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【借金】奨学金を返せないときの対処方法
奨学金を返済できずに放置していると、日本学生支援機構などの債権者から訴訟を起こされる可能性もあります。
返せないときには放置せず、減額返還制度などを使って適切に対応しましょう。
今回は奨学金を返せないときの対処方法を解説します。
1.奨学金を返せないとどうなるのか
奨学金を返せないで放置していると何が起こるのか、みてみましょう。
STEP1 請求される
まずは借入先である日本学生支援機構から督促が来ます。
郵便による督促が行われるケースが多数です。
STEP2 信用情報に事故情報が登録される
次に個人信用情報に事故情報が登録されて、いわゆる「ブラックリスト状態」になります。
いったんブラックリスト状態になると、ローンやクレジットカードを利用できません。
今使っているクレジットカードもいずれ解約されてしまいます。
ブラックリスト状態になるのは、奨学金の滞納後約3か月後となるのが標準的です。
STEP3 訴訟を起こされる
奨学金を長期にわたって払わずに放置しておくと、日本学生支援機構から訴訟を起こされる可能性もあります。
STEP4差し押さえを受ける
訴訟で判決が出たら、日本学生支援機構から給料や預金などの差し押さえを受ける可能性があります。差し押さえは奨学金を完済するまで止まりません。
2.奨学金を返せないときの対処方法
奨学金を返せないなら、以下のような方法で対処しましょう。
2-1.減額返還制度
まずは減額返還制度の利用を検討するようおすすめします。
減額返還制度とは、一定期間、奨学金の返還額を減額してもらえる措置です。
認められれば毎月の返済額が2分の1または3分の1になるので、有効な対処方法となるでしょう。
減額返還できる期間は最長15年です。ただし1年ごとに願い出る必要があります。
また減額返還とはいっても償還総額が減額されるわけではありません。単に返還期間が延びるだけなので、間違えないようにしましょう。
天災に遭った場合や低所得の場合などに減額返還制度を申請できます。
なおすでに奨学金を滞納していると減額返還制度は利用できません。
2-2.返還期限猶予制度
返還期限猶予制度とは、一定期間、奨学金の支払いを延ばしてもらえる制度です。
猶予してもらえる期間は最長10年です。
返還期限猶予制度の場合にも単に返還期限が延びるだけであり、利息を含めた総支払額が減額されるわけではありません。
滞納していても返還期限猶予制度を利用できることもあります。
2-3.免除制度
ご本人が死亡した場合や重度障害者となった場合には、免除制度を利用して奨学金の残金を免除してもらえることもあります。
3.どうしても返せないときには債務整理をする
奨学金の減額返還制度などを利用してもどうしても支払いが難しい方もいるでしょう。
その場合には債務整理を検討するようおすすめします。
3-1.個人再生
個人再生をすると、奨学金の債務を含めたほとんどすべての負債を減額してもらえます。
たとえば奨学金以外にカードローンなどの借り入れがある場合にも、個人再生をしたらまとめて減額してもらえます。
住宅ローン返済中の方の場合「住宅ローン特則」を利用すれば、住宅ローンの支払いは継続して家を守ることも可能です。
- 継続的な収入がある
- 家を失いたくない
- 財産を失いたくない
- 自己破産はしたくない
こういった状況の方は個人再生を検討すると良いでしょう。
3-2.自己破産
自己破産とは、裁判所へ申立をしてほとんどすべての負債を免除してもらう手続きです。
奨学金も全額免除してもらえるので、支払いの必要はなくなります。
ただし自己破産をすると、生活に必要な最低限を超える資産が失われます。
以下のような状況なら自己破産を検討しましょう。
- 収入がない
- 守りたい資産はない
- 奨学金の額が大きすぎて個人再生で減額されても払えない
なお個人再生や自己破産をすると、連帯保証人に一括請求されます。親族に連帯保証人になってもらっている場合、事前に相談しておくと良いでしょう。
奨学金の返済が難しい場合、ひとりで抱え込まずに専門家へご相談ください。
【借金】自己破産の「免責不許可事由」とは
自己破産をしても、必ず免責してもらえるわけではありません。
自己破産には「免責不許可事由」があるからです。
