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【企業・顧問】有給休暇の義務化とは

2022-01-21

2019年4月から、すべての事業者へ「一定の従業員の有給休暇取得」が義務付けられました。

 

定められた期間以上、雇用を継続している従業員には年に5日以上の有給休暇を取得させなければなりません。

 

今回は有給休暇の義務化の対象や違反した場合の罰則、対処方法をお伝えします。

 

1.有給休暇の義務化とは   

有給休暇(年次有給休暇)とは、一定期間以上はたらいている従業員が取得できる「給料を受け取れる休暇日」です。

1年で取得できる有給休暇の日数は、勤続期間や雇用形態によって異なります。

フルタイム労働者の場合には1年に6日~20日の有給休暇を取得でき、所定労働日数が週4日以下のパートタイム労働者の場合には年に1日~15日の有給休暇を取得できます。

 

2019年4月から、事業者には年次有給休暇を10日以上取得できる従業員に対し、年5日以上の有給休暇をとらせる義務が課されるようになりました。

 

2.有給休暇義務化の対象従業員

有給取得義務化の対象になるのは、正社員だけではありません。パートタイム労働者や契約社員であっても、継続雇用期間によっては義務化の対象となります。労働基準法上の管理監督者に該当する従業員も有給取得義務化の対象です。

 

具体的には以下に該当する従業員が「全労働日の8割以上」出勤した場合、年5日以上の有給休暇を取らせる義務が発生します。

 

  • 入社後6か月が経過した正社員やフルタイムの契約社員
  • 入社後6か月が経過した週30時間以上勤務しているパートタイム労働者
  • 入社後3年半以上が経過した週4日出勤しているパートタイム労働者
  • 入社後5年半以上が経過した週3日出勤しているパートタイム労働者

 

なおパートタイム労働者の出勤日数が週2日以下であれば、有給取得義務の対象になりません。

3.有給休暇の取得義務に違反した場合の罰則

有給取得義務化の対象となる従業員に対して有給を取得させなかった場合、事業主は労働基準法違反となり「30万円以下の罰金刑」が科されます。

30万円の罰金は従業員1人ずつ計算されるので、たとえば200人分の義務違反をした場合には6,000万円の罰金が科される可能性もあります。

 

4.有給休暇義務化に対応する方法

日本企業では、従業員が自ら有給休暇を申請しにくい雰囲気となっているケースが多々あります。従業員の自由に任せていると取得義務に対応しにくいでしょう。

 

確実に有給休暇を消費させるため、以下のような対応を検討してみてください。

 

4-1.計画年休制度を導入する

計画年休制度とは、事業主と労働者の代表との間で労使協定を締結することにより、有給休暇の取得日を会社が指定できる制度をいいます。

計画年休制度を導入すれば会社が有給取得日を決められるので、繁忙期や閑散期がある場合などにも計画的に有給をとらせられるメリットがあります。

必要な日数分、確実に従業員に有給休暇を取得させられるので法律上の要請もクリアできます。

 

ただし、事前に有給取得時期が固定されるので柔軟な対応が難しくなる可能性もあります。

 

4-2.個別指定方式

個別指定方式とは、労働者の自由に任せて有給休暇を取得させる方式です。

期限内に自主的に有給休暇を申請しない従業員については、企業側で管理して取得を促したり取得日を指定したりできます。

 

個別指定方式の場合、あらかじめ有給取得日が固定されず、企業側が従業員と話し合って日にちを決定できます。柔軟な対応が可能となり、従業員の満足度も向上しやすいメリットがあるでしょう。

ただし従業員1人1人について有給休暇の取得状況を管理しなければならず、工数がかかるデメリットがあります。

 

どちらの方式が向いているかは、企業の実情に応じて決定すべきです。従業員による自発的な有給取得が根付いていれば個別指定方式、従業員が自発的に有給取得しにくい状況であれば計画年休制度を導入するとよいでしょう。

 

当事務所では、千葉県内の企業様へ向けて、労務管理対策のアドバイスに力を入れています。労働法務に詳しい弁護士をお探しの方は、ぜひとも一度ご相談ください。

【企業・顧問】懲戒処分を公表すると名誉毀損になる?違法になるパターンや安全な方法について解説

2022-01-14

従業員を懲戒した場合、社内外へ公表する企業が少なくありません。公表により、他の従業員へ服務規律意識を高める効果が期待されます。

ただし公表の方法によっては「名誉毀損」となり、懲戒対象となった従業員から賠償金を請求されるリスクも発生します。

 

懲戒処分を公表する際には、関係者の権利を不当に侵害しないよう注意しなければなりません。

 

今回は、懲戒処分の公表が違法になる例や安全に懲戒制度を運用する方法を弁護士の視点からお伝えします。

 

懲戒処分を公表する目的

会社が懲戒処分を公表するのは、懲戒対象者以外の他の従業員の規律意識を高めるためです。つまり社内の従業員に懲戒事例を伝えて、再発を防ぐのが主目的です。

 

