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【相続】遺産分割協議で注意すべき「利益相反」について
遺産分割協議を進める際には「利益相反」に注意が必要です。
特に相続人に未成年者が含まれている場合、親と子どもの利益が相反してしまうケースが少なくありません。
利益相反しているのに無理に遺産分割協議を進めると、遺産分割協議が無効になってしまいます。
この記事では遺産分割協議で注意すべき利益相反について、解説します。
1.利益相反行為とは
利益相反行為とは、一方の利益になり、他方の不利益になる行為をいいます。
たとえば会社の取締役が自分の利益のために会社の利益を犠牲にして取引する場合などが該当します。
遺産分割の場面でも利益相反行為になる場合があります。
遺産分割協議で利益相反行為があると、その行為は無効になります。
2.相続で利益相反が問題になるケースとは
相続の場面で利益相反が起こるのはどういったケースなのか、みてみましょう。
2-1.未成年者が相続人となる場合
未成年者は、単独で法律行為をできません。未成年者の法律行為は親権者が代理するのが原則です。そこで遺産分割協議の場面でも、親権者が法定代理人として参加するのが原則となっています。
ただ親権者自身が相続人になる場合、親権者と未成年者の利益が相反してしまいます。
「親権者の遺産取得分が増えると未成年者が損をする」という意味で公平な遺産分割協議を期待できないためです。
未成年者が相続放棄する場合も同じです。
未成年者を相続放棄させると親権者の取得できる遺産が増えるので、親権者の利益になります。よって親権者が相続人となる場合、親権者は未成年者に代わって相続放棄ができません(ただし親権者自身も相続放棄するなら可能です)。
2-2.成年被後見人が共同相続人の場合
似たような問題は、成年被後見人が相続人になったケースでも起こります。
成年被後見人とは、判断能力が低下して成年後見人に財産管理などを行ってもらっている人です。成年被後見人と成年後見人が両方とも相続人になる場合、成年後見人が公平に遺産分割することを期待しにくくなります。よって利益相反行為として認められません。
成年被後見人が相続放棄する場合も同様です。成年被後見人が相続放棄すると成年後見人の遺産取得分が増えるという意味で、両者の利益が相反してしまいます。
2-3.遺言言執行者がいる場合
遺言執行者がいる場合にも、利益相反行為が起こる可能性があります。
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する役割を果たす人です。たとえば不動産の名義変更や預貯金の払い戻しなどを行います。
たとえば相続財産を売却する場合に遺言執行者に利益相反が生じる可能性があります。
「相続財産を売却して現金を長男に相続させる」という内容の遺言がある場合、遺言執行者が相続財産の買受人になると「自己契約」として利益相反行為になってしまいます。
3.利益相反する場合の対処方法
遺産分割協議の際に相続人に未成年者や成年被後見人が含まれていて利益相反してしまう場合、相続人はどのように対処すれば良いのでしょうか?
利益相反となる場合には、未成年者や成年被後見人の「特別代理人」を選任しなければなりません。特別代理人は相続に利害関係のない人から選ばれます。特別代理人が選任されれば、特別代理人を交えて遺産分割協議ができますし、特別代理人は未成年者や成年被後見人のために相続放棄もできます。
特別代理人の選任方法
特別代理人を選任するためには、家庭裁判所へ申立てしなければなりません。相続人の中に未成年者や成年被後見人が含まれていて親権者や成年後見人も相続人となる場合には、早めに特別代理人選任の申立てをすると良いでしょう。
千葉県の秋山慎太郎総合法律事務所では遺産分割に積極的に取り組んでいます。利益相反について疑問や不安のある方は、一度お気軽にご相談ください。
【相続】4種類の遺産分割方法
遺産分割の方法には以下の4種類があります。
- 現物分割
- 代償分割
- 換価分割
- 共有
それぞれメリットとデメリットがあり、状況に応じて分割方法を選択する必要があります。適切な方法を選択できるよう、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
今回は遺産分割の4種類の方法に付いて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.現物分割
現物分割は、遺産をそのままのかたちで分割する遺産分割方法です。たとえばAの土地を長男が相続し、Bの土地を次男が相続する場合などです。土地を分筆して分けるケースも現物分割になります。
シンプルに手続きができて手間がかからないのが現物分割のメリットです。
