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【離婚男女】不倫慰謝料の証拠収集方法と注意点

2021-04-26

不倫相手に慰謝料請求するには、「不倫の証拠」が必要です。

証拠がないのに慰謝料請求しても「不倫していない」とごまかされてしまうでしょう。

慰謝料を払ってもらえないだけではなく「思い込み」「被害妄想」「名誉毀損」などと言われてしまう可能性もあります。

 

こういったリスクを防ぐには、事前に肉体関係を証明できる資料を集めてから慰謝料請求を開始すべきです。

 

今回は不倫慰謝料の証拠収集方法やその際の注意点をお知らせします。

配偶者に不倫されてお困りの方はぜひ参考にしてみてください。

 

1.不倫の証拠は「肉体関係」を証明するものが有効

不倫の証拠を集めるときには、できるだけ「肉体関係」を直接示すものを探しましょう。

 

法律上、不倫を「不貞」といいます。不貞とは「既婚者が配偶者以外の異性と肉体関係をもつこと」であり、不貞には強い違法性が認められています。不貞を証明できれば、裁判で離婚請求もできます。

 

一方、肉体関係のない交際は「不貞」になりません。違法性が認められないか、認められるとしても非常に弱くなってしまいます。慰謝料も請求できない可能性が高くなりますし、認められるとしても低額になるでしょう。

 

そこで不倫の証拠としては「肉体関係を証明できるか」がポイントになってくるのです。

 

 

2.不倫を証明できる強い証拠と弱い証拠

以下で不倫を証明する証拠として強い証明力のあるものと証明力が弱いものを分類してご紹介します。

 

2-1.証明力の高い証拠

  • 肉体関係をもっていることがわかるメール、メッセージのやり取り
  • 性交渉の最中に撮影した動画や写真
  • 避妊具など
  • 肉体関係を認める自認書
  • 一緒に旅行に行ったことがわかるメールや航空券の予約データ、旅館の領収証など
  • ホテルの領収証、利用記録
  • ホテルに行ったり相手の家に泊まったりしたことがわかる日記やスケジュール帳
  • 探偵の調査報告書

こういったものは直接肉体関係を示すので、証明力の高い証拠といえます。

 

2-2.証明力の低い証拠

  • 肉体関係を直接示さない親しげなメール、メッセージのやり取り
  • 親密な手紙、メッセージカードなど
  • 不倫相手からのプレゼント
  • デートの際に利用したお店や買い物の領収証、クレジットカードの明細書
  • 電話の通話記録
  • 交通ICカードやETCカードの利用履歴

 

上記のようなものは直接肉体関係を示しませんが、積み重ねると不倫を強く推察させる資料になりえます。

 

 

3.不倫の証拠集めのポイント、注意点

不倫の証拠集めをするときには、以下のような点に注意しましょう。

3-1.多くの証拠を集める

まずはできるだけたくさんの証拠を集めることが重要です。

証明力が高いものはもちろん、肉体関係を直接証明できなくても多くの資料をそろえましょう。

最終的に肉体関係を証明できなくても、証拠の積み重ねによって「常識的な範疇を超えた親密な交際関係」を証明できれば、一定額の慰謝料が認められる可能性があります。

 

3-2.相手に気づかれる前に証拠を集める

配偶者に「不倫しているでしょう?」などと言ってしまったら、相手は警戒してしばらく会うのを控えたり、メールなどの証拠を破棄したりする可能性が高くなります。

相手には不倫に気づいていないフリをしながら証拠を集めていきましょう。

慰謝料請求などの具体的なアクションは、証拠が揃った後に起こすべきです。

 

3-3.違法行為に要注意

不倫の証拠集めをするとき、知らず知らずに違法行為をしてしまうケースがあるので注意が必要です。

たとえば不正なアプリを相手のスマホに入れて行動調査をすると、「ウイルス供用罪」という犯罪が成立してしまう可能性があります。尾行調査に熱を入れすぎて住居侵入罪や道路交通法違反になってしまうケースもあります。

 

3-4.トラブルになる可能性

探偵事務所に尾行調査を依頼すると費用がかかるので、自分や友人、親戚などに依頼して尾行調査する方がおられます。

しかし自力で配偶者や不倫相手を尾行すると、相手と鉢合わせしてトラブルになってしまうケースも少なくありません。素人が尾行すると、せっかく不倫のシーンを確認できても有効な写真や動画などを撮影できない場合が多数です。行動調査をするのであれば、探偵事務所に任せた方がよいでしょう。

