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【企業・顧問】従業員と締結すべき「競業避止義務契約」について
従業員が会社と競業する事業を行うと、会社に大きな損害が発生する可能性があります。
特に退職後の元従業員に競業させないためには「競業避止義務契約」を締結しなければなりません。
ただし競業避止義務契約を締結させても、必ずしも法的に有効になるとは限りません。
今回は従業員と締結すべき「競業避止義務契約」について、弁護士が解説します。
1.競業避止義務とは
競業避止義務とは、相手とライバル関係になる事業や仕事を行ってはならない義務です。
たとえば会社が従業員へ競業避止義務を課したり、M&Aの際に譲渡会社の元社長へ競業避止義務を課したりするケースがよくあります。
従業員は会社の内情をよく知る立場ですし、取引先とのコネクションを持つものも少なくありません。そういった立場を利用して会社と競業されると、会社には大きな損害が発生するリスクが発生します。
そこで会社の利益を守るため、従業員に競業避止義務を課す必要があるのです。
2.在職中の競業は禁止される
一般的に、従業員の在職中は当然に競業避止義務を負うと考えられています。
労働契約をまっとうするには競業避止義務が必須なので労働契約に付随するともいえますし、信義則上の義務ともいえるでしょう。
また多くの会社では就業規則で競業避止義務を定めているものです。そういった会社で在職中の従業員が競業行為をすると、懲戒処分や損害賠償請求できる可能性もあります。
3.退職後の元従業員とは競業避止義務契約が必要
一方、退職後の従業員には当然には競業避止義務が及びません。
退職した従業員には職業選択の自由が認められるので、どういった企業に就職するのも起業するのも基本的に自由だからです。退職後の元従業員に競業避止義務を負わせるには「競業避止義務契約」を締結するか、就業規則に退職後の競業も禁止する規定をもうけなければなりません。
4.競業避止義務契約を締結しないリスク
退職後の従業員に競業避止義務を課さなかったら、企業側には以下のようなリスクが発生します。
- 元従業員が会社の顧客情報を持ち出して営業する
- 元従業員が会社の取引先を奪ってしまう
- 元従業員が会社の他の従業員を引き抜く
- 元従業員が会社独自のノウハウを勝手に使って同種の営業をする
上記のような問題が起こっても差し止め請求できなければ、会社としては多大な損害を受けてしまうでしょう。そうならないために競業避止義務契約を締結すべきです。
5.競業避止義務契約が無効になるケース
ただし競業避止義務契約を締結しても、必ず有効になるとは限りません。
元従業員には「職業選択の自由」があるので、不当に侵害すると「公序良俗違反」として契約が無効になってしまう可能性があるのです。
裁判例では、以下のような事情を考慮して競業避止義務契約の有効性が判断されています。
- 使用者側の正当な利益の保護を目的としているか
- 元従業員の在職中の地位や職務内容
- 地域的な限定
- 競業避止義務の期間
- 競業行為の範囲の限定
- 代償措置の有無や内容
たとえば元従業員が役職のない平社員で在職中、特に重要な業務にも従事していなかったのに、エリアを限定せず無制限に競業を禁止すると無効と判断される可能性が高くなります。
競業避止義務が及ぶ年数としては6か月や1年程度であれば有効性が認められやすい傾向がありますが、2年を超えると無効と判断されるケースが多数です。
上記のほか、退職に至る経緯や背信性の強さ、転職可能性などが考慮されるケースもあります。
6.競業避止義務違反が発覚した場合の対処方法
競業避止義務違反が発覚すると、企業側は以下のような対応が可能です。
- 退職金の減額や不支給
- 競業行為の差し止め請求
- 損害賠償請求
退職後の従業員に競業避止義務を課すため、退職時には競業避止義務契約を締結しましょう。
【企業・顧問】外注で業務委託契約を締結する際の注意点
企業運営に際し、さまざまな業務を「外注」する場面があります。
商品や製品の開発、アプリやシステムの開発、デザインやホームページの制作など。
そんなときには「業務委託契約」を締結しなければなりません。
後にトラブルにならないよう、業務委託契約書を作成する際の注意点を弁護士がお伝えします。
1.業務委託契約とは
業務委託契約とは、外注者(委託者)が受注先(受託者)へ一定の業務を委託し、対価として報酬を支払う契約です。
以下のような際に業務委託契約を締結する例がよくあります。
- コンサルティング
- 商品や製品の開発
- アプリやシステム開発
- デザインやライティング、翻訳
- ホームページの制作
- SEO対策
- システムの保守管理
- 営業代行
- 広告出稿代行
- 建築設計監理の委託
- 運送業務の委託
- 社員研修の委託
社外の法人や個人に上記のような業務を外注する場合、業務委託契約書を作成すべきです。
契約書がなければ報酬の支払時期や成果物に対する権利、解約できる条件などが明らかにならずトラブルのもとになってしまいます。
2.業務委託契約書作成における注意点