免責不許可事由に該当する場合、借金などの負債が免除されずにそのまま残ってしまう可能性もあります。
今回は自己破産の免責不許可事由について解説しますので、これから破産しようとしている方はぜひ参考にしてみてください。
1.免責不許可事由とは
免責不許可事由とは、該当すると免責を受けられなくなる一定の事情です。
免責とは、借金などの負債の支払義務をなくしてもらえる決定をいいます。自己破産をしても免責してもらえなかったら、借金がそのまますべて残ってしまうので意味がありません。
免責不許可事由に該当すると、せっかく自己破産を申し立てても借金が免除されない可能性があるので要注意です。
2.免責不許可事由に該当する事情一覧
具体的にどういったケースで免責不許可事由に該当するのか、みてみましょう。
- 破産者を害する目的で財産を減少させる
- 破産手続きの開始を遅延させる目的で不利益な条件で債務を負担する、クレジットカードなどで現金化をする
- 特定の債権者にだけ弁済する、担保を提供する
- 浪費やギャンブルをする
- 支払い能力や意思がないのにあるような素振りを見せて相手を騙して借り入れをする
- 財産隠しをする
- 裁判所へ虚偽の報告をする
- 管財人の業務を妨害する、協力しない
- 7年以内に免責許可を受けている
たとえばパチスロや競馬などのギャンブルで大きな借金を作ってしまった場合、免責不許可事由に該当して免責してもらえない可能性があります。
3.裁量免責について
免責不許可事由があっても、必ず免責してもらえないというわけではありません。
現実には「裁量免責」によって免責してもらえるケースが多数です。
裁量免責とは、裁判官の裁量によって免責を認めることをいいます。
浪費やギャンブルなどの免責不許可事由があっても、裁判官が「この人は更生できる可能性が高い」と判断し、裁量免責してもらえれば、借金の返済義務はなくなります。
裁量免責してもらえる割合は高い
免責不許可事由があっても裁量免責してもらえるケースはどのくらいの割合なのでしょうか?
毎年、自己破産をして最終的に免責を受けられるケースは全体の90%を越えており95%を超える年もあります。
この中には当然、免責不許可事由のある方が多く含まれます。
こういった事情からすると、現実には免責不許可事由があってもほとんどのケースで免責を受けられているといえるでしょう。当事務所で取り扱った事案でも、免責不許可事由があってもほとんどの事案で裁量免責を受けられています。
4.管財事件になる可能性が高い
浪費やギャンブルなどの免責不許可事由がある場合、自己破産の手続きが「管財事件」になる可能性が高くなります。
管財事件とは、破産管財人が選任されて裁判所で債権者集会が開かれる破産手続きです。
免責不許可事由のある方の場合、本当に裁量免責してよいか判断するために破産管財人が観察をするのです。同時廃止より複雑で時間も長くかかります。
破産管財人が選任されると予納金も高額になるなど、破産者に負担が掛かる可能性があります。
管財事件になってしまうことは、免責を受けるためにやむを得ないといえるでしょう。
5.裁量免責を受けるために
免責不許可事由が合っても裁量免責を受けるには、誠実な態度で破産手続きに臨む必要があります。反省の態度をしっかりと示し、問題行動を二度と繰り返さないことを誓いましょう。
裁判所や管財人の指示にもきちんと従う必要があります。
千葉の秋山慎太郎総合法律事務所では、借金問題の解決に力を入れて取り組んでいます。
免責不許可事由があっても免責決定を勝ち取ってきた実績がありますので、安心してご相談ください。
【借金】債務整理したときの仕事への影響
「債務整理をすると、仕事を続けられなくなりませんか?会社に知られませんか?」
といったご相談を受けるケースがあります。
債務整理をしても、ほとんどのケースで仕事に影響はありません。
従来通り、仕事を続けられますし会社に知られない事例がほとんどです。
今回は債務整理をすると仕事にどういった影響が及ぶのか、注意点も含めて解説します。
1.債務整理をしても会社に知られない
債務整理をしても、会社に知られるケースはほとんどありません。
債務整理が会社に通知される仕組みがないからです。
裁判所からも債権者からも弁護士からも会社へ連絡はしません。
このことはすべての債務整理において共通で、任意整理でも個人再生でも自己破産でも会社に知られる心配はほとんどありません。
2.会社に知られるケースとは
