 夫婦が別居している場合、子どもと一緒に暮らしている親が優先
- 子どもが愛着を持っている、関係が良好
- 子どもが乳幼児なら母親が優先されやすい
- 経済的な安定や良好な住環境
- 健康状態が良い
特に重視されるのは、「子どもと同居していること(夫婦が別居している場合)」や「離婚後に子どもと一緒に過ごせる時間が長いこと」などです。
たとえばフルタイムで子どもとほとんど一緒に過ごせない父親などは、親権争いで不利になりやすいともいえるでしょう(ただし親権をとれないという意味ではありません)。
経済力は必要ですが、さほど重視はされません。たとえば母親が生活保護を受けながら親権者となるケースもあります。
また、子どもが15歳以上になっていたら子ども自身が親権者を選べます。
2,親権者を決める手順、流れ
親権者を決めるときには、以下の手順で進めましょう。
2-1.話し合う
まずは相手と話し合って決めるのが基本です。合意ができれば「協議離婚」が成立します。
ただし親権争いが起こっている場合、相手が子どもを連れ去ったり子どもに悪口を吹き込んだり、ときには勝手に離婚届の親権者欄を埋められて提出されたりするケースもあります。
相手による偽造の離婚届提出を避けるため、心配な場合には事前に役所へ行って「離婚届不受理申出」をしておきましょう。
2-2.離婚調停を申し立てる
話し合っても解決できない場合には、家庭裁判所で「離婚調停」を申し立てましょう。
調停で合意できれば、親権者を決めて離婚できます。
ただし調停はあくまで話し合いなので、相手に強制的に親権を放棄させることはできません。また調停委員が相手に肩入れすると、こちらに親権をあきらめるよう説得されてしまう可能性もあります。
1人で調停に臨むのに不安を感じるなら、弁護士に調停の代理人を依頼するとよいでしょう。
2-3.離婚訴訟を提起する
調停も不成立になってしまったら、家庭裁判所で離婚訴訟を提起しましょう。
訴訟になると、裁判所が判決で親権者を指定します。
その際には上記でご紹介したような事情をもとに親権者を決められます。
ただし訴訟で親権者として指定してもらうには、自分が親権者として適切であると示さねばなりません。これまでの養育実績、子どもとの関係、離婚後に予定している住環境などを示す資料を集めましょう。一日のスケジュールや養育方針についてもしっかり計画を立てる必要があります。
3.親権を獲得するために重要なこと
親権を獲得するため、以下の3点を押さえておきましょう。
- 離婚前に相手と別居するなら子どもと離れない
- できるだけ、子どもと一緒に過ごせる時間を作る
- 親権者としてふさわしい事実を証明できる資料を集める
具体的に集めるべき資料についてはケースによっても異なりますので、弁護士までご相談ください。
当事務所では離婚問題に積極的に取り組んでおります。これまで地元千葉県の方々からご依頼を受けて、親権問題も数多く解決して参りました。相手が親権を強く主張していても、あきらめる必要はありません。自己判断で動くと不利になってしまうケースがあるので、お早めに弁護士までご相談いただけますと幸いです。
【離婚男女】浮気相手が慰謝料を払わない理由や対処方法
夫や妻に浮気されたので浮気相手に慰謝料を請求しても、拒否されるケースが少なくありません。支払いを受けられないとき、どのように対応すればよいのでしょうか?
今回は不倫相手が慰謝料を払わないときによくある理由や対処方法を、法的な観点から弁護士が解説します。
配偶者の浮気にお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
浮気相手が慰謝料を払わない理由と対処方法
浮気相手が慰謝料を払わない場合、以下のような理由にもとづくケースが多数となっています。
対処方法とともに確認しましょう。
1-1.お金がない
浮気相手にお金がないため、慰謝料を払えないと言ってくるケースです。
確かに浮気して悪いと思っているけれど、低収入で資産もないので数百万円などの慰謝料を払えないと主張します。
対処方法
法律上、お金がないからといって慰謝料支払い義務を免れるわけではありません。
ただしお金がない人に対して訴訟を起こしても、強制執行(差押え)ができず判決が「絵に描いた餅」になってしまい、あまり意味がありません。
まずは相手に本当にお金がないのかどうか、確かめる必要があるでしょう。相手がどういった仕事をしているのか、給料はいくらくらいなのか、資産はどの程度あるのかないのかを問いただしてみてください。
その上で本当にお金がないようであれば、分割払いの合意をしましょう。
なお分割払いで慰謝料の取り決めをするときには、必ず「公正証書」を作成するようお勧めします。公正証書を作成しないと、相手が途中で支払いを止めてしまうリスクが高くなるためです。
相手の勤務先も確認しておきましょう。勤務先がわかれば、相手が支払わなくなったときにすぐに給料を差し押さえられます。
1-2.自分に非がないと考えている、払いたくない
不倫相手が慰謝料を払わないとき「自分は悪くない」と考えているケースが少なくありません。「不倫されるような奥さん(旦那さん)が悪い」と考えて開き直るパターンです。
対処方法
まずは相手に「法的な慰謝料支払い義務」があることを伝え、支払うよう説得しましょう。
どうしても払わないなら訴訟を起こすしかありません。その際には、相手の勤務先や資産内容などを把握しておきたいところです。
弁護士が代理人となって交渉すると相手が支払いに応じやすくなるので、弁護士に依頼する方法も有効となるでしょう。
1-3.時効が成立している
不倫慰謝料には時効が適用されます。基本的に「不倫されたことと不倫相手を知ってから3年」が経過すれば、慰謝料は請求できなくなります。
そこで不倫から長期間が経過していると、慰謝料を拒絶される可能性が高くなります。
対処方法
本当に時効が成立していたら慰謝料請求は困難です。
ただし相手が時効を主張していても、本当に時効が成立しているとは限りません。
たとえば不倫に気づいた時点や不倫相手を特定した時点が遅ければ、不倫から3年以上経過していても時効が成立していない可能性があります。
まずは本当に時効が成立したといえるのか、法的な観点から精査しましょう。
また相手が時効を援用する前であれば、慰謝料を請求できる可能性があります。援用後であっても相手に支払い義務を認めさせれば、慰謝料を払ってもらえるケースがあるのであきらめる必要はありません。
こういった交渉も弁護士が行った方がスムーズに進みますので、時効を主張されて困ったときにはお気軽にご相談ください。
1-4.浮気をしていない
相手が浮気をしていない場合、当然慰謝料の支払いを拒否するでしょう。
実際、浮気の証拠がなければ真偽の程がわかりません。浮気で慰謝料請求する前に、しっかり浮気の証拠を掴んでおく必要があります。
弁護士にご相談いただけましたら法的に有効と認められる浮気の証拠の集め方をアドバイスしますので、相手に慰謝料請求書を送る前にお問い合わせください。
当事務所は配偶者に浮気された方からのご相談に積極的に対応しています。慰謝料請求をしたい方、相手が慰謝料の支払いを拒否してお困りの方がおられましたらお気軽にご相談いただけますと幸いです。
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