業務委託契約書を作成する際には、以下のような点に注意しましょう。
2-1.契約目的と委託する業務の内容
まずは契約目的と委託する業務の内容を明らかにしましょう。特に業務内容については契約の核となる部分なので、できる限り明確にすべきです。
業務内容があいまいになっていると、受注者の裁量で業務を進められ、希望と異なるものが納品されてもクレーム言えなくなる可能性があります。
2-2.報酬の金額と支払時期
次に報酬の金額と支払時期を明確にしましょう。特に支払時期が不明確だとトラブルになりやすいので要注意です。
たとえば「納品されたタイミング(即時)」で払うのか「納品後2週間以内」とするのか「翌月末」とするのか、あるいは納品後検収期間をもうけるのかなど、相手と話し合って決定する必要があります。
2-3.納期
システム開発やデザインやライティング、翻訳などの「成果物の提出」を要する案件の場合、納期も定めておくべきです。納期が決まっていないと、いつまで経っても納品されず、発注企業側が不利益を受ける可能性があります。
2-4.契約期間
単発案件でない場合、契約期間も定めておくと良いでしょう。1年などとして、場合によっては自動更新条項をもうけましょう。
2-5.成果物に対する権利
成果物に対する権利が誰に帰属するのか、発注企業に帰属する場合にはいつのタイミングで権利が移転するのかなど、明確に記載しておきましょう。
たとえばデザインを外注した場合、基本的にはデザイナーに著作権が認められます。
納品と同時あるいは報酬支払と同時に著作権の譲渡を受けておかないと、企業側で自由な利用や改変ができません。
また著作権が問題になる場合には「著作者人格権を行使しない」ことも定めておくべきです。著作者人格権は譲渡できないので、行使しないと定めておかないと後に作品を活用できなくなる可能性があります。
2-6.秘密保持
業務を外注する場合、企業の内部機密を伝えなければならないケースも多く、外注先に秘密を漏えいされる可能性があります。
必ず秘密保持の条項を入れましょう。
ただし実際には業務委託契約書とは別途、秘密保持契約書を作成するケースが多数です。
2-7.再委託について
受注先が第三者に業務を再委託できるのか、できるとすればどういった条件下で認められるのかを記載しましょう。
再委託を認める場合には、「事前に発注者による書面(あるいは電子メール)による承諾を要する」と記載しておくと、無断で再委託されないので安心です。
また再委託先にも秘密保持の契約を締結させる必要があります。
2-8.解除と損害賠償
どういった場合に契約を解除できるのか、損害賠償ができる条件についても定めておきましょう。
当事務所では千葉県内の各企業様へ向けて法務アドバイスを積極的に行っています。企業法務に詳しい弁護士をお探しの方がおられましたら、お気軽にご相談ください。
【企業・顧問】従業員と秘密保持契約を締結すべき理由や注意点
会社が従業員を雇い入れる際には「秘密保持契約」を締結すべきです。企業の機密情報が流出すると、多大な損失が発生するリスクが発生します。従業員を通じて秘密漏洩し、世間を揺るがす不祥事となってしまうケースも少なくありません。
千葉県内の各企業にも独自のノウハウや取引先・顧客リスト、個人情報などの機密情報が蓄積しているでしょう。秘密保持契約を締結し、貴重な情報を守る必要があります。
この記事では企業が従業員と秘密保持契約を締結すべき理由や注意点を、弁護士が法的な観点からお伝えします。
1.秘密保持契約とは
秘密保持契約とは、契約当事者が相手にわたす情報の漏洩を禁止し、他への流出を防ぐための契約です。業務を外注する場合や製造委託する場合、ホームページ制作業者、SEO業者を利用する場合、M&Aを行う場合などにも秘密保持契約を締結するケースがよくあります。
従業員も会社の重要な情報を知る立場にあるので、秘密保持契約を締結すべき対象です。
2.企業が従業員と秘密保持契約を締結すべき理由
従業員は会社の重要な情報にアクセスできる立場にあります。
- 取引先や顧客のリスト
- 社内の従業員の個人情報
- 自社のノウハウ
- 製品開発情報
こういった情報を外部に漏洩されると、会社としては大きな損失を受けます。個人情報保護法違反の責任を問われるリスクも発生し、信用問題にも発展するでしょう。
秘密保持契約を締結しておけば、漏洩が禁止されるので、会社の機密情報を守りやすくなります。
万一従業員が違反して漏洩してしまった場合にも、世間や被害者に対し「会社としてできうる限りの適切な措置を行っていた」と説明しやすくなります。
企業にとって従業員との秘密保持契約締結は必須です。
3.秘密保持契約を締結する従業員の範囲
秘密保持契約は、可能な限りすべての従業員と締結すべきです。役職つきの人材や特殊スキルをもった人材だけではなく、平社員や新入社員などの従業員にも秘密を守らせる必要があります。
また正社員だけではなく、パートやアルバイトなどの非正規雇用者も会社の情報にアクセス可能です。SNSでアルバイト店員が行った投稿が原因で企業が損害を受ける事件も発生しているので、アルバイトやパートの従業員とも秘密保持契約を締結しましょう。