本人をみせしめにして報復するためではありません。

みせしめ的な情報公開をすると名誉毀損になりやすいので、まずは「懲戒の目的は本人を懲らしめることではなく規律意識を高めること」という目的をしっかり理解しましょう。

 

懲戒処分の公表が名誉毀損になるケース

懲戒処分を公表するとき、一般的に、以下のような要素があると、名誉毀損が成立しやすくなります。

 

実名で公表

懲戒処分を公表する際には、対象者を実名で特定するか匿名で事案の概要のみ伝えるか、選択しなければなりません。実名で懲戒処分を公表すると本人が特定され、社会的評価が大きく低下する可能性があります。裁判例でも、実名で懲戒事案が公表されると、内容が真実であっても名誉毀損が成立すると判断されやすい傾向があります。

一方、匿名で対象者が誰かわからなければ、名誉毀損にはなりません。特に氏名公表の必要性がないなら、懲戒処分の公表は匿名で行うようお勧めします。

証拠がないことを推測で記載している

懲戒処分を公表する際には、原因となる事実(問題行動)を記載する必要があります。

このとき、証拠がないことを推測で記載すると、名誉毀損となる可能性が高まります。客観的に明らかに認められる事実のみを簡潔に記載しましょう。

 

社内の規律維持に無関係な詳細な記載をしている

懲戒公表の目的は、社内の規律維持です。それとは無関係な事項についてまで詳細に記載したり、一方的で主観的な評価を記載したりすると権利侵害となってしまう可能性があります。

 

セクハラ、パワハラ案件などで、関係者のプライバシーを侵害している

セクハラやパワハラ事案では、加害者(懲戒対象者)だけではなく被害者や同僚などが関与するケースが多数です。関係者のプライバシーを侵害すると、被害者などの関係者からもプライバシー権侵害や名誉毀損を主張される可能性があります。

 

不必要に長期間掲載し続ける

掲示板で懲戒事由を掲載する場合、必要性もないのに長期に渡って掲載し続けると名誉毀損と判定されやすくなります。掲示機関は1日~3日程度にとどめるのが無難でしょう。

 

社外へ公表する

企業HPなどで懲戒事案を公表すると、世間一般へ広く情報が伝わってしまいます。

社外へも情報が伝わると本人へ多大な影響が及び、名誉毀損による損害が大きくなってしまいます。

そもそも「社内の規律意識を高める」という懲戒公表の目的からすると、社外への公表は基本的に不要です。

重大事件で世間への説明が必要な場合など、特別の事情がなければ、社外への公表は控えましょう。懲戒処分は社内の従業員向けに掲示板への掲示、社内メールや社内報への記載などによって公表すべきです。

 

安全に懲戒制度を運用するために

懲戒制度の運用方法を間違えると、従業員から「懲戒解雇は無効」「降格は不当な不利益取り扱い」などと主張されるリスクが発生します。懲戒処分の公表を行う際にも、本人や関係者の名誉権やプライバシー権へ配慮しなければなりません。

 

弁護士が懲戒制度運用のご相談に対応いたしますので、千葉県で懲戒制度の規定・運用方法に迷われたときにはお気軽にご相談ください。

【企業・顧問】懲戒の種類、懲戒事由の定め方と注意点

2022-01-07

就業規則には、懲戒に関する規定を定めておくべきです。懲戒規定がないと、従業員が問題行動を起こしたときに懲戒できなくなってしまうからです。

 

この記事では懲戒処分の種類や懲戒事由の定め方について、注意点も含めて解説します。

 

懲戒とは

懲戒とは、事業主が問題行動を起こした従業員にペナルティを与えることです。

従業員が懲戒事由に該当する行動をすると、問題行動の程度に応じた方法で懲戒します。

たとえば「長期間の無断欠勤」「刑事罰が確定したこと」などが懲戒事由となります。

 

ただし懲戒するには、就業規則において懲戒事由や懲戒方法を定めておかねばなりません。

懲戒規定がないと、従業員が問題行動を起こしても懲戒できないので注意が必要です。

 

懲戒処分の種類

懲戒処分には以下の種類があります。

戒告、譴責

戒告と譴責は、従業員に注意をして反省を求める処分です。

一般的に戒告の場合は口頭、譴責の場合は書面で反省文を書かせるケースが多数です。

減給

従業員の給与を減らす処分です。ただし労働基準法に減給額の制限があるので、超過してはなりません。

 

出勤停止

一定期間会社への出勤を停止させる処分です。停止中の給料は支給しません。

降格

役職や職能資格などを引き下げる懲戒処分です。

諭旨解雇

一定期間内に自主的に退職届を提出するよう要求し、提出された場合には依願退職扱いとする方法です。退職届が提出されない場合、懲戒解雇する前提です。

懲戒解雇になると退職金も支給されないなど従業員にとって不利益が大きくなるので、その一段階前のステップとして諭旨解雇の規定をもうけます。

懲戒解雇

従業員を解雇する懲戒処分です。解雇予告手当や退職金が不支給となるケースもあり、従業員に対するペナルティとしてもっとも重いものです。

 