 

不倫の証拠集めに困ったときには、弁護士がご相談に応じます。お気軽にお問い合わせください。

【離婚男女】財産分与で相手の資産を調査する方法

2021-04-20

離婚の際、「財産分与」は極めて重要です。

婚姻中に仕事をしていなかった方の場合、離婚後しばらく分与された財産を使って生活を維持しなければならないでしょう。そうでない方であっても手持ち財産が多ければ心の安定につながります。

 

財産分与で損をしないためには、相手による財産隠しを防がねばなりません。

 

今回は財産分与の話し合いの際に相手が財産を隠すときの調査方法について、弁護士が解説します。

 

 

1.財産分与では「財産開示」が非常に重要!

財産分与とは、婚姻中に夫婦が積み立てた共有財産を離婚時に分け合う手続きです。

婚姻中、夫婦が協力して積み立てた財産の一部は共有となります。しかし離婚したら共有状態を解消し、それぞれの取り分に分ける必要があるでしょう。

そこで離婚時に共有財産の清算を行います。それが「離婚時財産分与」です。

 

以下のような資産が財産分与の対象になります。

  • 預貯金
  • 不動産
  • 生命保険、学資保険
  • 積立金
  • 退職金
  • 金や仮想通貨
  • その他の価値のある動産類

 

 

財産分与の際には、夫婦がお互いに手持ちの資産を開示しなければなりません。

このとき、相手に財産を隠されると大きな不利益が及ぶ可能性があるので注意しましょう。隠し財産に気づかなければ、その資産は「ないもの」として財産分与額が計算されてしまうためです。

そうなったら、本来受けられるはずの財産分与を受けられなくなり、払ってもらえる財産が目減りしてしまいます。

 

そのような不利益を受けないため、相手の財産状況を調べる必要があります。

 

 

2.財産を隠されたときの対処方法

相手の財産隠しを防ぐには、以下のような手順で財産調査を進めましょう。

 

2-1.自分で探す

自力で相手の財産を調べたい場合、相手に勘づかれると隠される可能性があります。

財産分与の話を始める前に資料を集めましょう。

 

  • 自宅に保管されている資料を探す(預貯金通帳、生命保険証書、証券会社からのお知らせ、不動産売買契約書、権利証、車検証など)
  • 相手のスマホやPCをチェックする(ネット銀行やネット証券、仮想通貨などの取引状況がわかる可能性があります)
  • 郵便物をチェックする(生命保険会社、銀行、証券会社、役所などからさまざまな連絡書や納付用紙などが届きます)。
  • 通帳や証券、契約書や権利証などが見つかったらコピーやメモをとり、表を作成する

 

2-2.弁護士に照会を依頼する

自力で探すのに限界を感じたら、弁護士に相談してみてください。

弁護士は「弁護士法23条」という法律にもとづいて、各種機関へ情報照会する権限を有しています。

弁護士に協議離婚の代理などを任せると、弁護士が23条照会によって証券会社、生命保険会社、相手の勤務先などへ照会をかけて資産状況を調べられる可能性があります。

 

2-3.裁判所で職権調査嘱託をしてもらう

弁護士照会によっても回答を得られないときには、裁判所から調査してもらう方法が有効です。裁判所からの調査を「職権調査嘱託」といいます。

 

調停や訴訟になると、申立をすれば裁判所が必要に応じて金融機関や保険会社などへ「職権調査嘱託」をしてくれる可能性があります。裁判所から調査嘱託がきたら、たいていの機関は回答するので相手の財産状況を調べやすくなります。

また裁判所が提出を促すことにより、相手が任意に財産資料を提出するケースも少なくありません。

 

3.財産資料の収集は弁護士へご相談を

自力で相手の財産を調べきるのは簡単ではありません。きっちり調査するには弁護士照会や裁判所の利用が必要となるでしょう。

また相手に寄る使い込みや財産の処分を防止するには、気づかれる前に財産調査すべきです。スピーディかつ確実に財産を調べるには、弁護士による支援が必要となるでしょう。当事務所では離婚案件に力を入れておりますので、財産分与で不利益を受けないためにもお早めにご相談ください。

 

 

 

【離婚男女】離婚の流れを詳しく解説!~離婚を決意した方へ~

2021-04-05

「離婚したい!」と思っても、何から始めて良いかわからない方がたくさんおられます。

 