4.秘密保持契約書に盛り込むべき内容
4-1.秘密情報の定義や範囲
まずはどういった情報を「秘密情報」とするのか規定しましょう。
秘密情報の範囲を限定しすぎると「これは秘密情報にならない」といわれる可能性があるので「その他上記に準じる情報」などと包括的に定義しておくとよいでしょう。
秘密情報については、開示してはならないことを定め、第三者への漏洩を禁止します。
4-2.例外的に開示可能な場合
すでに知られている情報、法令によって開示しなければならない場合など、例外的に開示できる場合を定めます。
4-3.利用制限
秘密情報の目的外利用を禁止する条項です。不適切な複製行為も禁止しましょう。
4-4.損害賠償
秘密保持義務に反して従業員が情報漏えいした場合、企業側が損害賠償請求できることを定めます。
4-5.秘密情報の返還
雇用契約が終了したら、速やかに情報を返還する約束をします。
4-6. 有効期間
雇用契約の終了後も一定期間、秘密保持契約の効力を存続させることも可能です。
5.秘密保持契約書を締結するタイミング
秘密保持契約は、基本的に「雇用時(入社時)に締結しましょう。
新入社員であってもすぐにパソコンやタブレットから情報データベースへアクセスできるケースが多いですし、事業所内の書類も閲覧できるからです。
また秘密保持契約締結を入社の条件としておけば、労せず秘密保持契約を締結させられます。いったん雇用した後に秘密保持契約を要求すると、相手が拒否したときに強要できないリスクが発生します。
6.従業員の労務管理は弁護士へ相談を
従業員の労務管理においては、労働時間や解雇問題、秘密保持などさまざまな場面で法的に適切な対応を要求されます。千葉県で労務管理に詳しい弁護士をお探しの企業がありましたら、お気軽に弁護士までご相談ください。
【企業・顧問】副業禁止は違法?裁判例や副業解禁のメリット、デメリットを弁護士が解説
日本では従来、副業を禁止する企業が大多数でした。しかし近年では働き方改革の影響もあって、副業解禁の動きが加速しています。
就業規則で副業を禁止して懲戒すると「違法」になる可能性もあります。
今回は副業禁止規定にもとづく懲戒解雇が違法とされた裁判例を交えながら、副業を解禁するメリットやデメリットを弁護士が解説します。
1.副業を認めるかどうかは企業の自由
従業員に副業を認めるかどうかは、基本的に企業側の自由です。
確かに副業を認めると、本業への支障が及んだり労働時間の把握が難しくなったりする可能性があり、副業を制限する合理性も認められます。副業を禁止しても、必ずしも違法ではありません。
ただし最近では「働き方改革」のスローガンのもと政府の方針も転換され、副業を解禁する動きが目立ってきています。
2.副業禁止規定にもとづく懲戒解雇が違法になるケース
副業禁止は基本的に違法ではありませんが、副業禁止規定にもとづいて懲戒処分を行うと違法になってしまう可能性があります。
副業が本業に支障を及ぼしておらず、他にも会社に損害やリスクを発生させていないのに懲戒解雇する合理的な理由がないと考えられるためです。
2-1.副業禁止規定にもとづく解雇が無効とされた裁判例
副業禁止規定にもとづく懲戒解雇が違法と判断された裁判例を示します。
十和田運輸事件(東京地判平成13年6月5日)
運送会社のドライバーが年に1、2回程度、他社で貨物運送のアルバイトを行った事案です。会社は兼業禁止規定に基づいて懲戒解雇しました。
裁判所は、従業員が職務専念義務に違反しておらず勤務先との信頼関係を破壊したとまでいえないとして、解雇無効と判断しました。
2-2.副業禁止規定が違法と判断されやすい要素
副業禁止による懲戒解雇が違法になりやすいのは、以下のような場合です。
- 本業に対する影響がない、ほとんどない
- 副業の内容は本業と無関係で、競業の可能性がない
- 副業の規模が小さい
- 勤務先の信用やブランドが毀損されるおそれがない
一方、従業員が競業によって企業に迷惑をかけた場合、信用やブランドを毀損した場合、本業をおろそかにした場合、情報を漏洩した場合などには懲戒解雇が認められる可能性も高くなります。
3.副業解禁のメリット
3-1.労働者のスキルアップ
従業員が副業をすると、新たな知識や経験を身につけられるのでスキルアップにつながります。副業で身につけたスキルを本業に活かせれば企業にとっても強い戦力となり、メリットを得られます。
3-2.人材確保
副業を認めると「自由に働ける職場」と評価されて優秀な人材が集まりやすくなります。
はたらきやすい職場であれば、人材が定着しやすく戦力確保にもつながるでしょう。
3-3.事業拡大のチャンス
従業員が副業で獲得した人脈や情報、スキルを企業が積極的に活用すると、他企業や団体と関わりができて取引につながったり、共同で技術開発したりして、事業拡大の機会になる可能性もあります。
4.副業解禁のデメリット
4-1.本業がおろそかになる
本業の最中に副業のメールチェックや返信などの作業を行う人もいますし、本業が休みの際にアルバイトなどをして疲れが溜まったり睡眠不足になったりする人もいます。
本業に支障をきたし、生産性が低下してしまうリスクが発生します。