一方で、相続人間で不公平が生じやすいデメリットがあります。またすべての土地を分筆できるわけではありません。条例などで分筆が制限されている場所もありますし、建物はそもそも分筆できません。
2.代償分割
代償分割とは、特定の相続人が遺産を取得する代わりに、他の相続人へ代償金を払って清算する方法です。
たとえば3000万円の価値のある不動産があり、長男が不動産を取得して次男と三男にそれぞれ1000万円ずつ支払って清算する場合などです。
代償分割のメリットは、比較的公平に遺産分割しやすい点です。不動産を相続できなかった相続人も代償金を受け取れるので、納得しやすいでしょう。
ただし代償金を払う相続人に資力が必要です。資力のない相続人が代償分割によって不動産を取得したくても、できません。
また不動産の「評価額」について相続人同士で合意ができず、トラブルになるケースもよくあります。
3.換価分割
換価分割は、相続人全員が合意して財産を売却し、得られた現金を分け合う遺産分割方法です。たとえば3000万円の土地を売却し、売却金を兄弟3人で1000万円ずつ分け合うケースなどです。
換価分割のメリットは、相続人間で公平に遺産を分割できる点です。評価額の問題も発生しません。売ってしまえば固定資産税もかかりませんし管理の手間も省けます。
デメリットは、高く売れるとは限らない点です。売り急ぐと損をしてしまう可能性もあるでしょう。売ろうとしても売れない資産もあります。将来の値上がり益なども逃してしまう可能性がありますし、不動産からの収益も得られなくなってしまいます。
4.共有
共有とは、遺産を相続人同士の共有名義にする方法です。共有持分割合は通常、法定相続分に従います。
共有にすると遺産の形を変えずに全員が平等に相続できるメリットがあります。
しかし共有にはたくさんのデメリットがあるので注意が必要です。
- 売却や増改築、リフォームなどを行う際に共有者全員の同意が必要になってしまう
- 固定資産税を払わない共有者がいるとトラブルになる
- 独占的に不動産を利用する相続人がいると不公平感が生じる
- 再度の遺産相続が起こると権利が細分化されて複雑になり、物件の管理や処分がより難しくなる
5.遺産分割の進め方
遺産分割を進める場合、まずは相続人調査や相続財産調査を行いましょう。その上で相続人が全員参加して遺産分割協議を行う必要があります。
遺産分割協議が整ったら、遺産分割協議書を作成しましょう。不動産の相続登記や相続税申告を行う際にも遺産分割協議書が必要となります。
遺産分割協議の際に、相続人同士の意見が合わずにもめてしまうケースも珍しくありません。その場合には家庭裁判所の遺産分割調停を利用しましょう。調停では調停委員が間に入って調整をしてくれます。
弁護士に遺産分割協議や調停などの代理を依頼することもできます。弁護士に依頼すると自分たちだけで話し合うよりスムーズに話を進められるケースが多いので、もめてしまったら早めに弁護士に依頼するのが良いでしょう。
まとめ
千葉県の秋山慎太郎総合法律事務所では遺産相続案件に力を入れて取り組んでいます。遺産分割方法についてお悩み事がありましたら、お気軽にご相談ください。
【相続】遺産分割審判とは
遺産分割について当事者同士で話し合っても解決できない場合、遺産分割審判を利用して裁判所に遺産分割方法を決めてもらう必要があります。
この記事では遺産分割審判とはどういった手続きなのか、有利に進めるためにどのように対応したら良いのかなど、弁護士が解説します。遺産分割でもめてしまった場合にはぜひ参考にしてみてください。
1.遺産分割審判とは
遺産分割審判(いさんぶんかつしんぱん)とは、裁判所が遺産分割の方法を指定する手続きです。
遺産分割協議や遺産分割調停では当事者同士が合意して遺産分割の方法を決定しますが、遺産分割審判では当事者の合意は不要です。相続人同士がもめていても、審判官(裁判官)が遺産分割の方法を決めてくれます。
また遺産分割審判で遺産分割の方法が決まる場合、基本的には「法定相続分」に応じて遺産が分割されます。協議や調停の場合のように、当事者が自分たちで好きなように遺産の配分を決めることはできません。
遺産分割審判には強制執行力があるので、相続人たちはその内容に従わねばなりません。たとえば代償分割の方法が採用されたら土地建物などの取得者は他の相続人に代償金を払わねばなりません。審判にもとづいて不動産が競売にかかるケースもあります。
遺産分割審判では必ずしも当事者の希望通りに解決できるとは限らないので、過剰に期待しないようにしましょう。希望通りの結果(審判)を獲得するには、審判手続の中で裁判官に自分の希望する遺産分割方法が妥当であることなどについて根拠を示す必要があります。
2.遺産分割審判を利用すべきケース
以下のような場合、遺産分割審判を利用すべきといえます。
- 他の相続人と遺産分割の話し合いをしても合意できない
- 他の相続人と連絡がとれない、調停にも出頭しない