まずは離婚の流れを把握しておきましょう。

今回は協議離婚の進め方や注意点を弁護士が解説しますので、離婚にお悩みの方はぜひ、参考にしてみてください。

 

1.協議離婚の流れ

離婚したいときには、まずは「協議離婚」を目指しましょう。

協議離婚とは、夫婦が合意して離婚届を提出することによって成立させる離婚の方法です。

日本で離婚する夫婦の9割は協議離婚しており、「離婚の原則的な方法」といえます。

 

以下でその流れや対処方法をみていきましょう。

1-1.準備をする

離婚したいときには、まずは準備が必要です。

  • 財産分与の準備

預貯金通帳や保険証書、自宅不動産に関する書類、相手の給与明細書など、財産分与に関する資料を集めましょう。

  • 慰謝料請求の準備

相手が不倫しているので慰謝料請求したい場合などには、不倫の証拠を先に集めておく必要があります。

  • 別居の準備

離婚前に別居する場合には、転居先の確保や引っ越し代等のお金など、別居の準備もしましょう。

  • 親権を獲得するための準備

子どもの親権を獲得したい場合、親権者になるための環境整備や計画も必要です。

  • 離婚条件の検討

自分がどのような条件で離婚したいのか、希望する条件を考えておきましょう。

財産分与をどのくらい受け取りたいのか、慰謝料を払ってほしいのか、親権や養育費、年金分割についての希望などを紙やデータにまとめておくようお勧めします。

 

1-2.相手に切り出す

離婚の準備が整ったら相手に切り出しましょう。

お互いに冷静になってゆっくり話し合えるように、休日の時間があるタイミングなどを見計らって話をするようお勧めします。

1-3.離婚条件を決める

話し合いにより、離婚条件を決めていきましょう。

主に決めるべき事項は以下のようなポイントです。

事前に検討していた離婚条件を相手に提示し、相手の返答を聞いてお互いの妥協点を探っていきましょう。

  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 親権
  • 養育費
  • 年金分割
  • 離婚後の子どもとの面会交流

1-4.別居する

相手が離婚に応じない場合や離婚協議がストレスとなって同居が苦痛になる場合などには、別居も検討しましょう。

 

相手が離婚を拒絶する場合でも、別居すると相手が諦めて離婚に応じるケースが少なくありません。お互いが冷静になって話しやすくなるメリットもあります。

 

専業主婦の方など、相手の収入に頼って生活してきた方は別居すると相手に「婚姻費用」という生活費を請求できます。「別居したら生活できなくなる」という心配は不要ですので、相手と喧嘩が絶えないなど精神的に厳しくなってきたら弁護士に相談してみてください。

 

1-5.離婚公正証書を作成する

相手と話し合って離婚条件に合意できたら、離婚公正証書を作成しましょう。

公正証書にすると、単なる当事者間の合意書よりも強い法的効力が与えられます。

たとえば支払義務者が養育費などの支払いを怠ると、すぐに強制執行ができて回収しやすくなります。原本が公証役場で保管されるので、紛失や書き換えなどのおそれもありません。

 

公正証書を作成したいときにはお近くの公証役場へ申込みをしましょう。なお離婚公正証書を作成するには費用がかかり、相手の承諾も必要です。

 

1-6.離婚届を提出する

離婚公正証書が完成したら、離婚届を作成して役所へ提出しましょう。

離婚届には、夫婦がそれぞれ署名押印する必要があります。また右側に2名分の「証人」の署名押印欄もあるので、誰かに証人を依頼しなければなりません。

一般的にはお互いの親族1名ずつに証人になってもらうケースが多数となっていますが、まったくの他人に依頼してもかまいません。

 

2.合意できない場合には調停離婚を

相手と話し合っても合意できない場合には、家庭裁判所で離婚調停を申し立てましょう。

調停では、裁判所の調停委員会が間に入って夫婦の意見を調整してくれます。

調停で合意ができたら裁判所から「調停調書」が送られてくるので、それを役所へ持参すれば離婚届を受け付けてもらえます。

 

離婚を進めるときには、準備や相手との交渉などさまざまな事項に対応しなければなりません。有利な条件で合意するには弁護士によるサポートが必要です。これから離婚したい方、すでに協議を開始されている方など、お気軽に弁護士までご相談ください。

