不動産を相続しても、相続登記は義務ではありません(2022年時点)。ただし今後は相続登記が義務化されるので、放置していると「過料」の制裁が加えられる可能性があります。
今回は相続登記の義務化について、弁護士が解説します。
1.相続登記とは
相続登記とは、土地や建物などの不動産について、被相続人(お亡くなりになった方)から相続人(不動産を引き継ぐ人)へと名義変更する手続きです。
不動産の所有者は登記によって公示されています。ただ名義人が死亡しても当然には名義が変更されません。相続人自身が名義変更の申請をしなければならず、その手続を「相続登記」といいます。
2022年において相続登記は法的義務ではありません。ただし2024年4月以降は法改正によって義務化されます。
相続登記の義務化以降も相続登記をせずに放置していると、ペナルティが適用される可能性もあるので注意しなければなりません。
2.相続登記が義務化される背景
なぜ今のタイミングで相続登記が義務化されるのでしょうか?
それは、相続登記されずに放置された不動産が増えて社会問題となったためです。
たとえば土地の相続登記が行われないと、見かけ上は誰のものかがわかりません。取引する際にも混乱が生じますし、詐欺や二重譲渡も行われやすくなるでしょう。
また公共事業や再開発、震災からの復興事業を行う際にも、所有者不明では土地収用などができず遅れが生じてしまいます。
こういった問題を解消するため相続登記が義務化されるに至りました。
3.相続登記の義務化が適用される人
相続登記の義務化が適用されるのは、土地や建物などの不動産を相続したり遺贈されたりした人です。
相続人でない「受遺者(遺言によって不動産を受け継いだ人)」も相続登記しなければならないので注意しましょう。
孫や甥姪などの代襲相続人も相続登記に対応する必要があります。
一方、相続放棄した人や相続欠格者、相続廃除された人は不動産を相続しないので、相続登記の義務はありません。
4.相続登記の期限
改正法が施行されると、相続登記の期限はどのくらいになるのでしょうか?
相続登記は基本的に「相続人になったことを知ってから3年以内」に行わねばなりません。
3年を過ぎても放置しているとペナルティが適用される可能性があるので、急いで手続きすべきです。
5.相続登記をしなかった場合のペナルティ
期限までに相続登記をしなかった場合のペナルティは10万円以下の過料です。
具体的には簡易裁判所が過料の制裁について決定を下します。
過料は行政罰であり、刑事罰ではないので前科は付きません。ただ支払いをさせられると不利益が及ぶので、相続登記は早めに行うのが良いでしょう。
6.2024年4月までの相続について
改正法が施行されるのは2024年4月ですが、それまでに生じた相続にも改正法が適用されます。現時点で不動産を相続した人にも、2024年4月以降は義務化規定が及ぶので、他人事ではありません。
2024年4月までに相続した人に対する相続登記の期限は以下のいずれか「遅い方のタイミング」となります。
- 2024年4月1日から3年
- 相続があったことを知ったときから3年
多くのケースでは「2024年4月1日から3年後」となるでしょう。
いずれにせよ、早く登記手続きを終えていれば過料の心配はありません。
7.不動産を相続したら弁護士へご相談ください
不動産を相続すると、遺産分割や不動産の活用、売却などの場面でどういった対応をすればよいか迷われる方が多数です。不動産の分け方について他の相続人と合意できず、3年以内に決められないケースも珍しくありません。
弁護士が間に入れば自分たちだけで対応するよりもスムーズに遺産分割協議を進められる可能性が高くなります。弁護士は遺産分割協議書の作成や調停、審判のサポートにも対応できます。
千葉で不動産を相続されたら、お気軽に秋山慎太郎総合法律事務所までご相談ください。