奨学金を返済できずに放置していると、日本学生支援機構などの債権者から訴訟を起こされる可能性もあります。
返せないときには放置せず、減額返還制度などを使って適切に対応しましょう。
今回は奨学金を返せないときの対処方法を解説します。
1.奨学金を返せないとどうなるのか
奨学金を返せないで放置していると何が起こるのか、みてみましょう。
STEP1 請求される
まずは借入先である日本学生支援機構から督促が来ます。
郵便による督促が行われるケースが多数です。
STEP2 信用情報に事故情報が登録される
次に個人信用情報に事故情報が登録されて、いわゆる「ブラックリスト状態」になります。
いったんブラックリスト状態になると、ローンやクレジットカードを利用できません。
今使っているクレジットカードもいずれ解約されてしまいます。
ブラックリスト状態になるのは、奨学金の滞納後約3か月後となるのが標準的です。
STEP3 訴訟を起こされる
奨学金を長期にわたって払わずに放置しておくと、日本学生支援機構から訴訟を起こされる可能性もあります。
STEP4差し押さえを受ける
訴訟で判決が出たら、日本学生支援機構から給料や預金などの差し押さえを受ける可能性があります。差し押さえは奨学金を完済するまで止まりません。
2.奨学金を返せないときの対処方法
奨学金を返せないなら、以下のような方法で対処しましょう。
2-1.減額返還制度
まずは減額返還制度の利用を検討するようおすすめします。
減額返還制度とは、一定期間、奨学金の返還額を減額してもらえる措置です。
認められれば毎月の返済額が2分の1または3分の1になるので、有効な対処方法となるでしょう。
減額返還できる期間は最長15年です。ただし1年ごとに願い出る必要があります。
また減額返還とはいっても償還総額が減額されるわけではありません。単に返還期間が延びるだけなので、間違えないようにしましょう。
天災に遭った場合や低所得の場合などに減額返還制度を申請できます。
なおすでに奨学金を滞納していると減額返還制度は利用できません。
2-2.返還期限猶予制度
返還期限猶予制度とは、一定期間、奨学金の支払いを延ばしてもらえる制度です。
猶予してもらえる期間は最長10年です。
返還期限猶予制度の場合にも単に返還期限が延びるだけであり、利息を含めた総支払額が減額されるわけではありません。
滞納していても返還期限猶予制度を利用できることもあります。
2-3.免除制度
ご本人が死亡した場合や重度障害者となった場合には、免除制度を利用して奨学金の残金を免除してもらえることもあります。
3.どうしても返せないときには債務整理をする
奨学金の減額返還制度などを利用してもどうしても支払いが難しい方もいるでしょう。
その場合には債務整理を検討するようおすすめします。
3-1.個人再生
個人再生をすると、奨学金の債務を含めたほとんどすべての負債を減額してもらえます。
たとえば奨学金以外にカードローンなどの借り入れがある場合にも、個人再生をしたらまとめて減額してもらえます。
住宅ローン返済中の方の場合「住宅ローン特則」を利用すれば、住宅ローンの支払いは継続して家を守ることも可能です。
- 継続的な収入がある
- 家を失いたくない
- 財産を失いたくない
- 自己破産はしたくない
こういった状況の方は個人再生を検討すると良いでしょう。
3-2.自己破産
自己破産とは、裁判所へ申立をしてほとんどすべての負債を免除してもらう手続きです。
奨学金も全額免除してもらえるので、支払いの必要はなくなります。
ただし自己破産をすると、生活に必要な最低限を超える資産が失われます。
以下のような状況なら自己破産を検討しましょう。
- 収入がない
- 守りたい資産はない
- 奨学金の額が大きすぎて個人再生で減額されても払えない
なお個人再生や自己破産をすると、連帯保証人に一括請求されます。親族に連帯保証人になってもらっている場合、事前に相談しておくと良いでしょう。
奨学金の返済が難しい場合、ひとりで抱え込まずに専門家へご相談ください。