副業を解禁するなら、本業に支障の及ばない方法を検討し、従業員と会社がお互いに確認しておいた方がよいでしょう。
4-2.情報流出のリスク
従業員が副業の際に勤務先企業の情報を漏らしてしまうリスクも発生します。
副業を解禁するなら、情報取扱い方法についてしっかり取り決めておくべきといえるでしょう。
4-3.信用毀損リスク
従業員が副業の遂行に際して違法行為を行ったり不用意な発言をしたりして、企業の信用が害される可能性もあります。企業側が副業を解禁するなら、従業員の情報発信方法についても確認しておきましょう。
企業が副業を解禁するなら、リスクを軽減するためのルールを取り決めておくと安心です。労務管理に関してお悩みがある方は、お気軽に弁護士までご相談ください。
【企業・顧問】有給休暇の時季変更権の運用方法
従業員から有給休暇取得の申請があったとき、企業側は拒絶できません。
ただし「時季変更権」を行使して有給の取得時期をずらすことは可能です。
時季変更権の行使方法によっては違法と判断された事例もあるので、正しい知識を持って対応しましょう。
この記事では有給休暇の時季変更権の行使や運用の方法について、判例も交えて解説します。
1.時季変更権とは
時季変更権とは、従業員による年次有給休暇の申請に対し、企業側が取得日の変更を求める権利です。
労働基準法第39条5項
請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる
有給休暇の取得は労働者の権利なので、会社側が断ることは許されません。ただ業務に著しい支障を生じる場合もあるので、取得日を変更する権利が企業側に認められているのです。
2.時季変更権が認められる条件
時季変更権が認められるのは「事業の正常な運営を妨げる場合」のみです。そういった危険がないのに、企業側の都合で従業員に対して有給取得時期をずらすよう求めると、違法とされる可能性があります。
時季変更権が認められやすいのは、以下のような場合です。
- 有給休暇の取得希望日が繁忙期と重なる場合
- 有給休暇の取得希望日が集合研修の予定日と重なる場合
- 長期に渡って連続する有給休暇の申請
ただし繁忙期なら必ず時季変更が認められるとは限らず、個別的な事情も考慮されて判断されます。
3.時季変更権が認められた場合の効果
会社側が適法に時季変更権を行使すると、有給休暇の取得時期がずらされます。従業員が出勤日に出社拒否したら「欠勤」扱いとして賃金を控除できますし、状況によっては懲戒処分も検討できます。
ただし従業員側が「賃金控除や懲戒処分は不当」と主張してトラブルになるケースもあるので、これらの処分を課すときには慎重になるべきです。
4.時季変更権に関する裁判例
4-1.繁忙期の時季変更が適法とされた裁判例
夏季の繁忙期に有給休暇の取得者が多数発生し、企業側が業務に対応できないために時季変更権を行使したケース(前橋地方裁判所高崎支部判決平成11年3月11日)。
4-2.譴責の懲戒処分が適法となった裁判例
集合研修期間に有給休暇の申請があったため会社が時季変更権を行使すると、従業員が欠席したので、企業側は欠勤控除を行って「譴責」の懲戒処分をしました。
裁判所は企業側の対応を適法と判断しました(東京高等裁判所判決平成13年11月28日)。
4-3.懲戒解雇を適法としたもの
記者が約1か月間にわたる長期の有給休暇を申請し、会社が時季変更権を行使すると出社しなかったケースです。企業側が従業員を懲戒解雇したところ、裁判所は懲戒解雇を有効と判断しました(東京高等裁判所平成11年7月19日判決)。
4-4.時季変更が違法とされた裁判例
従業員が繁忙期に短時間の有給休暇を申請したケース。裁判所は、期間が短く代替勤務者がいなくても業務に支障がでないと判断し、時季変更を認めませんでした(東京地方裁判所判決平成5年12月8日)。
繁忙期であっても、有給休暇取得によってどういった支障が出るのか明らかでない場合や代替勤務者を確保できる場合には、時季変更権が違法とされる可能性が高くなります。
5.時季変更権行使のタイミングと行使方法
時季変更権は、従業員から有給休暇取得の申請を受けた直後に行使すべきです。
たとえば2か月前に有給休暇を申請されたのに、予定日の1日前になって時季変更権を行使すると、違法とされる可能性が高いでしょう。申請を受けたら速やかに検討し、変更の必要があるなら従業員へ通知してください。
時期変更の通知を行う際には書面を作成し、理由をそえて別の日に有給休暇を取得するよう求めましょう。書面通知を送るだけではなく従業員と直接話し、十分に説明をして理解を求めることも重要です。
代替日については提案しても構いませんが、企業側が時季変更権の行使に際し代替日を提案する義務はありません。
当事務所では労務管理のアドバイスやサポートに力を入れています。千葉で労働問題に詳しい弁護士をお探しの事業者さまがおられましたらお気軽にご相談ください。
【企業・顧問】有給休暇の義務化とは
2019年4月から、すべての事業者へ「一定の従業員の有給休暇取得」が義務付けられました。
定められた期間以上、雇用を継続している従業員には年に5日以上の有給休暇を取得させなければなりません。
