【労働】残業代の計算方法と請求方法

残業しているのに残業代が不払いになっている場合、会社へ未払いの残業代を請求できます。泣き寝入りする必要はないので、きちんと計算して請求しましょう。

この記事では残業代の計算方法や請求する手順を解説します。

日々忙しく残業しているにもかかわらず残業代を払ってもらっていない場合、ぜひ参考にしてみてください。

 

1.残業代の計算方法

まずは残業代の計算方法をみてみましょう。

 

1-1.残業代の計算式

残業代は、以下の計算式によって計算します。

 

  • 未払い残業代=1時間あたりの単価×残業時間×割増賃金率

 

1-2.1時間あたりの単価について

1時間あたりの単価は、以下のように計算します。

 

  • 1時間あたりの単価=(基本給と諸手当)÷(1か月の所定労働時間)

 

基本給と諸手当について

1時間あたりの単価を計算する際には、基本給だけではなく諸手当も含んで計算します。

ただし家族手当、通勤手当、子女教育手当、住宅手当などは含みません。

 

所定労働時間とは

所定労働時間とは、会社がそれぞれ定めている労働時間です。たとえば1日7時間で週5日の勤務なら1週間の所定労働時間は35時間になります。

 

1か月の所定労働時間は、以下のようにして求めます。

  • 1か月の所定労働時間=(月の日数-会社が定める所定休日の日数)×1日の労働時間

 

1-3.残業時間について

残業時間は、実際に残業した時間です。タイムカードや業務日報、手帳などの資料で確認しましょう。

1-4.割増賃金率について

割増賃金率とは、残業した時間によって適用される割増率です。

労働基準法上、最低でも以下の割増賃金率を定めなければならないとされています。

残業の種類

割増賃金率

時間外労働(法定労働時間を超えて働いた場合)

25%

時間外労働(1か月の残業時間が60時間を超えた場合)

ただし中小企業の場合、2023年3月末まで猶予される※

50%

深夜労働(午後10時から午前5時まで働いた場合)

25%

休日労働(法定休日に労働した場合)

35%

深夜に法定労働時間を超えて働いた場合

50%

1か月に残業時間が60時間を超えていて深夜労働した場合

75%

休日に深夜労働した場合

60%

 

1か月に60時間を超えた場合、2023年3月31日までは中小企業の場合、割増率を50%にする必要がありません(25%で済みます)。ただし2023年4月1日からは中小企業でも大企業と同様に割増賃金率を50%にしなければなりません。

 

1-5.残業代計算の具体例

1時間あたりの単価が3000円の人が、毎日午前8時から午後8時まで(休憩時間1時間)の毎日11時間はたらき、勤務日数が20日だったケース。所定労働時間は1日8時間。

 

この場合、1時間あたりの単価は3000円です。

残業時間は3時間×20日=60時間になります。

割増賃金率は25%なので、残業代は以下のようになります。

 

3000円×60時間×1.25=225000円

 

このケースでは労働者は会社に対し、225000円の残業代を請求できます。

2.残業代を請求する手順

残業代を計算できたら、会社へ請求手続きを進めましょう。

以下で残業代を請求する手順をお伝えします。

STEP1 証拠を集める

まずは残業代の証拠を集めましょう。タイムカードや業務日報、パソコンのログインログオフ記録などが証拠になります。

STEP2 残業代を計算する

証拠が揃ったら残業代を計算しましょう。

STEP3 内容証明郵便で残業代の請求をする

計算ができたら、会社へ内容証明郵便を使って残業代の請求書を送りましょう。

STEP4 交渉する

会社と交渉して残業代の支払い金額などを決定します。

STEP5 合意して異支払いを受ける

合意できたら合意書を作成して、残業代の支払いを受けましょう。

STEP6 支払われない場合、労働審判や労働訴訟を起こす

会社が残業代の支払いに応じない場合には、労働審判や労働訴訟を起こして残業代を請求しましょう。

 

残業代を請求するには、正確に計算をして会社とも交渉しなければなりません。弁護士によるサポートが必要となります。お困りの方はお気軽にご相談ください。

 

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