ただし会社から借り入れをしている場合には、例外的に会社に債務整理を知られる可能性があります。
任意整理であれば会社からの借入れ以外を整理すれば会社に知られることはありません。しかし他の債務整理の場合、整理の対象にせざるを得ないからです。
つまり個人再生や自己破産の場合、債権者を全員対象にしなければなりません。
会社を外すことができず、会社に対しても債権調査票を送るなど債権者としての扱いをしなければならないので、会社に知られる結果となります。
また個人再生や自己破産をするときに退職金証明書を会社に請求すると、理由を聞かれて債務整理を感づかれるケースもあります。「債務整理をするため」と説明するともちろん会社に知られますし、うまく説明できずに感づかれるケースもあるでしょう。
会社に退職金証明書を請求するときに債務整理を知られなくなかったら「住宅ローン審査のためなどに必要」などと説明すると良いでしょう。
3.債務整理を知られても解雇されない
会社に債務整理を知られたくない方は、「会社に知られたら解雇されるのでは?」と心配しているケースもよくあります。
結論的に、債務整理を会社に知られても解雇される心配はほとんどありません。
債務整理は法律上の解雇理由にならないからです。
債務整理はプライベートな事情であり、仕事とは基本的に関係ありません。
債務整理したからといって解雇された場合には、解雇無効を主張して争うことも可能です。
万一自己破産をして解雇されてしまったら、お早めに弁護士までご相談ください。
4.自己破産の資格制限とは
自己破産をした場合には「資格制限」によって一定の仕事ができなくなる可能性もあります。
資格制限とは、自己破産の手続き中に一定の資格が制限されることです。
たとえば以下のような資格が制限対象になります。
- 弁護士、司法書士、行政書士、税理士、宅建士などの士業
- 警備員
- 生命保険外交員
- 質屋
- 貸金業者
- 卸売業者
- 旅行業
- 騎手、調教師
成年後見人や遺言執行者の業務もできなくなります。
一方、資格制限に該当しない職種の場合には自己破産をしても問題なく仕事を続けられます。たとえば以下のような仕事は制限対象になっていないので安心しましょう。
- 医師や看護師、薬剤師などの医療職
- 地方公務員や国家公務員などの一般の公務員
- 銀行員
資格制限を受ける期間
資格制限を受けるのは、いつからいつまでなのでしょうか?
多くの場合、「破産手続開始決定時から免責決定が確定するまで」の期間です。
同時廃止の場合には2~3か月、管財事件の場合で6か月程度が標準的です。
その期間を過ぎたらまた、元のように制限されていた仕事を再開できます。
資格制限を受けても永遠に仕事が制限されるわけではないので、過剰に心配する必要はありません。
秋山慎太郎総合法律事務所では債務整理に力を入れて取り組んでいます。会社やご家族に知られずに手続きすることも可能ですので、まずは一度ご相談ください。
【借金】家族に知られずに債務整理できるのか?
「債務整理はしたいのですが、家族に知られたくありません」
「夫や妻に知られずに債務整理できますか?」
といったご相談を受けるケースがよくあります。
結論的に、ご家族に知られずに債務整理できます。ただし知られてしまうパターンがあるので、そういったパターンにはまらないように注意しなければなりません。
この記事では家族に知られずに債務整理する方法を弁護士が解説します。
1.債務整理を家族に通知される仕組みはない
家族に知られずに債務整理する方法はあります。現に多くの方がご家族に知られないまま債務整理を終えています。任意整理や個人再生だけではなく、自己破産を家族に知らせないこともできます。離れて暮らす親などの親族はもちろん、同居の配偶者に知られずに債務整理することも可能です。
債務整理を家族に知られないのは、端的に債務整理していることを家族に通知する仕組みがないからです。
自己破産などの債務整理をしても家族に知られるわけではないので、まずは安心しましょう。
2.家族に知られるパターン
債務整理が家族に知られるパターンもあります。以下でどういったケースなのかみてみましょう。
2-1.家族が連帯保証人になっている
1つはご家族が連帯保証人や保証人になっているケースです。
連帯保証人や保証人のついている借金を債務整理すると、債権者は連帯保証人などへ請求します。
