不動産を他の人と共有していると、自分一人の判断では自由に活用や売却ができません。
固定資産税や維持費用などの負担もかかってしまいます。
そこで「共有関係を解消したい」と考えた方からご相談をお受けするケースもよくあります。
今回は不動産の共有関係を解消するための「共有物分割請求」について、弁護士が解説します。
兄弟や親戚、第三者などと不動産を共有している方はぜひ参考にしてみてください。
1.共有関係を解消する方法
不動産の共有状態を解消するには、以下の5種類の方法があります。
1-1.他の共有者に買い取ってもらう
1つ目は他の共有者にこちらの持分を買い取ってもらう方法です。
物件の完全な所有者になりたい持分権者がいたら、交渉が成立する可能性があります。
1-2.他の共有者の持分を買い取る
2つ目は、自分が他の共有持分権者の持分を買い取る方法です。
すべての共有持分を買い取れば、物件の完全なオーナーになれます。
1-3.売却して現金で分ける
3つ目は、他の共有持分権者と協力して物件全体を売却する方法です。
売却金から経費を差し引いた残りの金額は、共有持分割合に応じてそれぞれの持分権者が分配します。
ただし共有持分権者全員が足並みをそろえなければならないので、非協力的な共有者がいるとうまくいきません。
1-4.分筆する
土地の場合、分筆してそれぞれの共有持分権者が分筆後の土地を取得できるケースもあります。
ただし建物は分筆できませんし、すべての土地を分筆できるわけでもありません。
1-5.共有持分のみを売却する
5つ目の方法は、自分の共有持分のみを売却する方法です。この方法であれば他の共有持分権者の協力は要りません。
ただ共有持分を買い取るのは専門の不動産買取業者くらいしかなく、そういった業者に売却すると価格が市場の半額程度になってしまうケースが多数です。
2.共有物分割請求の手順
法律上、共有物件を分割するには「共有物分割請求」をしなければなりません。
共有物分割請求をすると、現物分割(分筆)、代償分割(代償金を払って他の共有持分権者の持分を取得する)、換価分割(売却して現金で分ける)の3つの方法のいずれかによって物件を分けられます。
以下では共有物分割請求の手順をご説明します。
STEP1 話し合う
まずは他の共有持分権者と話し合いをしなければなりません
協議せずにいきなり訴訟を起こせないので、他の共有持分権者との関係が悪化していても何らかの協議をする必要があります。
相手の持分を買い取るかこちらの持分を売るか、あるいは売却して分けるのかなど、話し合いましょう。
STEP2 調停を申し立てる
直接の協議が難しい場合には、共有物分割調停を申し立てましょう。調停をすると、調停委員が間に入って話し合いを調整してくれます。相手と合意できれば調停が成立して、共有不動産を分割できます。
なお共有物分割請求において調停は必須ではありません。
当事者間で行う協議または調停のいずれかの手続きを踏めば、訴訟を申し立てられます。
もちろん協議が不成立になった後あらためて調停を利用しても問題はありません。
STEP3 訴訟を提起する
協議が整わない場合や調停が不成立になった場合には、共有物分割請求訴訟を申し立てる必要があります。
訴訟は話し合いの手続きではないので、裁判官が「現物分割」「代償分割」「換価分割」のうちいずれかの分割方法を決定します。
ただし訴訟では自分の希望通りの分割方法になるとは限りません。換価分割が選択されると、競売命令が出るので市場価格より安値でしか売れない可能性もあります。
また不動産鑑定が必要になると高額な費用もかかります。
訴訟を行う際にはこういったリスクも理解したうえで臨むべきといえるでしょう。
当事務所では不動産関係の案件に積極的に取り組んでいます。千葉県で共有不動産に悩まれている方はお気軽にご相談ください。