懲戒事由の代表例

代表的な懲戒事由を示します。

勤怠不良

遅刻や相対、無断欠勤が頻繁にある場合の懲戒事由です。

長期の無断欠勤

長期に渡って無断欠勤が続く場合です。14日程度無断欠勤が続く場合、懲戒解雇も認められやすくなります。

刑事事件で有罪判決が確定した

横領や窃盗、暴力行為などによって有罪判決が確定すると、懲戒事由とするケースがよくあります。

業務命令違反

日常的に上司の指示に従わない、転勤や人事異動などの指示に従わない場合などです。

機密保持義務違反

企業の秘密を漏洩した場合です。顧客情報、従業員の情報、商品やサービスに関する秘密などを正当な理由なく外部へもらした場合に該当します。

無許可の副業

副業を許可制とする場合、無許可での副業を懲戒事由とするケースがあります。

服務規律違反

「就業時間中は労務に専念しなければならない」などの服務規律に違反することを懲戒事由に定めるケースもあります。

セクハラやパワハラ

セクハラ行為やパワハラ行為は懲戒事由にしておくべきです。

ただし実際に懲戒を行う際には、証拠にもとづいて対応しなければなりません。

また問題行動に対して処分が重くなりすぎないようにバランスをとる必要もあります。

 

懲戒事由を定めるときの注意点

懲戒事由を定めるときには、漏れのないように注意すべきです。

あらかじめ就業規則で懲戒の種類や事由を定めておかないと、懲戒が認められないからです。

懲戒事由は主なものを列挙したうえで「その他上記各号に準じる不適切な行為があったとき」として、具体例に直接該当しないケースでも懲戒できるようにしておきましょう。

 

1つ1つの懲戒事由についても、表現を限定しすぎるとリスクがあります。たとえば「しばしば(数回)業務上の指示命令に従わない」と表現すると、1回違反があっても「しばしば」や「数回」とはいえないので懲戒できない、といった事態になりかねません。懲戒規定を定めるときには、具体的な表現方法にも慎重な配慮を要します。

 

当事務所では就業規則作成や改定の支援にも積極的に取り組んでいますので、お気軽にご相談ください。

【企業・顧問】よくある労務トラブルと対処方法について

2021-12-27

企業を経営していると、従業員との間でさまざまなトラブルが生じるものです。

 

よくある類型を把握して、事前に対策を練っておきましょう。

 

今回はよくある労務トラブルのパターンや対処方法を弁護士がお伝えします。

安全に企業を運営していきたい経営者の方はぜひ参考にしてみてください。

 

1.残業代未払い

企業が適正に残業代を払っていない場合、従業員から残業代請求される可能性があります。

退職した従業員から過去の残業代をまとめて請求される例も多く、訴訟で残業代を請求されると、遅延損害金や付加金を加算され本来の2倍以上の金額を払わねばならないリスクも発生します。残業代については、くれぐれも未払いが生じないように適正に管理し、支払いをすべきです。

 

また36協定を締結していなかったり、法律上の上限を超えて残業させたりすると違法状態となるので、労働基準法の規定を適正に守って労働時間の管理をしましょう。

 

2.解雇トラブル

解雇を巡ってトラブルになるケースも多々あります。

解雇通知を送った従業員から「解雇は無効」と主張されるだけではなく、退職勧奨によって円満退職させたと認識していた従業員から「退職を強要された」と主張される可能性もあります。

 

法律上、普通解雇できる場面は極めて限定されているので、解雇するときには要件を満たすかどうかしっかり検討しなければなりません。

退職勧奨を行う場合には、後に「強要」といわれないように、あくまで従業員の任意で退職届を提出させましょう。退職勧奨の経緯についても書面や録音で証拠を残しておくようお勧めします。

 

3.有給に関するトラブル

従業員から有給休暇の申請があったとき、企業側が渋ってトラブルになるケースもあります。

労働基準法により労働者には有給休暇の取得権が保障されているため、理由をとわず取得を申請できます。企業側が理由を尋ねたり拒否したりすることはできません。

 

ただし「時季変更権」は認められるので、繁忙期などでどうしても都合が悪いときには従業員と交渉して時季をずらすのがよいでしょう。

 

4.労災トラブル

労災が起こったときにも事業者側と従業員側がトラブルになる可能性があります。

企業側が労災を隠そうとして労災保険の請求に協力しなかったり、従業員に対する必要な補償を行わなかったりするためです。

 

従業員による労災保険の申請をきっかけに、違法な長時間労働が発覚するケースも少なくありません。

 

労災トラブルを防ぐには、日頃からしっかり従業員の就業環境を管理して、企業の安全配慮義務を果たすべきです。

万一労災が起こってしまった場合には、労基署へ報告を行って従業員による労災保険の申請に協力し、休業補償などもきちんと行いましょう。

 

自社の安全配慮義務違反を問われたときには、責任があるかどうか確認しなければならないので弁護士へご相談ください。

 