すると家族は当然債務整理に気づくでしょう。こうなったら、同居の親族だけではなく離れて暮らしている親などにも債務整理を知られる可能性が高まります。
家族が連帯保証人や保証人になっていてどうしても債務整理を知られたくない場合には、任意整理を利用しましょう。
任意整理であれば、対象とする債権者を選べます。
連帯保証人や保証人のついている借金を外して任意整理すれば、連帯保証人などへ債務整理を知られずに済むのです。
任意整理でどうしても解決できない場合には、個人再生や自己破産することについてご家族に事前に伝えて、対処方法を話し合っておく必要があるでしょう。
2-2.家族に書類を見られる
債務整理が家族に知られるパターンの2つ目は、債務整理関係の書類を見られるケースです。
裁判所や債権者などから自宅へ届いた書類を見られて不審に思われ、家族に債務整理を知られてしまいます。
書類を見られないようにするには、弁護士に債務整理を依頼するのがベストです。
弁護士が債務整理に対応すると、債権者からの書類は全て弁護士事務所に届き、ご自宅には届かなくなるからです。
あとは弁護士からの書類にさえ気をつければ、債務整理を知られる心配はなくなるでしょう。
2-3.家族の通帳や保険証書などが必要になる
家族に債務整理を知られる3つ目のパターンは、家族の通帳や保険証書などが必要になるケースです。
たとえば家族名義になっていても破産者本人のお金が入金されている通帳や破産者のお金で保険料を支払った保険などがあると、裁判所や管財人から提出を求められる可能性があります。
2-4.家計収支表の作成で協力を求める
個人再生や自己破産をするときには、家計収支表を作成して提出しなければなりません。
普段家計管理をしておらず配偶者に任せている方の場合、家計収支表を作成するときに配偶者の協力が必要となるでしょう。
そのときに不審に思われて債務整理を知られる可能性があります。
3.借金を放置していると家族に知られる可能性が高くなる
家族に知られたくないからといって借金を放置するのはおすすめではありません。
借金を放置するといつまでも苦しい状況から逃れられませんし、家族に知られるリスクもより高くなります。
いずれは債権者からたくさんの督促状が届き、家族に見られて発覚してしまうでしょう。
それよりは早めに弁護士に依頼して債務整理に取り組むことが、スムーズに債務整理を成功させるコツです。
弁護士に債務整理を依頼すると、債権者からの督促が止まります。借金を滞納しそうで心配な方も、まずは一度弁護士までご相談ください。
【借金】個人再生で給与差押を止める方法
借金しているのに給料を差し押さえられると、ますます生活が苦しくなってしまいます。
一刻も早く差し押さえを止めたいと考えるのが当然といえるでしょう。
個人再生をすると給与差押を止められる可能性があります。ただしその手続きは複雑なので、間違えないように正確に理解しておく必要があります。
今回は債務整理の一種である個人再生によって給与差押を止める方法をお伝えします。借金を滞納して給料を差し押さえられている方は、ぜひ参考にしてください。
1.給与差押を止められるのは個人再生と自己破産
債務整理によって給与差押を止める方法はいくつかありますが、すべての債務整理で差押を止められるわけではありません。
債務整理には以下の3種類があります。
- 任意整理
債権者と直接交渉して借金の返済方法を決め直す手続きです。
- 個人再生
裁判所へ申立をして借金やその他の負債を大きく減額してもらう手続きです。
- 自己破産
裁判所へ申立をして借金やその他の負債を免除してもらう手続きです。
上記のうち、給与差押を止められるのは「個人再生」または「自己破産」です。任意整理では差押えを止められないので、給料を差し押さえられて困っている場合には個人再生または自己破産を検討しましょう。
2.個人再生で給与差押を止める方法
個人再生によって給与差押を止める方法を具体的にご説明します。
2-1.再生手続開始決定が出たら強制執行停止上申書を提出する
個人再生を申し立てると、裁判所で「再生手続開始決定」が出ます。
すると強制執行(差し押さえ)の停止を申し立てられる状態になるので「強制執行停止上申書」という書類を作成します。
裁判所から交付される「再生手続開始決定」の書類と「強制執行停止上申書」を、差し押さえを決定した裁判所(執行裁判所)へ提出すれば、強制執行を止めてもらえます。