【離婚男女】養育費の取り決め方法は公正証書で!金額の相場についても解説

2021-03-29

離婚するときに未成年のお子様を引き取るなら、必ず相手との間で養育費の取り決めをしましょう。

日本では離婚後に養育費が払われないケースが非常に多いことが知られています。ただ適切な方法で取り決めをしてさえいれば、払われる可能性が大きく高まるのです。

 

今回は養育費の相場や不払いを防ぐための公正証書による取り決め方法を解説しますので、不払いが心配な方はぜひ参考にしてみてください。

 

1.養育費が支払われる割合は4分の1程度

日本では、離婚後に養育費が払われる割合が非常に低くなっています。

厚生労働省が5年ごとに発表している「全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、平成28年に母子家庭で養育費を受け取っている世帯はわずか24.3%。5年前の平成23年には19.7%だったので増加はしていますが、まだまだ全体の4分の1にもなりません。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11920000-Kodomokateikyoku/0000188168.pdf

 

何の対策もしていなければ、離婚後に養育費を払ってもらうのは難しい状況ともいえるでしょう。

 

養育費を払ってもらうには、必ず離婚時に相手との間で「養育費支払についての約束」をしなければなりません。金額や支払方法、支払時期などを確認して合意書を作成しましょう。

 

2.養育費の金額や相場

「養育費をいくらにすればよいのか?」と悩まれる方も多いので相場の金額を説明します。

 

裁判所の考え方によると、養育費の金額は基本的に以下の要素によって決まります。

  • 両親それぞれの年収

支払う側の年収が高ければ養育費は高額になります。支払われる側の年収が高いと養育費の金額は下がります。

  • 子どもの年齢

子どもの年齢が14歳未満の場合、比較的低額です。15歳以上になると生活費がかかるようになるので養育費が増額されます。

  • 子どもの人数

子どもの人数が多いとその分生活費がかさむので養育費の金額が上がります。

 

実際には養育費の金額について複雑な計算式がありますが、個別の事案でいちいち難しい計算をするのは大変です。そこで裁判所では親の収入や子どもの年齢、人数に応じておよその相場を明らかにし、以下の算定表にまとめています。

 

ご夫婦で話し合って養育費を決めるときにも、こちらを参照してみてください。

https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

 

なお裁判所の算定表の金額は令和元年12月に改定され、金額が全体的に増額されています。それ以前に約束した方の場合、新しい算定表によって養育費を増額できる可能性もあるので、一度確かめてみましょう。

 

3.養育費は必ず公正証書で取り決める

離婚時に養育費の約束をするとき、自分たちで作成して署名押印しただけの合意書では強い効果が認められません。約束を破られたとき、あらためて養育費調停を申し立てなければ差し押さえなどの対応は難しくなります。

そうなると時間もかかりますし、その間に相手に逃げられる可能性もあるでしょう。

 

そこで、養育費の約束をするなら必ず「公正証書」を作成するようお勧めします。

公正証書があれば、相手が不払いを起こしたときに公正証書を使ってすぐに給料や預貯金、保険などを差し押さえられます。

調停を申し立てる手間を省けますし、相手が財産隠しをする余裕も与えずに済むでしょう。

 

4.公正証書の作成方法

公正証書を作成する際には、お近くの公証役場に申込みをする必要があります。

夫婦で合意した内容を伝えて、公正証書の作成を依頼しましょう。

公証人と日程を調整し、必要書類を当日持参すればその場で公正証書を作成してもらえます。

公正証書の作成日には基本的に夫婦の双方が出頭しなければなりません。どうしても本人が出頭できない場合、代理人への依頼も可能です。

弁護士が公正証書作成の手続を代行することもできるので、ご自身で対応するのが難しい場合にはお気軽にご相談ください。

 

当事務所では離婚を考えている方へ積極的に支援させていただいています。親権や養育費、面会交流など子どもの問題や財産分与などでお悩みを抱えた方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

【離婚男女】不倫慰謝料の相場や高額になりやすいケースについて

2021-03-22

夫や妻に不倫されたら、慰謝料を請求したいと考えるのも当然です。

ただ「どのくらいの慰謝料を請求すればよいのだろう?」と迷われる方が少なくありません。

 

今回は不倫慰謝料の法的な相場や高額な慰謝料を請求するためのポイントを解説します。

これから慰謝料請求を進めたいと考えている方はぜひ、参考にしてみてください。

 