5.パワハラやセクハラのトラブル

社内でパワハラやセクハラが起こると、会社の責任が問われるリスクが発生します。

会社は従業員の職場環境を適切に維持する義務を負います。

パワハラやセクハラの横行を放置していた場合、会社も被害者へ損害賠償しなければならない可能性があります。

 

パワハラやセクハラを早期に把握して芽を摘むため、社内に相談窓口をもうけて従業員へ周知しましょう。相談を受けたら調査を行い、結果に応じて適切に対応すべきです。再発防止措置をとる必要もあります。

 

法律に則ったパワハラやセクハラ対策の方法については、お気軽に弁護士へご相談ください。

 

6.試用期間後の解雇や内定取り消しのトラブル

試用期間後に本採用をしない場合や内定を取り消す際にも、トラブルが起こりがちです。

試用期間や内定であっても「労働契約」が成立するので、解雇できるとは限りません。

安全に契約関係を解消するには要件を満たして適正な手続きをとる必要があります。

困ったときには弁護士へご相談ください。

 

当事務所は企業の抱える労働トラブルのご相談を数多くお受けしています。安全な企業運営のため、お気軽にご相談ください。

 

【企業・顧問】不当解雇になるケースとは?

2021-12-20

辞めさせたい従業員がいるからといって、不当解雇してはなりません。後に「解雇は無効」などと主張されて、大きなトラブルにつながる可能性があります。

 

不当解雇と正当な解雇の違いを知り、適切な方法で解雇手続きを進めましょう。

 

今回は不当解雇になるケースはどのような場合なのか、ご説明します。

 

 

そもそも不当解雇とは

不当解雇とは、法令や就業規則などのルールを守らないで行われる解雇です。

不当解雇をすると、解雇が無効となるので従業員を辞めさせることができません。

後に訴訟を起こされて、未払い賃金や従業員としての地位確認を求められる可能性が高くなり、慰謝料請求されるケースもあります。

 

辞めさせたい従業員がいるとしても、不当解雇と主張されないよう、慎重に退職への手続きを進めるべきです。

 

不当解雇のパターン

不当解雇には、以下の3パターンがあります。

法律上解雇が認められていない場合

労働契約法などの法令により、解雇が認められないパターンで、以下のような規制があります。

  • 産休中や産休明け30日間における解雇
  • 業務上のケガによる療養中や休業明け30日における解雇
  • 男女差別にもとづく解雇
  • 妊娠や出産したことによる解雇
  • 育児休業や介護休業を取得したことによる解雇
  • 思想や信条にもとづく解雇
  • 労働組合活動にもとづく解雇
  • 会社の不正を労働基準監督署へ申告したことによる解雇

 

上記のような解雇は無効です。

 

就業規則に違反する

就業規則に違反する解雇が無効となるケースもあります。

よくあるのが、懲戒解雇が不当解雇になるパターンです。

そもそも懲戒解雇するには、就業規則に懲戒解雇についての規定をおかねばなりません。

懲戒の手続きが定められている場合には、その手続きに従わないと懲戒解雇が無効になる可能性があります。たとえば本人の弁明を聞かねばならないと定められているのに本人の弁明を聞かずに一方的に解雇すると、不当解雇になる可能性が高くなります。

 

解雇権濫用法理に違反する

安全に従業員を解雇するには「解雇権濫用法理」についての知識が必須です。

解雇権濫用法理とは、以下の2つの要件を満たさない解雇は認められない、という法的なルールです(労働契約法16条)。

  • 解雇の客観的合理的理由

社会一般的な視点からしても解雇を避けることができない、客観的かつ合理的な理由が必要です。

 

  • 解雇の社会的相当性

解雇の方法についても社会的に相当で、適切な手続きをとらねばなりません。

 

不当解雇になる具体例

以下のような解雇は不当解雇になる可能性が濃厚です。

能力不足による解雇

  • 単に他の従業員より成績が悪いというだけで解雇した
  • 不合理な成績評価により一方的に解雇した
  • 未経験の新入社員に教育を行わないまま「能力不足」と決めつけて解雇した

 

遅刻欠勤

  • 遅刻欠勤がさほど頻繁でないのに解雇に踏み切った
  • 改善指導をしないままいきなり解雇した

 

協調性がない、反抗的

  • 改善指導や他の従業員との調整を行わずに解雇した
  • 人事異動などの他の手段を尽くさないまま解雇した
  • 業務命令に従わない場合、なぜその業務が必要なのか十分な説明をしないまま解雇した

整理解雇

  • 解雇以外の方法で経営再建が可能なのに、整理解雇した
  • 整理解雇の対象者選定方法が不合理、差別的であった

 

懲戒解雇

  • 従業員が起こした問題行動に対し、解雇処分が重すぎた

 

安全に解雇を行うために弁護士へ相談を

解雇トラブルを避けるには、どういった状況であれば有効に解雇できるのかを知ったうえで、適切な手順で解雇の手続きを進めなければなりません。

いきなり解雇をするのではなく、まずは退職勧奨を行うのも有効です。

「解雇できるかできないか」を判断するには法的知識が必要ですので、辞めさせたい従業員がいる場合には、お気軽に弁護士までご相談ください。

【企業・顧問】退職代行会社から連絡が来たときの対処方法

2021-12-13

最近では、自分で退職の意思を伝えずに「退職代行会社」を利用する人が増加しています。

ある日突然、聞いたこともない退職代行会社から連絡が来たら、雇用主である企業としてはどう対応すればよいのでしょうか?