今回は有給休暇の義務化の対象や違反した場合の罰則、対処方法をお伝えします。
1.有給休暇の義務化とは
有給休暇(年次有給休暇)とは、一定期間以上はたらいている従業員が取得できる「給料を受け取れる休暇日」です。
1年で取得できる有給休暇の日数は、勤続期間や雇用形態によって異なります。
フルタイム労働者の場合には1年に6日~20日の有給休暇を取得でき、所定労働日数が週4日以下のパートタイム労働者の場合には年に1日~15日の有給休暇を取得できます。
2019年4月から、事業者には年次有給休暇を10日以上取得できる従業員に対し、年5日以上の有給休暇をとらせる義務が課されるようになりました。
2.有給休暇義務化の対象従業員
有給取得義務化の対象になるのは、正社員だけではありません。パートタイム労働者や契約社員であっても、継続雇用期間によっては義務化の対象となります。労働基準法上の管理監督者に該当する従業員も有給取得義務化の対象です。
具体的には以下に該当する従業員が「全労働日の8割以上」出勤した場合、年5日以上の有給休暇を取らせる義務が発生します。
- 入社後6か月が経過した正社員やフルタイムの契約社員
- 入社後6か月が経過した週30時間以上勤務しているパートタイム労働者
- 入社後3年半以上が経過した週4日出勤しているパートタイム労働者
- 入社後5年半以上が経過した週3日出勤しているパートタイム労働者
なおパートタイム労働者の出勤日数が週2日以下であれば、有給取得義務の対象になりません。
3.有給休暇の取得義務に違反した場合の罰則
有給取得義務化の対象となる従業員に対して有給を取得させなかった場合、事業主は労働基準法違反となり「30万円以下の罰金刑」が科されます。
30万円の罰金は従業員1人ずつ計算されるので、たとえば200人分の義務違反をした場合には6,000万円の罰金が科される可能性もあります。
4.有給休暇義務化に対応する方法
日本企業では、従業員が自ら有給休暇を申請しにくい雰囲気となっているケースが多々あります。従業員の自由に任せていると取得義務に対応しにくいでしょう。
確実に有給休暇を消費させるため、以下のような対応を検討してみてください。
4-1.計画年休制度を導入する
計画年休制度とは、事業主と労働者の代表との間で労使協定を締結することにより、有給休暇の取得日を会社が指定できる制度をいいます。
計画年休制度を導入すれば会社が有給取得日を決められるので、繁忙期や閑散期がある場合などにも計画的に有給をとらせられるメリットがあります。
必要な日数分、確実に従業員に有給休暇を取得させられるので法律上の要請もクリアできます。
ただし、事前に有給取得時期が固定されるので柔軟な対応が難しくなる可能性もあります。
4-2.個別指定方式
個別指定方式とは、労働者の自由に任せて有給休暇を取得させる方式です。
期限内に自主的に有給休暇を申請しない従業員については、企業側で管理して取得を促したり取得日を指定したりできます。
個別指定方式の場合、あらかじめ有給取得日が固定されず、企業側が従業員と話し合って日にちを決定できます。柔軟な対応が可能となり、従業員の満足度も向上しやすいメリットがあるでしょう。
ただし従業員1人1人について有給休暇の取得状況を管理しなければならず、工数がかかるデメリットがあります。
どちらの方式が向いているかは、企業の実情に応じて決定すべきです。従業員による自発的な有給取得が根付いていれば個別指定方式、従業員が自発的に有給取得しにくい状況であれば計画年休制度を導入するとよいでしょう。
当事務所では、千葉県内の企業様へ向けて、労務管理対策のアドバイスに力を入れています。労働法務に詳しい弁護士をお探しの方は、ぜひとも一度ご相談ください。
【企業・顧問】懲戒処分を公表すると名誉毀損になる?違法になるパターンや安全な方法について解説
従業員を懲戒した場合、社内外へ公表する企業が少なくありません。公表により、他の従業員へ服務規律意識を高める効果が期待されます。
ただし公表の方法によっては「名誉毀損」となり、懲戒対象となった従業員から賠償金を請求されるリスクも発生します。
懲戒処分を公表する際には、関係者の権利を不当に侵害しないよう注意しなければなりません。
今回は、懲戒処分の公表が違法になる例や安全に懲戒制度を運用する方法を弁護士の視点からお伝えします。
懲戒処分を公表する目的
会社が懲戒処分を公表するのは、懲戒対象者以外の他の従業員の規律意識を高めるためです。つまり社内の従業員に懲戒事例を伝えて、再発を防ぐのが主目的です。
本人をみせしめにして報復するためではありません。
みせしめ的な情報公開をすると名誉毀損になりやすいので、まずは「懲戒の目的は本人を懲らしめることではなく規律意識を高めること」という目的をしっかり理解しましょう。
懲戒処分の公表が名誉毀損になるケース
懲戒処分を公表するとき、一般的に、以下のような要素があると、名誉毀損が成立しやすくなります。
実名で公表
懲戒処分を公表する際には、対象者を実名で特定するか匿名で事案の概要のみ伝えるか、選択しなければなりません。実名で懲戒処分を公表すると本人が特定され、社会的評価が大きく低下する可能性があります。裁判例でも、実名で懲戒事案が公表されると、内容が真実であっても名誉毀損が成立すると判断されやすい傾向があります。
