労働審判とは?流れや弁護士に依頼するメリットを解説

労働者の方が雇用先の企業とトラブルになったとき、労働審判を利用するとスムーズに解決できるケースがよくあります。

労働審判は裁判とは異なり「話し合い」をメインとして進められる手続きで、裁判より迅速に終了するメリットもあります。

今回は労働審判の概要や流れ、弁護士に依頼するメリットについて解説します。残業代や解雇トラブルなどに巻き込まれた方はぜひ参考にしてみてください。

 

1.労働審判とは

労働審判とは、残業代不払いや解雇トラブルなど、労働者と雇用者との間の労働紛争を解決するための裁判所の手続きです。

訴訟よりも迅速に問題を解決できて、原則3回までとして審理を終了します。

当初は話し合いによる解決を目指しますが、最終的に当事者が合意できない場合には「審判」によって裁判所が一定の結論を下します。

ただし当事者が審判に対して異議を申し立てた場合、審判は確定せずに訴訟へと移行します。

 

労働審判にかかる期間はおおむね2~3か月です。裁判所によると、平成18年から令和3年までに終了した労働審判事件の平均審理期間は80.6日で、全体のうち67.6%が申立てから3か月以内に終了しています。

 

労働訴訟となると1年やそれ以上かかるケースもあるので、迅速に解決できる労働審判は労働者、企業側双方にとってメリットがあるといえるでしょう。

 

また労働審判は、訴訟とは異なり「非公開」ですので、他人に傍聴されて知られることもありません。

 

2.労働審判で扱える事件

労働審判で扱えるのは、「労働者と雇用主との間での労働トラブル」に限られます。すべての労働問題を扱えるわけではありません。

よく利用されるのは、以下のような場合です。

  • 残業代に関するトラブル
  • 賞与や退職金不払いに関するトラブル
  • 不当解雇に関するトラブル
  • 企業側の安全配慮義務違反に関するトラブル

 

 

一方、以下のような場合、労働者対雇用者の問題ではないので労働審判は利用できません。

  • 上司からパワハラやセクハラなどの被害を受け、上司に対して損害賠償請求を行う

この場合、上司は雇用者ではないので「労働者対雇用者」という構図になりません。よって労働審判は利用できないのです。

 

なお同じセクハラやパワハラのケースでも、会社による職場環境配慮義務違反を問う場合であれば労働審判を利用できます。

 

3.労働審判の流れ

STEP1 証拠を集める

まずは申立を行う側が証拠を集めましょう。たとえば残業代請求なら、雇用契約書や給与明細書、タイムカードやシフト表の写しなどが必要となります。

STEP2 申立を行う

証拠が揃ったら申立書を作成し、申立を行いましょう。

裁判所の管轄は以下の3つのうちいずれかとなります。

  • 相手方の住所や居所、営業所などを管轄する地方裁判所
  • 現在の就業場所あるいは最後に就業した場所を管轄する地方裁判所
  • 当事者間の合意によって定めた地方裁判所

STEP3 企業側から答弁書が提出される

申立後、通常は企業側から答弁書が提出されます。

STEP4 第1回期日

第1回期日では企業側との話し合いを進めます。間に労働審判委員が介入するので、当事者同士で話し合うよりはスムーズに進むケースが多数です。1回目で調停が成立すれば1回で手続きが終了します。

STEP5 第2回期日、第3回期日

継続して話し合いを行います。両者で合意ができれば調停が成立します。

STEP6 審判

3回の期日においても合意できない場合には、裁判所が審判によって結論を出します。

STEP7 異議申立て

当事者が審判内容に納得できない場合、異議申し立てが可能です。異議申し立ては、審判書を受け取ってから2週間以内に行う必要があります。

 

4.労働審判を弁護士に依頼するメリット

労働審判は自分でもできますが、主張を認めてもらうには的確な証拠を集めて法律的な主張を行わねばなりません。

専門知識のない方が1人で取り組むと不利になりやすいでしょう。

弁護士に依頼すると専門家である弁護士が証拠や主張をまとめるので、手間が省けるだけではなく有利に進めやすくなるものです。精神的負担も軽減されるでしょう。

 

千葉県の秋山慎太郎総合法律事務所では労働者の法的サポートにも力を入れて取り組んでいます。会社とトラブルになってお悩みの方がおられましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

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