このときの書類の提出先は、個人再生が行われている裁判所ではなく「給与差押を決定した裁判所(執行裁判所)」なので、間違えないように注意しましょう。
強制執行停止上申書と再生手続開始決定書を執行裁判所へ提出すると、裁判所が給与差押の手続きを中止します。すると、それ以後は給料が差し押さえられなくなります。
2-2.給料が全額支払われるわけではない
給与差押の中止決定があってもすぐに給料を全額受け取れるわけではありません。給料は会社に一時的に「プール」される状態となります。プールされた給料は、個人再生の手続きが終了した時点でまとめて債務者へ支払われます。
2-3.給料を全額受け取る方法
個人再生手続きが終了するまで給与の支払いを待てない方もいるでしょう。
その場合には、個人再生手続きを行っている裁判所へ「強制執行取消命令」を申し立てます。
取消命令が認められると、債権者の申し立てた差し押さえが解除されるので、給料が全額支払われるようになります。
ただし強制執行取消は常に認められるものではありません。以下の要件を満たす必要があります。
- 給与差し押さえにとって手取り額が減額されると生活に著しい支障が及ぶ
- 給与差押で手取り額が少なくなると、個人再生に必要な積立ができなくなって手続きに著しい支障が生じるおそれがある
強制執行取消命令は認められないケースも少なくありません。その場合には、個人再生手続きが終結するまで給料の受け取りを待つ必要があります。
3.給料差し押さえを止めたい場合は弁護士に相談を
給与差押を解除するために裁判所へ上申や申立を行う手続きは複雑です。専門知識のない方が行おうとしても、スムーズに進めにくいでしょう。給料を差し押さえられているなら、早急に弁護士へ対応を依頼すべきです。
【借金】自己破産で給与差押を止める方法
給与差押を受けている場合、自己破産や個人再生をすると差し押さえを止めることが可能です。借金を滞納して給料を差し押さえられてお困りの場合、早めに債務整理を行いましょう。
今回は自己破産によって給与差押を止める方法をお伝えしますので、差し押さえを受けている方はぜひ参考にしてみてください。
1.自己破産には同時廃止と管財事件がある
自己破産の手続きには「同時廃止」と「管財事件」の2種類があり、どちらになるかによって差し押さえの取り扱いが異なります。
1-1.同時廃止
同時廃止とは、財産がほとんどなく免責不許可事由もない人に適用される簡易な破産手続きです。申立後2~3か月程度で手続きが終了し、免責を受けられます。
1-2.管財事件
管財事件は原則的な破産手続きです。破産管財人が選任されて破産者の財産の換価を行って債権者への配当が行われます。
一定以上の財産のある人や免責不許可事由のある人が破産する場合に適用されます。
2.同時廃止の場合の給与差押え
同時廃止の場合、破産手続開始決定があると給与差押の手続きが中止されます。
破産者が給与差押を行っている裁判所(執行裁判所)へ破産手続開始決定のあったことを知らせると、給与差し押さえを止めてもらえます。
ただしこの場合、給与差し押さえは中止されるだけで失効するわけではありません。
給料が債務者に全額支払われるようになるのではなく、差し押さえ対象となる部分は会社にプールされ続けます。
プールされた給料は、免責が確定して手続きが終了したときに会社からまとめて支払われます。
破産手続開始決定があってから免責決定が確定するまでは3~4か月程度かかるケースが多いので、その間は給料から差し押さえ分を天引きされ続けると考えましょう。
同時廃止で給与差押を止める場合の注意点
自分で執行裁判所へ上申しなければならない
同時廃止の場合、破産手続開始決定が出ると給与差押が中止されます。ただし破産手続きが行われている裁判所と給与差押を決定した裁判所は異なります。差し押さえが中止されたことを「給与差押を行っている裁判所(執行裁判所)」へ知らせなければ差し押さえは止まりません。
同時廃止の場合、債務者が自分で執行裁判所へ破産手続開始決定があったことを知らせる必要があります。連絡しなければ差し押さえが続いてしまうので、早めに上申しましょう。
弁護士に申立を依頼していれば弁護士がすべて対応してくれるのが通常なので、自分で対応する必要はありません。
破産申立を急ぐ必要性が高い
同時廃止の場合、給与差押を中止してもすぐに全額受け取れるわけではありません。
免責決定が確定するまで会社にプールされ続けるからです。