1.不倫慰謝料の一般的な相場

配偶者に不倫されたら、法律上の離婚原因になりますし慰謝料も請求できます。

 

1-1.不貞慰謝料を請求するための条件

ただし裁判で離婚原因として認められるには「配偶者と不倫相手の肉体関係」を立証しなければなりません。このように「配偶者のある人が別の異性と肉体関係をもつこと」を法律的に「不貞」といいます。

 

肉体関係のない「プラトニックな関係」では離婚原因にならず慰謝料も請求しにくいので、慰謝料請求するならまずは男女の性関係を証明できる証拠を集めましょう。

 

1-2.不貞慰謝料の相場

裁判で認められる不貞の慰謝料相場は以下のとおりです。

 

50~300万円

 

このように随分と幅があります。どういったケースで慰謝料が高額になるのか、みていきましょう。

 

2.不倫慰謝料が高額になりやすい条件

2-1.婚姻期間が長い

不倫の慰謝料は、夫婦の婚姻年数に比例して高額になる傾向があります。

一般的に婚姻期間が1~3年程度の場合、慰謝料の金額は100~150万円程度。

一方で婚姻期間が10年以上になると300万円以上になるケースも少なくありません。

婚姻年数が3~10年までの間であれば、だいたい150~300万円の範囲内で慰謝料が決定される事例が多数です。

 

2-2.夫婦関係が破綻した

不倫によって慰謝料が発生するのは、被害者が大きな精神的苦痛を受けるからです。一方で不倫されても夫婦関係が破綻せず修復可能であれば、被害者の精神的苦痛はあまり大きいとはいえないでしょう。慰謝料が低額になります。

 

婚姻関係が破綻したら慰謝料額は100万円~300万円程度になりますが、夫婦関係を修復した場合には慰謝料は50~100万円程度になると考えましょう。

 

2-3.その他慰謝料が高額になりやすい要素

以下のような要素があると、不倫慰謝料は高額になりやすい傾向があります。

  • 不倫関係が長い、不倫が行われた回数が多い
  • 不倫によって夫婦生活に大きな悪影響を与えた
  • 不倫した当事者が家出した、生活費を払わなくなった
  • 夫婦に未成年の子どもがいる、子どもの人数が多い
  • 不倫相手や不倫した妻が妊娠した
  • 不倫相手が積極的に夫婦関係を破綻させるための嫌がらせをした
  • 不倫が発覚した後の態度が不誠実

 

なお法律上「不貞」といえるには「配偶者と不倫相手の肉体関係」が必要ですが、肉体関係を立証できなくても低額な慰謝料が発生する可能性があります。それは、社会通念の常識を超えるような不適切な交際関係により、平穏な夫婦関係を侵害したといえる場合。

常識的な限度を超えて配偶者のある人と恋愛関係となり親密なやり取りをしていた場合などには、50万円程度の慰謝料が認められた裁判例がいくつもあります。

肉体関係を立証できなくても、必ずしも慰謝料請求をあきらめる必要はありません。

 

3.なるべく高額な慰謝料を請求するためのポイント

なるべく高額な慰謝料を支払わせるには、以下のような点に注意しましょう。

3-1.確実な肉体関係の証拠を集める

まずは不倫(肉体関係)の確実な証拠を集めましょう。証拠がなかったら、相手にしらを切られてしまい支払を受けられないリスクが大きく高まります。

相手に慰謝料請求通知を送る前に綿密に証拠集めをしましょう。

3-2.話し合いで解決する

裁判になると裁判費用もかかりますし、慰謝料額は法的な相場に限定されます。

相手に支払い能力があるなら、話し合いで解決した方が高額な慰謝料を払ってもらいやすい可能性があります。

たとえば相手が納得するなら慰謝料を500万円やそれ以上に設定しても違法ではありません。

状況にもよりますが、上手に交渉すればより高額な慰謝料を獲得しやすくなります。

 

3-3.弁護士に依頼する

不倫の慰謝料請求は弁護士に依頼しましょう。弁護士であれば的確に証拠を集められますし、相手との交渉も有利に進められるものです。合意ができたら公正証書を作成し、確実に支払を受けられるための対策もできます。

 

当事務所では離婚や男女問題の解決に積極的に取り組んでいます。配偶者の不倫や浮気にお悩みの方がおられましたら、お気軽にご相談ください。

【離婚男女】熟年離婚で注意すべきポイント

2021-03-15

熟年離婚するときには、若い夫婦とは異なる注意点があります。

離婚後の生活、財産分与、年金分割などが重要なポイントとなってくるでしょう。

 