一方、匿名で対象者が誰かわからなければ、名誉毀損にはなりません。特に氏名公表の必要性がないなら、懲戒処分の公表は匿名で行うようお勧めします。
証拠がないことを推測で記載している
懲戒処分を公表する際には、原因となる事実(問題行動)を記載する必要があります。
このとき、証拠がないことを推測で記載すると、名誉毀損となる可能性が高まります。客観的に明らかに認められる事実のみを簡潔に記載しましょう。
社内の規律維持に無関係な詳細な記載をしている
懲戒公表の目的は、社内の規律維持です。それとは無関係な事項についてまで詳細に記載したり、一方的で主観的な評価を記載したりすると権利侵害となってしまう可能性があります。
セクハラ、パワハラ案件などで、関係者のプライバシーを侵害している
セクハラやパワハラ事案では、加害者(懲戒対象者)だけではなく被害者や同僚などが関与するケースが多数です。関係者のプライバシーを侵害すると、被害者などの関係者からもプライバシー権侵害や名誉毀損を主張される可能性があります。
不必要に長期間掲載し続ける
掲示板で懲戒事由を掲載する場合、必要性もないのに長期に渡って掲載し続けると名誉毀損と判定されやすくなります。掲示機関は1日~3日程度にとどめるのが無難でしょう。
社外へ公表する
企業HPなどで懲戒事案を公表すると、世間一般へ広く情報が伝わってしまいます。
社外へも情報が伝わると本人へ多大な影響が及び、名誉毀損による損害が大きくなってしまいます。
そもそも「社内の規律意識を高める」という懲戒公表の目的からすると、社外への公表は基本的に不要です。
重大事件で世間への説明が必要な場合など、特別の事情がなければ、社外への公表は控えましょう。懲戒処分は社内の従業員向けに掲示板への掲示、社内メールや社内報への記載などによって公表すべきです。
安全に懲戒制度を運用するために
懲戒制度の運用方法を間違えると、従業員から「懲戒解雇は無効」「降格は不当な不利益取り扱い」などと主張されるリスクが発生します。懲戒処分の公表を行う際にも、本人や関係者の名誉権やプライバシー権へ配慮しなければなりません。
弁護士が懲戒制度運用のご相談に対応いたしますので、千葉県で懲戒制度の規定・運用方法に迷われたときにはお気軽にご相談ください。
【企業・顧問】懲戒の種類、懲戒事由の定め方と注意点
就業規則には、懲戒に関する規定を定めておくべきです。懲戒規定がないと、従業員が問題行動を起こしたときに懲戒できなくなってしまうからです。
この記事では懲戒処分の種類や懲戒事由の定め方について、注意点も含めて解説します。
懲戒とは
懲戒とは、事業主が問題行動を起こした従業員にペナルティを与えることです。
従業員が懲戒事由に該当する行動をすると、問題行動の程度に応じた方法で懲戒します。
たとえば「長期間の無断欠勤」「刑事罰が確定したこと」などが懲戒事由となります。
ただし懲戒するには、就業規則において懲戒事由や懲戒方法を定めておかねばなりません。
懲戒規定がないと、従業員が問題行動を起こしても懲戒できないので注意が必要です。
懲戒処分の種類
懲戒処分には以下の種類があります。
戒告、譴責
戒告と譴責は、従業員に注意をして反省を求める処分です。
一般的に戒告の場合は口頭、譴責の場合は書面で反省文を書かせるケースが多数です。
減給
従業員の給与を減らす処分です。ただし労働基準法に減給額の制限があるので、超過してはなりません。
出勤停止
一定期間会社への出勤を停止させる処分です。停止中の給料は支給しません。
降格
役職や職能資格などを引き下げる懲戒処分です。
諭旨解雇
一定期間内に自主的に退職届を提出するよう要求し、提出された場合には依願退職扱いとする方法です。退職届が提出されない場合、懲戒解雇する前提です。
懲戒解雇になると退職金も支給されないなど従業員にとって不利益が大きくなるので、その一段階前のステップとして諭旨解雇の規定をもうけます。
懲戒解雇
従業員を解雇する懲戒処分です。解雇予告手当や退職金が不支給となるケースもあり、従業員に対するペナルティとしてもっとも重いものです。
懲戒事由の代表例
代表的な懲戒事由を示します。
勤怠不良
遅刻や相対、無断欠勤が頻繁にある場合の懲戒事由です。
長期の無断欠勤
長期に渡って無断欠勤が続く場合です。14日程度無断欠勤が続く場合、懲戒解雇も認められやすくなります。
刑事事件で有罪判決が確定した
横領や窃盗、暴力行為などによって有罪判決が確定すると、懲戒事由とするケースがよくあります。
業務命令違反
日常的に上司の指示に従わない、転勤や人事異動などの指示に従わない場合などです。
機密保持義務違反
企業の秘密を漏洩した場合です。顧客情報、従業員の情報、商品やサービスに関する秘密などを正当な理由なく外部へもらした場合に該当します。
無許可の副業
副業を許可制とする場合、無許可での副業を懲戒事由とするケースがあります。
服務規律違反
「就業時間中は労務に専念しなければならない」などの服務規律に違反することを懲戒事由に定めるケースもあります。