遺産分割審判と遺産分割調停の関係
遺産分割事件について、法律上は調停前置主義が採用されていません。遺産分割調停を先にしなくても遺産分割審判を申し立てられます。
ただし実際に調停なしに遺産分割審判を申し立てると、裁判官がまずは遺産分割調停に付するケースが大多数です。実質的には調停を先にしないで審判をするのは難しいといえるでしょう。
一方で、調停が不成立になると当然のように手続きが審判へと移行します。あえて調停不成立後に審判の準備をして申立を行う必要はありません。
3.遺産分割審判を有利に進める方法
遺産分割審判を有利に進めるにはどのように対応すれば良いのでしょうか?以下でみてみましょう。
3-1.自分の主張の根拠となる資料を提出する
まずは裁判官に対し、自分の主張が法的に正しいことを証明しなければなりません。
さまざまな資料を提出し、自分の主張が正しいことの根拠を示しましょう。
資料なしに言いたいことだけ述べていても、主張が通る可能性は高くはありません。
3-2.法的な主張を行う
遺産分割審判では、法的に意味のある主張を行うべきです。単なる希望を述べていても、法律的に意味が通るものでないと無視されてしまいます。
たとえば理由もなく法定相続分を無視した分け方を主張しても、通らないでしょう。
何が法的に正しいかわからない場合などには、弁護士に依頼するようおすすめします。
3-3,弁護士に依頼する
遺産分割審判を有利に進めるためには、弁護士に依頼すべきと考えます。専門知識のない方が1人で対応しようとしても、難しいためです。
特に対立する相手方に弁護士がついているのにこちらに弁護士がついていないと、著しく不利になってしまう可能性があります。
弁護士を選ぶ際には、日頃から遺産相続案件に力を入れている弁護士を探して依頼しましょう。
千葉県の秋山慎太郎総合法律事務所では遺産分割調停や審判の実績も多数あります。他の相続人ともめてしまってお困りの方がおられましたら、お気軽にご相談ください。
遺言書(公正証書遺言)作成に必要な証人とは?
公正証書遺言を作成するには証人が2名、必要です。
証人は基本的に、遺言者本人が見つけなければなりません。
この記事ではどのような人が証人になれるのか、専門家に証人を依頼する際の費用、証人が見つからないときの対処方法などをお伝えします。
公正証書遺言を作成しようと考えている方は是非参考にしてみてください。
1.公正証書遺言には証人が2人必要
公正証書遺言とは、公証人に公正証書として作成してもらう遺言書です。
自筆証書遺言よりも無効になりにくく破棄や隠匿などの危険も避けやすいメリットがあるので、多くの方に利用されています。
公正証書遺言を作成するには「証人」2人の立会が必要となります。遺言内容が本当に遺言者の意思を反映したものとなっているか、第三者の視点からチェックするのが目的です。
証人になると、後日トラブルが起こって裁判になった場合に「有効な遺言である」という証言を求められる可能性もあります。
なお秘密証書遺言の場合にも証人が必要となりますが、自筆証書遺言の場合には証人は不要です。
証人は自分で用意しなければならない
公正証書遺言を作成する際、証人は基本的に遺言者本人が用意しなければなりません。
証人には遺言書を作成する当日、公証役場に来てもらう必要があります。
2.公正証書遺言の証人になれる人となれない人
公正証書遺言を作成するとき、誰に証人を依頼すれば良いのでしょうか?
以下では証人になれる人となれない人について解説します。
2-1.証人になれる人
遺言書の証人に特別な資格はありません。
弁護士や行政書士などの専門家だけではなく、一般の個人にも証人を依頼できます。親族であっても友人知人などであってもかまいません。
ただし証人になれない欠格者に該当する場合には証人を依頼できません。
2-2.証人になれない人
欠格者となって公正証書遺言の証人になれないのは、以下のような人です。
未成年者
未成年者は遺言内容を正しく把握する能力が認められません。よって公正証書遺言の証人にはなれません。
推定相続人
将来遺産相続する予定の推定相続人にも証人を依頼できません。
受遺者
遺言によって財産を取得する受遺者にも証人を依頼できません。
推定相続人や受遺者の配偶者や直系血族
推定相続人や受遺者の配偶者や直系血族も公正証書遺言の証人になれません。
公証人の配偶者や四親等内の親族、書記、使用人
証人を要求する理由として公証人による不正を防ぐ目的もあります。
そこで公証人と関係のある親族なども遺言書の証人になれません。
3.証人の依頼先が見つからない場合の対処方法
公正証書遺言を作成しようと思っても、適切な証人候補が見つからない場合があります。その場合には、公証役場で紹介してもらいましょう。
紹介を受けると1人あたり6000~7000円程度の費用がかかります。
具体的な金額は公証役場によって異なるので、個別に問い合わせてみてください。