 

今回は退職代行会社についての基本知識や企業としての対処方法をお伝えします。

 

1.退職代行会社とは

退職代行会社とは、従業員の代わりに勤務先の企業へ退職意思を伝える専門業者です。

従業員が自分で会社に対して「退職する」と伝えにくい場合、退職代行会社を通じて会社に退職を申し入れて退職手続きを進めます。

 

退職代行会社は、運営母体によって以下の3種類に分けられます。

  • 独立型(無資格)

弁護士でも労働組合でもない一般企業が運営しているタイプです。単なる「使者」としてのはたらきしかできず、交渉権限はありません。

  • 労働組合型

労働組合が母体となっている退職代行サービスです。労働組合には団体交渉権があるので、企業へ交渉を申し入れてくる可能性があります。

  • 弁護士型

弁護士が運営している退職代行サービスです。弁護士には本人の代理人となって交渉する権限が認められるので、退職条件や未払い賃金等について交渉を持ちかけられる可能性があります。

 

2.退職代行会社から通知が来たときの対処方法と注意点

退職代行会社から通知が来たら、以下のような点に注意して対応しましょう。

2-1.従業員の雇用形態

まずは対象従業員との雇用契約が、有期契約か無期契約なのか、確認すべきです。

無期契約であれば従業員側はいつでも退職を申し入れることができるので、企業側は退職を受け入れざるを得ません。ただし民法では退職の申し入れ後2週間で労働契約が終了すると規定されているので、通知が来たからといってすぐに契約が終了するとは限りません(民法627条1項)。

有期契約の場合、やむを得ない事情がない限り期間の途中では退職できません(民法628条)。

有期契約社員から退職代行会社を使って通知された場合、途中退職せざるをえない事情があるか吟味する必要があります。

 

2-2.退職代行業者に権限があるか確認する

次に退職代行業者に正当な権限があるかどうか、確認しましょう。

本人が作成した委任状や退職届を提示させるべきです。

 

2-3.本人に直接連絡しない

正当な権限のある退職代行業者が間に入った場合、企業は本人へ直接連絡すべきではありません。「本人からの連絡がないと退職を認めない」と主張する会社もありますが、そういった主張は通りにくいと考えましょう。

退職代行会社が間に入ったからには、基本的には業者を通じて連絡すべきです。

 

2-4.退職代行業者の運営母体を確認する

退職代行業者の運営母体の確認も重要です。

弁護士でも労働組合でもない無資格の退職代行会社にできることは限られています。単に退職の意志を伝えるのが限度であり、残業代やその他の具体的な退職条件についての交渉はできません。交渉すると、弁護士法違反となる可能性があります。

 

一方、弁護士が代行している場合には、有給の消化や退職金、未払い賃金などさまざまな事項について交渉を持ちかけられるケースもあります。

 

相手にどこまでの権限があるのかを確認し、権限を逸脱しているようであれば弁護士会に通報するなどの対応をとりましょう。

 

2-5.退職日や引き継ぎの調整

退職通知を受け取ったからといって即時に退職が成立するわけではありません。

退職日の調整は可能です。

また、退職するなら担当業務の引き継ぎをしてもらわないと、企業側に不利益が及ぶでしょうから、退職代行業者を通じて引き継ぎを依頼してみてください。

具体的な指示事項をまとめて書面やメールで連絡するとよいでしょう。

2-6.退職の手続きを行う

あとは、以下のような退職手続きを進めます。

  • 退職届を送付させる
  • 貸与物の返還を受ける
  • 私物を返還する
  • 秘密保持や競業避止義務などの契約を締結する
  • 社会保険などの資格喪失手続きを行う
  • 離職票、源泉徴収票を交付する

 

退職代行会社からの通知に適切に対応しなかったため、トラブルにつながる事例もあります。ときには弁護士法違反が疑われる退職代行業者もあるので注意が必要です。

迷ったときには弁護士へ相談してみてください。

 

【企業・顧問】退職勧奨の流れ、進め方と注意点

2021-12-02

退職勧奨によって円満退職を実現できれば、解雇トラブルを起こさずに問題社員を辞めさせることが可能です。

ただし退職勧奨も違法になる可能性があるので、適切な方法で進めましょう。

 

今回は退職勧奨の流れや注意点について、弁護士が解説します。

 

1.退職勧奨の流れ

退職勧奨は、以下のような手順で進めましょう。

1-1.幹部や上司と方針を共有する

まずは退職勧奨の方針について、経営幹部や本人直属の上司などの関係者で共有する必要があります。会社の意思をまとめておかないと、退職勧奨をスムーズに進めるのが難しくなってしまうからです。