破産の準備を始めてから給料差し押さえが完全に解除されて受け取れるまでには半年以上かかるケースもあります。
早めに全額受け取りたい場合、早めに弁護士に依頼して破産手続きを進めましょう。
3.管財事件の場合
管財事件の場合には、破産手続開始決定があると同時に差し押さえが失効します。
完全に失効するので、給料はすぐに債務者へ全額払われるようになります。
なお管財事件の場合、破産管財人が執行裁判所へ破産手続開始決定について上申してくれるので、債務者本人は何もしなくて良いケースが多数です。
4.任意整理では給与差押が止まらない
借金問題の解決には任意整理も頻繁に利用されます。しかし任意整理では給与差押を止められないので注意しましょう。
なお個人再生であれば給与差押を止められます。この場合、自己破産の同時廃止と同様に「一定期間プールされる」取り扱いになります。
まとめ
給与差押を受けてしまうと、手取り額が4分の3やそれ以下になってしまい、生活が苦しくなる方が多数です。早めに債務整理を行い、差し押さえを止めましょう。千葉県の秋山慎太郎総合法律事務所では借金問題の解決サポートに力を入れていますので、お困りの際にはお気軽にご相談ください。
【借金】個人再生の住宅ローン特則とは
個人再生には「住宅資金特別条項」という特則があります。通称「住宅ローン特則」とよばれます。
これを利用すると、住宅ローンの残っている家を守りながら他の借金のみを減額できます。
住宅ローンの返済が苦しくなって借金してしまっている方にはメリットの大きな制度といえるでしょう。
今回は個人再生の住宅ローン特則について解説しますので、住宅ローンやカードローン、キャッシングなどの借り入れのある方はぜひ参考にしてみてください。
1.住宅ローン特則とは
個人再生の住宅ローン特則とは、住宅ローンの返済は継続しながら他の借金を減額できるという個人再生手続きの特則です。
一般的に、個人再生を利用すると借金がすべて減額されるので、住宅ローンも減額対象になってしまいます。しかしそうなると抵当権を実行されて家が競売にかかってしまうので、家を守れません。
住宅ローン特則を利用すると、住宅ローンの返済を続けながら他の借金のみを減額できるので、家を守りつつ借金を整理できるのです。
たとえば以下のような状況であれば住宅ローン特則つきの個人再生を検討してみましょう。
- 住宅ローンの他にカードローンやキャッシングを利用していて返済が苦しい
- 住宅ローン返済が負担になってカードローンやクレジットカードの借り入れをしてしまった
- 借金があるけれども持ち家、マンションを失いたくない
2.巻き戻し効果
住宅ローン特則には「巻き戻し効果」があります。
巻き戻し効果とは、保証会社による代位弁済をなかったことにする効果です。
住宅ローンを長期にわたって滞納し続けると、保証会社が代位弁済をして一括払いを請求してきます。
そういった状況でも住宅ローン特則付きの個人再生を申し立てると、代位弁済をなかったことにして家を守ることが可能となります。
ただし巻き戻し効果を得られるのは「代位弁済後6か月」のみです。6か月を過ぎると住宅ローン特則を使えなくなるので、滞納しているなら早めに個人再生を申し立てましょう。
3.リスケジュール効果
個人再生の住宅ローン特則を利用すると、住宅ローンの返済方法をリスケジュールできる可能性もあります。
たとえば一定期間元本や利息の支払いを減額・猶予してもらったり、返済方法を柔軟に決め直したりできるのです。
今のままの返済方法が負担になる方にとっても住宅ローン特則は非常に役立つといえるでしょう。
4.競売を中止して家を守れるケースも
住宅ローンを払わないまま長期間が経過すると、家が競売にかかってしまいます。
個人再生を申し立てると、競売を中止させることも可能です。競売が止まっている間に個人再生の手続きを進めたら、家を失わずに済むメリットがあります。
住宅ローンを滞納して保証会社が代位弁済したり競売が開始したりしているなら、一刻も早く住宅ローン特則つきの個人再生を申し立てましょう。
5.住宅ローン特則を利用するための要件
個人再生で住宅ローン特則を適用するには、以下の要件を満たす必要があります。
5-1.住宅資金貸付債権(住宅ローン)である
借り入れは住宅ローンでなければなりません。住宅以外の一般のローンなどは対象になりません。
5-2.再生債務者(申立人)が所有する住宅である