セクハラやパワハラ
セクハラ行為やパワハラ行為は懲戒事由にしておくべきです。
ただし実際に懲戒を行う際には、証拠にもとづいて対応しなければなりません。
また問題行動に対して処分が重くなりすぎないようにバランスをとる必要もあります。
懲戒事由を定めるときの注意点
懲戒事由を定めるときには、漏れのないように注意すべきです。
あらかじめ就業規則で懲戒の種類や事由を定めておかないと、懲戒が認められないからです。
懲戒事由は主なものを列挙したうえで「その他上記各号に準じる不適切な行為があったとき」として、具体例に直接該当しないケースでも懲戒できるようにしておきましょう。
1つ1つの懲戒事由についても、表現を限定しすぎるとリスクがあります。たとえば「しばしば(数回)業務上の指示命令に従わない」と表現すると、1回違反があっても「しばしば」や「数回」とはいえないので懲戒できない、といった事態になりかねません。懲戒規定を定めるときには、具体的な表現方法にも慎重な配慮を要します。
当事務所では就業規則作成や改定の支援にも積極的に取り組んでいますので、お気軽にご相談ください。
【企業・顧問】よくある労務トラブルと対処方法について
企業を経営していると、従業員との間でさまざまなトラブルが生じるものです。
よくある類型を把握して、事前に対策を練っておきましょう。
今回はよくある労務トラブルのパターンや対処方法を弁護士がお伝えします。
安全に企業を運営していきたい経営者の方はぜひ参考にしてみてください。
1.残業代未払い
企業が適正に残業代を払っていない場合、従業員から残業代請求される可能性があります。
退職した従業員から過去の残業代をまとめて請求される例も多く、訴訟で残業代を請求されると、遅延損害金や付加金を加算され本来の2倍以上の金額を払わねばならないリスクも発生します。残業代については、くれぐれも未払いが生じないように適正に管理し、支払いをすべきです。
また36協定を締結していなかったり、法律上の上限を超えて残業させたりすると違法状態となるので、労働基準法の規定を適正に守って労働時間の管理をしましょう。
2.解雇トラブル
解雇を巡ってトラブルになるケースも多々あります。
解雇通知を送った従業員から「解雇は無効」と主張されるだけではなく、退職勧奨によって円満退職させたと認識していた従業員から「退職を強要された」と主張される可能性もあります。
法律上、普通解雇できる場面は極めて限定されているので、解雇するときには要件を満たすかどうかしっかり検討しなければなりません。
退職勧奨を行う場合には、後に「強要」といわれないように、あくまで従業員の任意で退職届を提出させましょう。退職勧奨の経緯についても書面や録音で証拠を残しておくようお勧めします。
3.有給に関するトラブル
従業員から有給休暇の申請があったとき、企業側が渋ってトラブルになるケースもあります。
労働基準法により労働者には有給休暇の取得権が保障されているため、理由をとわず取得を申請できます。企業側が理由を尋ねたり拒否したりすることはできません。
ただし「時季変更権」は認められるので、繁忙期などでどうしても都合が悪いときには従業員と交渉して時季をずらすのがよいでしょう。
4.労災トラブル
労災が起こったときにも事業者側と従業員側がトラブルになる可能性があります。
企業側が労災を隠そうとして労災保険の請求に協力しなかったり、従業員に対する必要な補償を行わなかったりするためです。
従業員による労災保険の申請をきっかけに、違法な長時間労働が発覚するケースも少なくありません。
労災トラブルを防ぐには、日頃からしっかり従業員の就業環境を管理して、企業の安全配慮義務を果たすべきです。
万一労災が起こってしまった場合には、労基署へ報告を行って従業員による労災保険の申請に協力し、休業補償などもきちんと行いましょう。
自社の安全配慮義務違反を問われたときには、責任があるかどうか確認しなければならないので弁護士へご相談ください。
5.パワハラやセクハラのトラブル
社内でパワハラやセクハラが起こると、会社の責任が問われるリスクが発生します。
会社は従業員の職場環境を適切に維持する義務を負います。
パワハラやセクハラの横行を放置していた場合、会社も被害者へ損害賠償しなければならない可能性があります。
パワハラやセクハラを早期に把握して芽を摘むため、社内に相談窓口をもうけて従業員へ周知しましょう。相談を受けたら調査を行い、結果に応じて適切に対応すべきです。再発防止措置をとる必要もあります。
法律に則ったパワハラやセクハラ対策の方法については、お気軽に弁護士へご相談ください。
6.試用期間後の解雇や内定取り消しのトラブル
試用期間後に本採用をしない場合や内定を取り消す際にも、トラブルが起こりがちです。
試用期間や内定であっても「労働契約」が成立するので、解雇できるとは限りません。
安全に契約関係を解消するには要件を満たして適正な手続きをとる必要があります。
困ったときには弁護士へご相談ください。
当事務所は企業の抱える労働トラブルのご相談を数多くお受けしています。安全な企業運営のため、お気軽にご相談ください。
【企業・顧問】不当解雇になるケースとは?