 

1-2.退職勧奨の理由をまとめる

次に、対象者へ退職勧奨を行うべき理由を整理しましょう。

退職勧奨の理由をまとめておくと、対象者を説得する際に役立ちます。

退職勧奨の際には本人から抵抗されるケースも多いので、企業側も対抗できるように準備しておかねばなりません。場当たり的な対応をするとトラブルになる可能性が高くなるので、事前にまとめておくべきです。

 

1-3.対象者へ会社の意向を伝える

準備が整ったら、対象者を呼び出して「退職してほしい」という会社側の意向を伝えましょう。

このとき、多数の上司で取り囲んで退職を強要する対応をしてはなりません。

脅迫したり怒鳴りつけて無理やり退職させたりするのも不適切で、トラブルのもとになります。無理に退職させると、後に「退職を強要された」といわれて退職勧奨が無効になってしまう可能性があるからです。

 

あくまで対象者が任意で退職するように説得し、話をもっていきましょう。

 

1-4.退職の条件を話し合う

対象者が、条件次第では退職に応じる意向を示したら、退職条件を話し合う必要があります。

具体的には、退職金の金額や退職時期について、決定しましょう。

場合によっては、本人に退職を決意させるために退職金の上乗せや解決金の支払いを提案すべきケースもあります。

 

1-5.退職届を提出させる

条件が整ったら、退職届を書かせて提出させましょう。

これで、退職の手続きは一応完了します。

 

 

2.退職勧奨の注意点

退職勧奨を行う際には、以下の点に要注意です。

 

2-1.対象者の質問や反論への対応

退職勧奨を行うと、対象者から質問や反論をされるケースが多々あります。会社の落ち度を責め立てるばかりで、まったく反省しない従業員もいるでしょう。

 

質問や反論に対しては感情的にならず、落ち着いて対応すべきです。

なぜ退職を勧めることになったのか、どういった点に問題があるのか、事前に用意していた「退職勧奨すべき理由」をもとにして、説得しましょう。

 

2-2.録音しておく

退職勧奨の際には、状況を録音しておくようお勧めします。

後に従業員から「退職強要された」「脅迫されて、無理やり退職届を書かされた」などと主張される可能性があるためです。

録音しておけば、従業員から虚偽の違法行為を主張される不安がなくなります。

 

2-3.従業員側から録音される可能性が高い

退職勧奨の際、従業員側が録音しているケースが多々あります。会社側としても「録音されている前提」で、不用意な発言をしないよう対処しなければなりません。

 

2-4.失業保険は会社都合退職になる

退職勧奨を行って従業員を退職させたとき、失業保険は基本的に「会社都合退職」となります。退職届を受け取ったから「自己都合退職」にしてしまう企業もありますが、ハローワークでは「退職勧奨は会社都合退職」として取り扱っているので間違えないようにしましょう。

 

会社都合退職になると、従業員は早めに失業保険を受け取れますし、受給日数も長くなるメリットがあります。退職を決意させる説得材料としても利用できるでしょう。

 

 

3.退職勧奨は弁護士へ相談を

正しい方法で退職勧奨を進めるには、解雇や退職勧奨に関する判例や法令の知識が必要です。自己判断で対応すると、後に従業員から「退職強要を受けた」といわれてトラブルになる可能性もあります。円満に辞めさせたい従業員がいる場合には、弁護士までご相談ください。

【企業・顧問】企業がネットで風評被害を受けたときの対処方法

2021-11-22

現代社会では、ほとんどの人がスマホやPCを使って情報検索しています。自社に関するネガティブな情報が拡散されてしまったら、企業の信用が大きく毀損されて損害が拡大するでしょう。

 

今回は企業がネットで風評被害を受けたときの対処方法をお伝えします。

 

ネット風評被害によるリスク

ネット風評被害とは、ネット掲示板や口コミサイト、SNSなどにおいて信用を毀損する投稿をされることです。いったんネガティブな投稿が行われるとTwitterなどのSNSを通じて情報が一気に拡散し、炎上してしまうケースも少なくありません。

 

企業がネット風評被害を受けると以下のようなリスクが発生します。

 

売上減少

企業の商品やサービスのイメージがダウンして売上が減少する事例が多々あります。

 

人材を集めにくくなる

採用活動によって優秀な人材を集めようとしても、求人に応募する人が減少して人材確保が難しくなる可能性があります。

 

信用の低下、株価の下落

企業に対する信用が大きく低下して、上場企業の場合には株価が下落するケースも少なくありません。

 

企業の場合、個人以上にネット誹謗中傷を放置すると多大な不利益が及ぶものです。早めの対処が肝心といえるでしょう。

 

 

削除請求

企業がネット上で誹謗中傷、風評被害を受けたときには、まずは削除請求を進めましょう。

問題となる投稿が残っていると、どんどん拡散されて多くの人の目に触れる可能性が高くなるからです。

 

サイトに対する直接請求

掲示板や口コミサイトやSNSなど、運営主体によっては投稿のガイドラインがもうけられていて、違反する投稿に対しては運営側が積極的に削除する対応をとっているものがあります。