4.専門家に証人を依頼したときにかかる費用の目安
親戚などに適当な証人候補が見つからない場合、行政書士や司法書士、弁護士などの専門家に依頼することも可能です。
そういった場合には、1人あたり1万円程度の費用がかかると考えましょう。
ただし費用は依頼する専門家の種類や依頼先の事務所によっても異なるので、詳細は依頼先の専門家に確認してください。
5.欠格者に証人を依頼すると遺言書が無効になる
間違えて証人になれないはずの欠格者に証人を依頼してしまったら、その遺言書は無効になってしまいます。たとえば利害関係のある推定相続人の親族や未成年者に依頼してしまった場合などには公正証書遺言が無効になります。そのような事態に陥らないよう、自分で証人を用意する場合にはくれぐれも慎重に証人選びをしましょう。
千葉県の秋山慎太郎総合法律事務所では、遺産相続案件に力を入れて取り組んでいます。お気軽にご相談ください。
【相続】遺言を拒否できるケースとは
遺言書があっても必ずしもその内容どおりに遺産分割する必要はありません。
遺言書が無効になるケースもありますし、遺言書の内容を無視できる場合もあります。
この記事では遺言を拒否できるケースについて、弁護士が解説します。
遺言書の内容に納得できない方はぜひ参考にしてみてください。
1.相続人が全員合意した場合
遺言書があっても、相続人全員が納得して別の遺産分割方法を選択するならば遺言書に従う必要はありません。
相続人同士で話し合い、遺言書どおりに遺産分割しないことに決めたら遺言書で指定された以外の方法で遺産分割できます。
相続人同士の合意で遺言書の内容を拒否しても、特にペナルティや罰則はありません。
相続人全員の合意による遺産分割が難しくなる場合
ただし相続人以外の受遺者がいる場合、相続人だけが合意しても遺言書を無視できません。
受遺者の合意も必要となります。
また遺言執行者がいる場合にも、遺言書を無視した遺産分割は難しくなります。その場合、まずは遺言執行者を解任するか辞任を促さなければならないでしょう。
2.遺言書が無効になる場合
遺言書が無効になる場合にも遺言書どおりに遺産分割する必要はありません。
以下でどういった状況において遺言書が無効になるのか、みてみましょう。
2-1.自筆証書遺言の要式を満たしていない
自筆証書遺言の場合、要式を満たしていないと遺言書は無効になります。
たとえば以下のようなケースです。
全文が自筆で書かれていない
自筆証書遺言は全文を遺言者が自筆しなければなりません。一部でも自筆でない箇所があると無効になります。ただし遺産目録の部分だけは自筆する必要がありません。
日付が入っていない
遺言書には日付を入れる必要があります。日付の入っていない遺言書は無効です。
署名押印が抜けている
遺言書には遺言者の署名押印が必須です。署名押印が抜けている遺言書は無効になります。
加除訂正方法が間違っている
遺言書を訂正したり加筆したりする場合には、法律に従った方式で対応しなければなりません。加除訂正方法が間違っていると遺言書は無効になります。
2-2.遺言書作成時に意思能力を失っていた
遺言書作成当時、遺言者が意思能力を失っていると遺言書の種類を問わず無効になります。
たとえば遺言者が強度の認知症にかかっているのに周囲の親族が無理に遺言書を書かせた場合などです。
この理由で遺言書が無効になる場合、遺言書の種類を問いません。公正証書遺言でも遺言書が無効になる場合があります。
2-3.詐欺や脅迫によって書かれた遺言書
周囲の人による詐欺や脅迫行為によって無理に書かされた遺言書は無効です。
2-4.偽造や変造の遺言書
周囲の親族などが勝手に偽造したり書き換えて変造したりした遺言書も無効になります。
遺言書が無効になる場合には「遺言無効確認」の手続きをしなければなりません。
「遺言書が有効」と主張する相続人がいたら「遺言無効確認調停」や「遺言無効確認訴訟」を提起する必要があります。
3.遺留分侵害額請求できるケースも
遺言書が有効でも、兄弟姉妹以外の遺留分を侵害することはできません。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる最低限度の遺産取得割合です。
遺留分権利者は遺留分義務者に対し「遺留分侵害額請求」ができます。
遺留分侵害額請求をしても遺言書が無効になるわけではありませんが、遺留分に相当する金銭の支払いを受けられます。
遺言書の内容に納得できない場合には、遺留分侵害額請求の可否も確認してみてください。
まとめ
千葉県の秋山慎太郎総合法律事務所では、遺産相続のサポートに力を入れています。
遺言書の内容に納得できない場合や「遺言書が無効になるのではないか?」と考えられる場合には、お気軽にご相談ください。
遺言書作成を弁護士に相談するメリット
遺言書を作成すると、相続トラブルを予防しやすくなるなどのメリットがあります。
