不動産を共有していると、さまざまなリスクが発生します。
たとえば相続の際にはできるだけ共有にしないのが得策ですし、誰かと共有状態になっているなら早めに解消する措置をとるのがよいでしょう。
今回は不動産を共有しているとどういったリスクが発生するのか、ご説明します。
1人の持分権者が独占する
複数の人が共有している不動産でも、各共有持分権者は単独で土地や建物を使用できます。
1人が独占して使用しても法的な問題はありません。ただし他の共有持分権者の持分を使用しているので、使用料を払うべきです。
ところが相続物件などの場合、1人の相続人が従前から独占的に使用していても使用料を払わないケースが多々あります。すると他の共有持分権者が不満を抱いてトラブルになる可能性があります。
固定資産税や管理費用の清算でトラブル
不動産を所有していると、毎年固定資産税がかかります。
建物の管理や修繕にも費用がかかるでしょう。
共有不動産にかかる経費は、共有持分権者が持分割合に応じて負担すべきです。ところが共有持分権者同士のコミュニケーションがうまくとれていないと、税金や費用の清算がスムーズにできずにトラブルになってしまいます。
また1人の共有持分権者が固定資産税を立て替えたのに他の共有持分権者が払ってくれないので、1人に負担が集中してしまうトラブル事例もみられます。
活用や処分の方法で意見が合わずトラブル
共有不動産を「改良、利用」するためには過半数の共有持分権者による同意が必要です。
この場合の「過半数」は、共有持分権の割合によって算定します。人数ではないので注意しましょう。
たとえば建物のリフォーム、リノベーション、増改築の際には過半数の共有持分をもった持分権者が合意しなければ、計画を進められません。
また共有不動産に抵当権を設定したり売却したりするには、持分が小さい人も含めて共有持分権者「全員」の合意が必要です。老朽化した建物の解体についても同様で、1人でも反対する人がいると、処分ができません。
共有持分権者相互の関係が円滑でないと、活用や処分が難しくなってしまいます。
意見が合わずにトラブルになるケースも多いですし、他の共有持分権者と連絡をとりづらいので活用せずに物件を放置してしまうケースも多々あります。
相続が起こってトラブルに
共有持分権者が死亡して相続が発生すると、共有持分が細分化されてしまいます。
もともとの共有持分権者間では連絡を取れていても、相続が発生するとお互いに相手を知らず、コミュニケーションをとれなくなってしまうケースが少なくありません。
世代が変わると共有不動産の管理や処分はどんどん難しくなっていきます。
共有不動産のリスクを回避する方法
共有不動産のリスクを回避するには、以下のような方策をとりましょう。
そもそも共有にしない
共有状態になるきっかけとしては「相続」が非常に多数となっています。
共有を避けるため、相続の際には相続人同士の共有にせずに特定の相続人が単独で取得するように協議を行いましょう。
共有物分割請求をする
共有状態になってしまったら、他の相続人へ共有物分割請求を行えば解消できます。
たとえば自分の持分を相手に買い取るよう求めたり、相手の持分を買い取ったり、あるいは不動産を売却して現金を他の共有持分権者と分けたりします。
ただし話し合いで解決できなければ訴訟を起こさねばなりません。
共有持分を売却する
自分の共有持分のみを第三者へ売却する方法もあります。
ただし一般の個人は共有持分の買取に関心を示さないケースがほとんどで、売り先は主に専門の共有持分買取業者(不動産業者)となります。多くの場合、売却金額が市場価格の半額程度となってしまうので、経済的には損失となるでしょう。
共有物件についてお悩みがある場合、弁護士が共有関係解消や物件活用、他の共有持分権者との交渉などサポートいたします。千葉県で不動産トラブルにお困りの方がおられましたらお気軽にご相談ください。