後悔しないため、離婚を切り出す前に、正しい知識をもって適切に準備を進める必要があります。

 

今回は熟年離婚で注意すべきポイントを弁護士が解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

1.離婚後の生活について

熟年離婚するなら、離婚後の生活について具体的な計画を立てておく必要があります。

50代、60代以上になると、新たに就職するのは難しくなるケースも多いためです。

専業主婦だった方などは夫から充分な財産分与を受けておかないと、たちまち生活に困ってしまうこともあるでしょう。

 

子どもが成人していたら養育費は請求できませんし、ひとり親への行政支援(児童扶養手当など)も受けられません。

 

  • 自分で仕事をして収入を得る
  • 田舎のある方は、実家に戻って生活する
  • 子どもと同居して生活費を折半する
  • 老齢年金を受け取っている方は、年金で足りない分のみはたらいて稼ぐ

こういった対応が考えられます。

 

収入の範囲で生活を維持できそうか、どのくらい財産分与や慰謝料を得られそうかなど、離婚を切り出す前にしっかりシミュレーションしておきましょう。

 

2.財産分与

熟年離婚するとき、非常に重要となるのが財産分与。婚姻期間が長い分、分与を受けられる資産額が大きくなるのが一般的です。

 

財産分与の対象となるのは、婚姻中に積み立てた夫婦共有財産。具体的には以下のようなものが対象になります。

  • 預貯金
  • 保険
  • 不動産
  • 株式、投資信託
  • 積立金
  • 退職金
  • 貴金属や時計などの高価品

 

相手が財産管理している場合には、財産隠しをされないようにしっかり調査しなければなりません。離婚を切り出すと警戒されて財産調査しにくくなる可能性があるので、離婚の話をする前に預貯金通帳や保険証書、ネット証券の取引明細書などの資料を集めましょう。

 

相手が財産を隠す場合、弁護士が情報照会したり裁判所から調査嘱託してもらったりすることで、明らかにできる可能性もあります。

 

自分で財産調査するのに限界を感じたら、弁護士までご相談ください。

 

 

3.年金分割

熟年離婚では、年金分割も忘れてはなりません。

年金分割とは、婚姻中に夫婦が払い込んだ年金保険料を分け合う手続きです。

熟年離婚では婚姻期間が長くなるので、分割対象となる金額も大きくなる傾向があります。

主婦などの方は年金分割をしておくと、将来年金を受け取れる年齢になったときに支給額を増額してもらえるので、生活が随分と楽になるでしょう。

 

平成20年3月31日以前に婚姻期間のある方や相手の扶養に入っていない方は、年金分割に際して相手の同意が必要です。同意を得られない場合、家庭裁判所で調停や審判を申し立てて年金分割の決定をしてもらわねばなりません。

 

また離婚が成立したら、2年以内に年金事務所へ行って「標準報酬改定請求書」を提出しなければならないので注意してください。2年を超えると年金分割を受け付けてもらえなくなるので、必ず早めに手続きを済ませましょう。

 

4.離婚前、別居中の生活費

離婚前に別居する際には「婚姻費用」も問題となります。

婚姻費用とは、夫婦がお互いに分担すべき生活費。離婚が成立するまでは夫婦はお互いに助け合わねばならないので、収入の高い側は低い側へ婚姻費用を払わねばなりません。

 

たとえば専業主婦で収入がなくても、別居したら相手に収入に応じた婚姻費用を請求できます。「別居したら生活できなくなる」と思い込んで我慢して無理に同居を続ける必要はありません。

 

婚姻費用の金額はこちらの算定表で計算できますし、弁護士に問い合わせていただけましたらご案内できますのでお気軽にご相談ください。

https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

「養育費」ではなく「婚姻費用」の表を参照しましょう。

 

ただし離婚すると婚姻費用はもらえなくなるので、離婚後は財産分与で受け取ったお金や自分の収入で生活をまかなう必要があります。

 

熟年離婚で後悔しないためには、事前の入念な準備と法的な知識が必須です。お子様にも相談しにくい方もおられるでしょう。弁護士は秘密を厳守いたしますのでご安心ください。長年の結婚生活に終止符を打ちたいとお考えの方がおられましたら、お気軽にご相談いただけますと幸いです。

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