ただ自分1人で遺言書を作成しても、無効になってしまったり発見されなかったりするリスクが心配でしょう。
遺言書を作成するなら、弁護士に依頼するようおすすめします。
この記事では遺言書作成を弁護士に依頼するメリットをお伝えします。
これから遺言書を作成しようと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
1.適切な遺言書の種類を選択できる
一般的によく利用されている遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。また自筆証書遺言の管理方法については、自分で保管する方法と法務局に預ける方法があります。
自分1人で遺言書を作成する場合、どの種類の遺言書を作成して良いのか悩んだり、法務局に自筆証書遺言を預けるか公正証書遺言を作成するか迷ったりする方が少なくありません。
弁護士に相談すると、状況に応じて適切な遺言書作成・保管方法を確認できます。遺言書の種類や作成方法に迷ったときには弁護士へ相談しましょう。
2.無効になりにくい
せっかく遺言書を作成しても、無効になっては意味がありません。
ところが実際には個人の方が自己判断で遺言書を作成すると、無効になってしまう事例が多々あります。
弁護士に相談しながら遺言書を作成すると、無効になるリスクを大きく低減できます。
遺言書が無効になりにくいことも弁護士に遺言書作成を依頼するメリットといえるでしょう。
3.手間がかからない
遺言書を作成するには手間がかかります。
詳しい知識がない場合には、まずはどのような方法で遺言書を作成しなければならないのか調べなければなりません。慣れない作業に手間取る方も多数おられます。
弁護士に遺言書作成を相談すれば、正しい作成方法や段取りを確認できるのでスムーズに遺言書を作成できます。
手間をかけずに適切な遺言書を作成できることも弁護士に相談するメリットといえるでしょう。
4.遺言内容について相談できる
「遺言書を作成したい」と思っても、どのような内容にすればよいのか決めかねる方が多数おられます。
法務局や公証役場では、遺言書の内容についての相談はできません。遺言書の内容は遺言者が決めなければならないのです。
弁護士であれば、相続人や相続財産の状況を聞いて遺言書の内容からアドバイスができます。遺言内容について相談しておけば、死後の相続トラブルもより効果的に避けられるでしょう。
内容面でのアドバイスを受けられることも、弁護士に相談する大きなメリットの1つです。
5.遺言執行者になってもらえる
遺言書を作成するときには、遺言執行者をつけておくとより安心感が高まります。
遺言執行者とは、遺言内容を実現する人です。たとえば不動産の相続登記や預貯金の払い戻しなどの作業を行います。
ただ相続人から遺言執行者を選ぶと、他の相続人が反発して手続きがスムーズに進みにくくなるケースが少なくありません。
弁護士に遺言書作成を依頼した場合、弁護士が遺言執行者に就任するケースが多数あります。弁護士が遺言執行者になっていれば、相続人らも納得しやすくなりますし、手続自体もスムーズに進みやすくなるでしょう。
6.トラブルが起こっても対応しやすい
弁護士に遺言書作成を依頼していたら、いざトラブルが起こっても解決しやすくなります。
弁護士は紛争解決のプロなので、当事者の代理人などの立場で効果的に対応できるからです。
千葉県の秋山真太郎総合法律事務所では遺言書作成などの相続関係のサポートに力を入れて取り組んでいます。
遺言書の内容が決まっていない段階でもご相談に乗ることが可能ですし、遺言執行者への就任も受け付けています。遺言書を作成しようとする方は、ぜひともお気軽にご相談ください。
法定後見と任意後見の違い
後見制度には法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。
それぞれ利用すべきケースや利用の際の手続きの流れなどが異なるので、双方について正しく理解しておきましょう。
この記事では法定後見制度と任意後見制度の違いについて、弁護士が解説します。高齢になった後の財産管理方法などに関心のある方はぜひ参考にしてみてください。
1.後見制度とは
法定後見制度も任意後見制度も、両方とも後見制度の一種です。
後見制度とは、判断能力の低下した人の代わりに後見人が財産管理や身上監護などを行うための制度です。
認知症にかかったり知的障害・精神障害があったりして自分では適切に財産を管理できなくなった方のために後見制度が適用されます。
後見制度には法定後見制度と任意後見制度があるので、それぞれの特徴や違いについてみてみましょう。
2.法定後見と任意後見の違いとは
2-1.法定後見とは
法定後見とは、本人の判断能力が低下したときに親族などが家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てて後見人を選任してもらう制度です。