辞めさせたい従業員がいるからといって、不当解雇してはなりません。後に「解雇は無効」などと主張されて、大きなトラブルにつながる可能性があります。
不当解雇と正当な解雇の違いを知り、適切な方法で解雇手続きを進めましょう。
今回は不当解雇になるケースはどのような場合なのか、ご説明します。
そもそも不当解雇とは
不当解雇とは、法令や就業規則などのルールを守らないで行われる解雇です。
不当解雇をすると、解雇が無効となるので従業員を辞めさせることができません。
後に訴訟を起こされて、未払い賃金や従業員としての地位確認を求められる可能性が高くなり、慰謝料請求されるケースもあります。
辞めさせたい従業員がいるとしても、不当解雇と主張されないよう、慎重に退職への手続きを進めるべきです。
不当解雇のパターン
不当解雇には、以下の3パターンがあります。
法律上解雇が認められていない場合
労働契約法などの法令により、解雇が認められないパターンで、以下のような規制があります。
- 産休中や産休明け30日間における解雇
- 業務上のケガによる療養中や休業明け30日における解雇
- 男女差別にもとづく解雇
- 妊娠や出産したことによる解雇
- 育児休業や介護休業を取得したことによる解雇
- 思想や信条にもとづく解雇
- 労働組合活動にもとづく解雇
- 会社の不正を労働基準監督署へ申告したことによる解雇
上記のような解雇は無効です。
就業規則に違反する
就業規則に違反する解雇が無効となるケースもあります。
よくあるのが、懲戒解雇が不当解雇になるパターンです。
そもそも懲戒解雇するには、就業規則に懲戒解雇についての規定をおかねばなりません。
懲戒の手続きが定められている場合には、その手続きに従わないと懲戒解雇が無効になる可能性があります。たとえば本人の弁明を聞かねばならないと定められているのに本人の弁明を聞かずに一方的に解雇すると、不当解雇になる可能性が高くなります。
解雇権濫用法理に違反する
安全に従業員を解雇するには「解雇権濫用法理」についての知識が必須です。
解雇権濫用法理とは、以下の2つの要件を満たさない解雇は認められない、という法的なルールです(労働契約法16条)。
- 解雇の客観的合理的理由
社会一般的な視点からしても解雇を避けることができない、客観的かつ合理的な理由が必要です。
- 解雇の社会的相当性
解雇の方法についても社会的に相当で、適切な手続きをとらねばなりません。
不当解雇になる具体例
以下のような解雇は不当解雇になる可能性が濃厚です。
能力不足による解雇
- 単に他の従業員より成績が悪いというだけで解雇した
- 不合理な成績評価により一方的に解雇した
- 未経験の新入社員に教育を行わないまま「能力不足」と決めつけて解雇した
遅刻欠勤
- 遅刻欠勤がさほど頻繁でないのに解雇に踏み切った
- 改善指導をしないままいきなり解雇した
協調性がない、反抗的
- 改善指導や他の従業員との調整を行わずに解雇した
- 人事異動などの他の手段を尽くさないまま解雇した
- 業務命令に従わない場合、なぜその業務が必要なのか十分な説明をしないまま解雇した
整理解雇
- 解雇以外の方法で経営再建が可能なのに、整理解雇した
- 整理解雇の対象者選定方法が不合理、差別的であった
懲戒解雇
- 従業員が起こした問題行動に対し、解雇処分が重すぎた
安全に解雇を行うために弁護士へ相談を
解雇トラブルを避けるには、どういった状況であれば有効に解雇できるのかを知ったうえで、適切な手順で解雇の手続きを進めなければなりません。
いきなり解雇をするのではなく、まずは退職勧奨を行うのも有効です。
「解雇できるかできないか」を判断するには法的知識が必要ですので、辞めさせたい従業員がいる場合には、お気軽に弁護士までご相談ください。
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