土地や建物を賃貸しても、途中解約したいケースがあるものです。
ただし中途解約は必ず認められるとは限りません。
この記事では大家や地主などの貸主の立場から中途解約できるケースや方法について、解説します。
1.期限の定めのある契約の場合
中途解約できるかどうかは、賃貸借契約に「期限」があるかどうかで異なります。
契約期限を定めた場合、借主からも貸主からも、中途解約は基本的にできません。
途中で契約を打ち切ると、相手へ不足の不利益を与えてしまうおそれがあるためです。
1-1.例外的に中途解約できるケース
契約期間を定めていても、例外的に中途解約が認められる可能性があります。
それは、契約において中途解約を認める特約をつけている場合です。
期間の定めのある賃貸借契約において途中解約を認める特約を「解約権留保特約」といいます。
ただし貸主側からの中途解約は、解約権留保特約があっても必ずしも認められません。
解約の「正当事由」が必要と考えられています。
正当事由とは、賃貸借契約を終わらせざるをえない事情です。
たとえば貸主側がどうしても物件を利用しなければならない事情がある場合、建物が老朽化して建て替えの必要性が高い場合などには正当事由が認められやすいでしょう。
正当事由を補完するため、立退料が支払われる事例もよくあります。
1-2.借主に債務不履行がある場合には解除できる
期間の定めのない契約であっても、借主に債務不履行があれば貸主側から契約を解除できます。
たとえば以下のような事情がある場合です。
- 借主が3か月分以上の賃料を滞納し続けている
- 借主が無断で物件を転貸した、無断で借地権を譲渡した
2.期間の定めのない契約の場合
賃貸借契約に期間が定められていない場合、借主も貸主もいつでも解約申し入れができます。
期間の定めのない契約になるのは以下のような場合です。
- そもそも契約期間を定めていない
契約当初から契約期間についての定めをしなかった場合です。
- 法定更新された
当初は契約期間について取り決めをしても、更新時にお互いに合意をせずに法定更新された場合には期間の定めのない契約となります。
法定更新されるのは、期間満了前にお互いに更新をしない旨の通知をしなかった場合や、期間満了後も借主が物件の利用を続け、貸主が異議を出さなかった場合などです。
ただし期間の定めのない賃貸借契約であっても、貸主側による解約は常に認められるとは限りません。借主は物件に居住していたり生活の基本となる営業をしたりしているケースが多く、貸主による自由な解約を認めると借主に大きな不利益が発生するからです。
貸主からの解約には、やはり正当事由が必要となります。
3.中途解約の手続き方法
貸主が賃貸借契約を中途解約したい場合には、事前に解約申入れをしなければなりません。
土地の場合には1年前、建物の場合には6か月前に借主へ通知する必要があります。
4.合意解約する場合
以上のように、賃貸借契約に期間があるかどうかで途中解約の可否が変わりますし、貸主側からの解約にはいずれにせよ正当事由が必要です。また事前の解約申入れが必要で、すぐに解約して物件を取り戻すことはできません。
一方、貸主と借主が話し合って合意で解約するなら、こういった要件は不要となります。
たとえば大家が借主へ解約を持ちかけて借主が即時退去に納得すれば、すぐにでも明け渡してもらえる可能性があり、正当事由も不要です。
ただし合意解約の場合でも一定の立退料や引越し費用などの補償を行うケースが多数となっています。
賃貸借契約のご相談はお気軽に
賃貸借契約を途中解約するには、借主との交渉が必要となるケースもよくあります。弁護士に依頼するとスムーズに解約しやすくなり、ご自身で対応する労力やストレスもかかりません。賃貸オーナー様のお悩み解決は、千葉県の秋山慎太郎総合法律事務所までお気軽にご相談ください。