後見人としては本人の判断能力の低下度合いに応じて「成年後見人」「保佐人」「補助人」の3種類から選ばれます。
また後見人は裁判所が選任するので、本人が選ぶことはできません。
2-2.任意後見とは
任意後見は、本人があらかじめ後見人となろうとする人と契約しておく後見制度です。
判断能力が低下すると、事前に締結された任意後見契約内容に従って任意後見人が後見活動を開始します。
本人の判断能力があるうちに本人が契約するので、任意後見人になる人は本人が選べます。
2-3.後見人を選べるかどうかの違い
法定後見と任意後見では、後見人の選任方法が異なります。法定後見の場合、本人が後見人を選ぶことはできず、裁判所が選任します。一方任意後見の場合、本人が気に入った人を任意後見人として選任できます。
ただし法定後見でも、申立人(本人ではなく親族であるケースが多数)は後見人の候補者を立てられます。親族同士に争いがなく財産関係も単純な事案であれば、候補者がそのまま後見人に選任されるケースが少なくありません。親族同士で争いがある場合などには、裁判所が弁護士などの専門家から選任するのが一般的です。
2-4.後見開始の手続方法の違い
法定後見制度の場合、本人や親族などが家庭裁判所で後見開始の申立を行わねばなりません。調査を経て、本人に後見人が必要と判断されると、裁判所の決定によって後見が開始されます。
一方、任意後見の場合には本人があらかじめ後見人となる人と任意後見契約を交わします。任意後見契約書は公正証書にして、登記しなければなりません。
後に本人の判断能力が低下したときに任意後見人などが家庭裁判所へ申し立てて任意後見監督人が選任されると、予定されていた任意後見人による後見が開始されます。
2-5.本人の判断能力が低下してから利用できるかの違い
法定後見と任意後見では、利用できる時期も異なります。
任意後見の場合、本人が契約をしなければならないので契約できるだけの意思能力が必要です。意思能力が失われてしまったら、有効な契約ができないので任意後見を利用できません。
法定後見の場合、親族などが申し立てをして裁判所が後見人を選任できるので、本人に意思能力は不要です。認知症などが進行して本人が寝たきり状態となっても法定後見なら利用できます。
2-6.後見人の権限
法定後見と任意後見では、後見人に与えられる権限も異なります。
法定後見の場合、後見人の種類にもよりますが、法律によって取消権や代理権、同意権が認められます。
一方、任意後見の場合には、どのような事柄を委任するかは本人と任意後見人の契約によって定めます。任意後見人に同意権や取消権はありません。
第三者による財産管理が必要な場合、状況に応じて法定後見や任意後見を使い分ける必要があります。千葉県で後見制度のご利用を検討されている場合、お気軽に秋山慎太郎総合法律事務所までご相談ください。
【相続】遺言書を作成した方が良いケース
遺言書を作成すると、遺産相続トラブルを防止しやすくなります。
ただ、いつのタイミングで遺言書を作成すれば良いのかわからない方も多いでしょう。
この記事では遺言書を作成した方が良いケースについて、解説します。
遺言書を作成しようかどうか迷われている方はぜひ参考にしてみてください。
1.相続分を指定したい
特定の相続人に遺産を多めに渡したいなど、相続分を指定したい場合には遺言書が必要です。遺言書がなかったら、法定相続分に応じて遺産が分配されてしまうからです。
たとえば長男にすべての財産を受け継がせたい場合などには、必ず遺言書を作成しましょう。
2.特定の財産を特定の相続人へ相続させたい
自宅不動産など、特定の財産を特定の相続人へ相続させたい場合にも遺言書を作成しましょう。遺言書がなかったら、相続人たちが自分たちで話し合って遺産相続の方法を決めます。その際、誰がどの財産を相続するかは相続人たちが決めるので、被相続人は決められません。
遺言書があれば特定の財産の相続方法まで指定できるので、希望があれば遺言書を作成しておくべきです。
3.相続人以外の人に遺贈したい
相続人以外の人に財産を受け継がせたい場合にも遺言書が必要です。
遺言書がなかったら、財産は法定相続人にしか受け継がれません。たとえば長男の嫁やお世話になった人などに遺産を受け継がせたい場合、必ず遺言書を作成して「遺贈(遺言によって財産を受け継がせること)」しておきましょう。
4.内縁の配偶者がいる
内縁の配偶者がいる場合にも、必ず遺言書を作成しておきましょう。
内縁の配偶者には相続権が認められないからです。自宅不動産や預金などが引き継がれないので、死亡するとたちまち配偶者の生活が脅かされる可能性もあります。
内縁の配偶者の生活を守るため、お互いが元気なうちに自宅や預金などの財産を遺贈する内容の遺言書を作成しておくようおすすめします。
5.天涯孤独