 

そういったサイトであれば、まずは運営者へ報告し、任意の削除を求めましょう。

ただし削除請求者が法人の場合、削除の基準が厳しくなっており受け付けてもらえないケースも少なくありません。

 

裁判所で仮処分を申し立てる

サイト運営者へ報告しても削除を受け付けてもらえない場合には、裁判所へ削除の仮処分を申し立てましょう。

権利侵害や保全の必要性を説明できれば、裁判所からサイト運営者へ投稿の削除命令を出してもらえます。

なお削除されると不法な投稿の証拠が消えてしまうので、スクショを撮影するなどの方法により、自社で証拠をとっておく必要があります。

 

発信者情報開示請求

不法な投稿を消しただけでは、投稿者にとって痛手はありません。また同じような嫌がらせや名誉毀損の投稿が行われる可能性もあります。

再発を防止するには、投稿者を特定して二度と不法な投稿をしないよう、約束させるべきです。権利侵害の投稿によって企業側が被った損害について、賠償金の請求もできます。

 

ただネット上の投稿はほとんどのケースにおいて匿名で行われます。

損害賠償請求を行うには、投稿者本人を特定しなければなりません。そのため「発信者情報開示請求」を行う必要があります。

 

発信者情報開示請求の手順

まずはサイト運営者やプロバイダへ情報開示を求めましょう。任意に投稿者の情報の開示を受けられれば、労力をかけずに情報を取得できます。

任意開示を受けられない場合、裁判所へ仮処分や訴訟を申し立てる必要があります。

これらは非常に複雑で難しい手続きなので、弁護士に任せましょう。

 

損害賠償請求

投稿者の氏名や住所などの情報が判明したら、相手に損害賠償請求を行います。

具体的には慰謝料や売上低下分の損害、弁護士費用や調査にかかった費用などを請求できます。

相手と和解するときには、二度と御社に関する投稿をしないよう約束させて、違約金条項も定めておくとよいでしょう。

 

企業がネット誹謗中傷被害に遭ったら、早めの対応が肝心です。被害を拡大させる前に解決できれば、売上低下や信用毀損の程度も最小限に抑えられます。削除や発信者情報開示請求の裁判手続きは、弁護士までお任せください。

【企業・顧問】労働審判を起こされたときの対処方法

2021-11-16

従業員とのトラブルが大きくなると、「労働審判」を起こされる可能性があります。

労働審判は「話し合い」から始まりますが、最終的には裁判所で「審判」が下される手続きです。適切に対応しなければ不利な結論が出てしまうので、当初からしっかり準備して臨みましょう。

 

今回は労働審判を起こされたときの対処方法を弁護士がお伝えします。

 

労働審判の流れ

まずは労働審判の流れをみてみましょう。

 

裁判所から申立書が送られてくる

従業員側が労働審判を申し立てると、裁判所から企業宛に労働審判の申立書が送られてきます。

 

答弁書や証拠を提出

企業側が、申立内容に対する意見を答弁書にまとめて提出します。答弁書には提出期限がもうけられているので、遅れないように対応しましょう。主張を補強する証拠があれば一緒に提出できます。

 

第1回期日

申立日から40日以内に第1回期日が開かれます。裁判官や労働審判員が当事者へ質問などを行って事案の概要や争点を把握します。第1回期日で労働審判の方向性の大筋を決められるので、第一回期日への準備や対応は非常に重要です。

 

第2回、第3回期日

第2回期日では、裁判所側から当事者へ解決案が示され、当事者が納得できれば調停が成立します。第2回期日でまとまらなかった場合、第3回目の期日が開かれて調整が行われます。

 

審判

3回の期日で調停が成立しなかった場合には、審判になって裁判所が結論を下します。

当事者が双方とも異議を出さなければ審判内容が確定します。

当事者のどちらか一方でも2週間以内に異議を申し立てると「訴訟」へと移行します。

 

労働審判にかかる期間は70日程度です。

 

労働審判への対処方法

労働審判では、第1回期日においておよその方向性が決められるため、第1回期日前の準備が極めて重要です。

従業員側から提出された申立書類をしっかり精査し、間違っているところや納得できない場所がないか、確認しましょう。

 

内容確認が終わったら、「答弁書」を作成しなければなりません。自社の言い分を法律的に整えなければ裁判官や労働審判員には伝わりにくく不利になります。未払い残業代トラブル、不当解雇トラブルなど、従業員の主張内容によっても反論方法は変わってきます。法律論に従いながら、しっかりと言いたいことをまとめましょう。

答弁書と一緒に証拠も提出できるので、自社の主張に即した資料があれば一緒に提出しましょう。

 

労働審判を弁護士に依頼すべき理由

労働審判は訴訟に比べて短期間で終わりますし、手続きも比較的簡単です。中には「弁護士に依頼する必要はない」と考える企業もあるでしょう。

 

