日本の離婚率は年々高くなっており、離婚は決して珍しいことではなくなっています。離婚する際には財産分与や慰謝料、養育費などのお金の問題を取り決めることになりますが、将来相続が発生した場合のことについてまで考えることは少ないもの。相続が起こる段階になってトラブルとなる場合もあります。ここでは、離婚と相続についてのポイントをご説明します。
離婚した元配偶者は相続人にはならない
民法では、亡くなった人に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人となると定めています。この場合の配偶者とは、あくまでも婚姻関係にある相手のことです。事実婚すなわち内縁関係の相手は、どんなに長くその関係にあったとしても相続人とはなりません(遺言により遺贈を行うことは可能です)。
かつて婚姻関係にあった元配偶者も、相続が発生した時点で婚姻関係にない以上、相続人とはなりません。離婚した時点で元配偶者に相続権はなくなるのです。
親が離婚しても子どもには相続権がある
離婚した場合に元配偶者は相続人とはなりませんが、相手との間に子がいる場合、その子は相続人となります。民法では、子は第一順位の相続人と定められています。たとえ両親が離婚して他人になったとしても、親子の関係がなくなるわけではありませんので、どちらが親権者になったのかとか、どちらと同居していたのかなどに関わらず、子は相続人となるのです。実際に「何十年も音信不通だった親が亡くなったということで、遺産相続の件で連絡が来た」あるいは逆に「遺産相続の件で前妻の子どもと連絡を取らなければならなくなった」というケースは少なくありません。
連れ子に相続権が発生するかは養子縁組の有無で決まる
では、結婚相手に子どもがいる場合、いわゆる「連れ子」に相続権は発生するのでしょうか。連れ子と義理の親との間にはそのままでは法律上の親子関係はありませんので、連れ子の親が結婚したからといって自動的に義理の親の相続人となるわけではありません。義理の親と連れ子は、養子縁組をしてはじめて法律上の親子関係が生じ、相続人となるのです。
離婚する際には、連れ子との離縁も必要?
逆に、結婚相手の連れ子と養子縁組をしていた場合、離婚しただけでは連れ子は養子として相続権を有することになります。元配偶者とは別れたが、養子縁組をした連れ子には愛情があり、是非とも財産を遺してやりたいという場合であれば良いのですが、そうでないならば、離婚をする際には同時に連れ子とも離縁しておかないと、後々トラブルに発展してしまう可能性がありますので注意が必要です。