天涯孤独で親族がいない方の場合にも、遺言書を作成するようおすすめします。遺言書がなかったら、財産は最終的に国のものになってしまいます。
お世話になった人に遺贈したり自分が関連する団体、慈善団体などに寄付したりして有用な方法で財産を使ってもらいたい場合、遺言書の作成が必須となります。
6.事業承継のケース
経営者の方が事業承継を検討している場合にも、必ず遺言書を作成しておきましょう。
遺言書で後継者へ財産を集中させておかないと、後継者による経営の引き継ぎがスムーズに進まない可能性が高まります。
ただし他の相続人による遺留分侵害額請求の可能性にも配慮しなければなりません。
遺留分侵害額請求を避けられない場合には、後継者へ死亡保険金を受け取らせて遺留分侵害額の支払資金にするなど対策しましょう。
7.生前贈与した相続人がいる
生前贈与した相続人がいる場合にも、遺言書を作成しておくべきです。
生前贈与した相続人がいると、その相続人には「特別受益」が認められます。特別受益がある場合、特別受益の持戻計算を行ってその相続人の取得分を減らせます。
ただ特別受益の持戻計算を行うべきかや、どのようにして持戻計算をすべきかなどの点で相続人がもめてしまうケースが少なくありません。
遺言書であらかじめ遺産分割の方法を指定しておけば、特別受益の持戻計算の問題で相続人たちがもめる必要はありません。遺言書で特別受益の持戻計算を免除することも可能です。
8.死後に子どもを認知したい
生前に子どもを認知するとトラブルが予想されるので、死後に子どもを認知したい場合にも遺言書を作成しましょう。なおその場合、遺言執行者が必要になります。弁護士などの信頼できる人を遺言執行者にしておくと良いでしょう。
千葉県の秋山慎太郎総合法律事務所では遺産相続の案件に積極的に取り組んでいます。遺言書作成のサポートも承りますので、お気軽にご相談ください。
【相続】遺産の使い込みトラブルを弁護士に相談するメリット
他の相続人が預金などの遺産を使い込んでトラブルになったら、できるだけ早めに弁護士に相談しましょう。
自分で対応するよりスムーズかつ有利な条件で解決できる可能性が高くなります。
今回は使い込み問題を弁護士に相談するメリットをお伝えします。
1.有効な証拠集めができる
使い込みトラブルが起こったら、相手から遺産を取り戻さねばなりません。
そのためにはさまざまな「証拠」となる資料が必要です。
ところが素人ではどのような証拠をどうやって集めたらよいか、わからないケースが多いでしょう。
弁護士に相談したら訴訟になっても有効となる証拠の種類や集め方を確認できますし、証拠収集の依頼もできます。
有効な証拠集めができるメリットがあるといえます。
2.相手との交渉を任せられる
遺産を使い込まれた場合、相手に請求をして取り戻すための交渉を進めなければなりません。
ただ交渉のためには法的な知識が必要ですし証拠も集めなければなりません。本やネットで情報収集をしなければならないでしょうし、相手と連絡をとる手間もかかります。
また親族同士で遺産問題について話し合うと、どうしても感情的になりトラブルが拡大してしまいがちな問題もあります。
弁護士に使い込み金の取り戻しを依頼したら、弁護士が全面的に話し合いに対応します。
依頼者の方にご負担をおかけすることはありません。貴重な労力や時間を節約できることも大きなメリットとなるでしょう。
3.相手の態度が変わるケースが多い
当事者が自分で相手に使い込み金の返還を要求しても、真摯に対応してもらえないケースが多々あります。無視されるケースも多いですし「使い込みをしていない」と否定される事例も少なくありません。
弁護士を代理人に立てれば、相手の態度が変わる可能性があります。
これまで無視されていた場合や「使い込んでいない」と否定されていた場合でも、弁護士が法的根拠をもって返還を要求すれば話合いに応じさせることができて、遺産を取り戻せるケースがよくあります。
4.有利な条件で解決しやすくなる
自分で相手と交渉しても、期待していた通りに遺産を取り戻せるとは限りません。
相手との関係性なども影響して「これだけしか返還しない」といわれ、少額の返還で納得せざるを得ないケースもあります。
弁護士に交渉を任せれば、法的な根拠をもって相手に請求するので正当な金額の取り戻しが可能となります。
自分で交渉するよりも有利な条件で解決できる可能性があることも弁護士に依頼するメリットです。
5.ストレスがかからない
使い込まれた遺産を取り戻すため、相手と交渉するのは大変なストレスとなるものです。
返答や反論があるたびに怒りや焦りを感じて不眠などの症状が出てしまう方も少なくありません。
弁護士に対応を依頼すると、相手とのやり取りはすべて弁護士が進めます。自分で直接トラブルの相手と話す必要がなくなり、ストレスが大きく軽減されるメリットも得られるでしょう。
6.訴訟になっても安心して任せられる