しかし労働審判は、法的な知識や専門スキルを要する手続きです。

むしろ短期間であるためにスピーディかつ凝縮した対応が必要となり、適当に構えていると著しく不利な結果が出てしまう可能性が高まります。

 

申立書を受け取ってから答弁書の提出期限までの期間は短く、準備に十分な時間をとれないケースもあります。それでも法的な主張を整理して説得的な答弁書を作成し、自社内の資料も整理して証拠提出できる準備を整えなければ不利になってしまいます。

 

弁護士がついていれば、企業の言い分を聞いて法的に整理し説得的な答弁書を作成できます。資料を整理し、必要なものを証拠提出することも可能です。

労働審判の進行中も、調停案を受け入れるべきかどうか、修正を求めるべきかどうかなどアドバイスを受けられますし、審判となった場合にも異議申し立てを行うかどうかなど助言してもらえます。

 

労働トラブルを依頼するなら、企業側の労使対策に詳しい弁護士を選びましょう。当事務所では千葉の中小事業者へ向けての法的支援に積極的に取り組んでいますので、労働審判を申し立てられたらお早めにご相談ください。

【企業・顧問】問題社員を辞めさせる方法、手順を解説~無計画な解雇は「不当解雇」に!~

2021-11-08
  • 上司の指示に従わず反抗的
  • 勤務態度が悪く、周囲ともしょっちゅうトラブルを起こしている
  • 遅刻や早退が多く、まじめに働かない

 

社内に問題社員を抱えていると企業には大きな損失です。本人の成績が振るわないだけならまだしも、周囲のモチベーションまで下がってしまうケースが多々あります。

 

しかし問題があるからといって簡単に解雇できるものではありません。

 

今回は問題社員を解雇する手順をお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

解雇できる条件は厳しい

日本では、労働者が非常に強く保護されており、いったん雇用した従業員を解雇するのは簡単ではありません。

通常時に解雇するためには以下の2つの要件を満たす必要があります。

 

解雇の客観的合理的理由

客観的にみて「解雇せざるをえない」合理的な理由が必要です。たとえば「単に成績が悪い」「遅刻や早退が目立つ」といった程度であれば、解雇は認められない可能性が高くなります。

解雇の社会的相当性

解雇の方法が社会的に相当なものでなければなりません。

改善のための工夫をせずいきなり解雇しても無効となる可能性があります。

 

解雇予告と解雇予告手当

解雇するときには、30日前に解雇予告をするか、30日分以上の解雇予告手当の支払いをしなければなりません。

なお解雇予告や解雇予告手当の対処をしたらいつでも解雇できるわけではありません。解雇の合理性や相当性がなければ不当解雇となります。

 

そもそも解雇できないケース

法律上、解雇が認められないケースもあります。たとえば労災による休業期間やその後30日間、産前産後休業期間とその後30日間における解雇は禁止されます。

 

解雇の手順

問題社員を解雇したいなら、以下の手順で進めましょう。

教育指導を行って証拠を残す

まずは対象の従業員に対し、改善へ向けて指導や教育を行いましょう。

いきなり解雇すると、不当解雇となってしまう可能性が高いからです。

  • 個別指導する
  • 課題を与えて報告書を提出させる
  • セミナーに参加させる

 

上記のような対応をしたら、将来に備えて証拠を残しましょう。

 

異動や降格

教育指導を行っても改善しない場合、異動や降格なども検討します。

今の部署が合っていない場合、異動させると問題が解消される可能性があります。

問題行動が目立つようであれば、降格させて本人の反省を促すのも1つの対処方法です。

 

退職勧奨

上記のような手段をとっても状況が改善しない場合「退職勧奨」を行いましょう。

退職勧奨とは、従業員に自主的な退職を促すことです。自ら退職した場合、原則的に「不当解雇」にはなりません。

従業員が退職を渋るようなら、多少退職金を上乗せして、自主退職のメリットを感じさせる方法もあります。

 

ただし「退職を強要」すると違法になってしまう可能性があるため、あくまで「任意の退職」を促しましょう。

 

たとえば以下のような対応をしてはなりません。

  • 数人の上司が取り囲み、無理やり退職届を書かせる
  • 退職を拒否しているのにしつこく退職するよう迫る

 

解雇通知

退職勧奨を行っても効果がなかった場合には、最終的に解雇するしかありません。

30日前に解雇予告を行い、解雇通知を送りましょう。解雇予告が間に合わない場合には、30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として支給しなければなりません。

 

また解雇後に従業員側から「解雇理由証明書」の提示を求められたら、速やかに解雇理由をまとめた書面を送付する義務があります。解雇理由証明書に記載された内容次第では、後に「不当解雇」と主張されるおそれもあるため慎重に作成しましょう。

 

問題社員を抱えていると、企業側は頭を悩ませるものです。解雇トラブルを避けてスムーズに退職させるには、法律の正確な知識が必要なので、労働問題に詳しい弁護士に相談しながら進めましょう。当事務所は千葉県の中小事業者への法的支援に積極的に取り組んでいます。労働トラブル解決の実績も多数ありますので、まずは一度ご相談ください。

 

 

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