使い込みトラブルが発生してどうしても話し合いでは解決できない場合、最終的には「訴訟(裁判)」を起こさねばなりません。ただ、素人の方が自力で訴訟を進めるのは困難です。
訴訟を避けるため、相手の提示した不利な条件で妥協してしまう方も少なくありません。
弁護士に交渉を任せていれば、交渉が決裂しても引き続いて訴訟を任せられます。
訴訟を避ける必要がないので最後まで強気で交渉できますし、万一訴訟が必要になっても適切に対応して使い込み金を取り戻しやすくなります。
7.相続に強い弁護士へ相談を
使い込みトラブルを有利な条件で解決するには、遺産相続に詳しく親身になって対応してくれる弁護士に依頼する必要があります。
当事務所は千葉県エリアを中心として、これまで多数の相続トラブルを解決してきました。使い込みトラブルでお困りの方がおられましたら、お気軽にご相談ください。
【相続】自筆証書遺言を法務局に預ける制度について
2020年7月10日から、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度が開始されました。
この制度を利用すると、自筆証書遺言を自分で保管する必要がなく、紛失や破棄などのリスクもなくなります。
メリットも多い制度ですが、利用の際には費用もかかり注意点もあります。
今回は自筆証書遺言の法務局における保管制度について弁護士がわかりやすくお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.自筆証書遺言の保管制度とは
自筆証書遺言の法務局における保管制度とは、遺言者が作成した自筆証書遺言を管轄の法務局で預かってもらえる制度です。
これまで、自筆証書遺言を作成したら遺言者が自分で管理しなければなりませんでした。
すると、死亡時までに紛失してしまったり、死亡後に発見されなかったり、あるいは発見した相続人が破棄、隠匿したり書き換えてしまったりするリスクがあります。
そこで今回自筆証書遺言を法務局に預けられる制度を作り、遺言者が自分で管理しなくてよいようになりました。
なおすべての自筆証書遺言を法務局に預けなければならないわけではなく、自分で管理してもかまいません。その場合には従来通りの取り扱いになります。
2.自筆証書遺言を法務局に預けるメリット
自筆証書遺言を法務局に預けると、以下のようなメリットがあります。
2-1.紛失、破棄隠匿のリスクがない
自筆証書遺言を自分で管理していると、なくしてしまう可能性があります。
発見した相続人が中身を見て捨ててしまったり、隠してしまったりするリスクもあるでしょう。
法務局に預ければ、紛失のリスクはありませんし相続人が破棄隠匿することもできません。
遺言者の遺志を実現しやすくなるメリットがあります。
2-2.検認が不要
遺言者が自分で自筆証書遺言を管理していた場合、死後に相続人は家庭裁判所で「検認」をうけなければなりません。検認を受けない遺言書では相続登記や預貯金払い戻しなどの相続手続きを進められません。
一方、自筆証書遺言が法務局に預けられていた場合、検認は不要です。相続人に手間をかけずに済む点もメリットといえるでしょう。
2-3.相続人へ通知できるので発見されないリスクを低下させられる
自筆証書遺言を自分で保管していると、相続人が発見してくれない可能性もあります。
そうなったらせっかく遺言書を作成しても意味がありません。
法務局に預けた場合、死後に相続人へ通知するサービスを利用できます。
通知を受ければほぼ確実に遺言書が発見され、遺志を実現しやすくなるメリットがあります。
3.自筆証書遺言を法務局に預ける際の費用と注意点
3-1.費用
自筆証書遺言を法務局に預ける際には1通について3900円かかります。公正証書遺言の場合には数万円単位の費用がかかるのが一般的ですから、法務局における保管制度の方が随分低額といえるでしょう。遺言書の閲覧請求をする場合、モニター越しであれば1回1400円、原本確認は1回1700円かかります。
預けた遺言書を撤回したり内容変更の届出をしたりする際には、費用はかかりません。
3-2.注意点
法務局に自筆証書遺言を預ける場合、内容の審査は受けられません。不備があれば無効になってしまう可能性があります。内容について不安があるなら弁護士へ相談しましょう。
また法務局での保管制度を利用するには「遺言者本人」が管轄の法務局へ遺言書を持参しなければなりません。その際、運転免許証などの「写真付きの本人確認書類」が必要です。
代理人による申請はできません。ご本人が法務局に行けない状態であれば、公正証書遺言を利用する必要があります。
遺言書を作成するとき、自筆証書遺言を法務局に預けるべきか公正証書遺言を利用すべきかについては、ケースバイケースで判断する必要があります。迷ったときには弁護士へご相談ください。
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