申立人の所有住宅でなければなりません。ただし共有している物件であれば適用対象になります。
5-3.居住用の建物である
居住用の建物でなければ住宅ローン特則を使えません。ただし店舗権住居物件の場合、住居部分が2分の1以上であれば住宅ローン特則を使えます。
5-4.他のローンの担保にしていない
住宅を他のローンの担保にしていると住宅ローン特則を利用できません。たとえば不動産担保ローンを利用して2番以降の抵当権がついていると、住宅ローン特則を適用できない可能性があります。その場合、先に担保抹消の手続きをしなければなりません。
5-5.代位弁済後、6か月以内
保証会社が代位弁済している場合には、その後6か月以内に個人再生を申し立てる必要があります。
千葉県の秋山慎太郎総合法律事務所では借金トラブルの解決に力を入れて取り組んでいます。住宅ローンやその他の借金返済にお困りの方がおられましたらお早めにご相談ください。
【借金】個人再生の流れ
「個人再生はどのような流れで手続きが進むのですか?」
といったご質問を受けるケースがよくあります。
「個人再生で借金を減額したい」と思っても、流れや期間を把握できないと不安を感じるでしょう。
この記事では個人再生のスケジュールやかかる期間についてお伝えしますので、借金問題にお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
1.個人再生の流れ
個人再生の手続きの流れは「個人再生委員」が選任されるかされないかによって変わります。
以下では基本的に個人再生委員が選任されない場合の手続きの流れを確認していきます。
1-1.弁護士に相談する
個人再生を行いたい場合、まずは弁護士や司法書士に相談しましょう。
個人再生は非常に複雑で、法律知識のない方が自分で進めるのは困難だからです。現実に、ほとんどの方が弁護士または司法書士に依頼して申立をしています。
1-2.必要書類を集める
弁護士に個人再生手続きを依頼したら、依頼者は申立に必要な資料を集めなければなりません。住民票や給与明細書、源泉徴収票や預貯金通帳のコピーなど、集めなければならない書類がたくさんあります。2か月分の家計収支表も作成しなければなりません。
依頼先の弁護士に確認して、漏れのないように早めに資料を集めましょう。
1-3.申立をする
必要書類が揃ったら、弁護士が裁判所へ個人再生の申立手続きを行います。
手続きは弁護士が行うので、依頼者が対応する必要はありません。
1-4.再生手続開始決定がおりる
提出された書類に不備がなければ、裁判所で再生手続開始決定がおります。
なお個人再生委員が選任される場合には、再生手続開始決定と同時に個人再生委員も選任されます。申立人は速やかに個人再生委員と面談しなければなりません。
1-5.積立を開始する
個人再生手続きを申し立てたら、毎月の積立をしなければなりません。
積み立てる金額は、手続き後に返済を予定している金額です。
積立方法は裁判所によって異なる可能性がありますが、専用の口座を作ってそこに入金していく方法が典型です。
1-6.債権額を確定する
裁判所から債権調査が行われ、債権者から債権届が提出されます。申立人に異議があれば申述できます。これに対し、債権者側から評価申し立てが行われるケースもあります。このようにして再生債権の額を決定します。
1-7.再生計画案を提出する
債権額が決定されたら、定められた日までに申立人は再生計画案を提出しなければなりません。弁護士に依頼している場合、弁護士が弁済額の計算や再生計画案の作成、提出などすべて行います。
1-8.債権者から意見を聞く
小規模個人再生の場合には、再生計画案に反対意見がないか、裁判所が債権者へ確認します。反対する債権者は反対意見を書面で提出しなければなりません。
過半数の債権者(人数及び債権額)が反対すると、再生計画案は認可されなくなってしまいます。
なお給与所得者等再生の場合には意見確認の手続きがありません。間違いや不正がなければ、基本的に再生計画案は認可されます。
1-9.再生計画案が認可される
過半数の債権者が反対しなかった場合、再生計画案が認可されて裁判所が「再生計画認可決定」を下します。
1-10.支払いを開始する
再生計画認可決定が確定したら、多くの場合にはその翌月から支払を開始します。
一般的には3年間支払いが続くので、遅れないように返済をしていきましょう。
2.個人再生にかかる期間
個人再生にかかる期間はおおむね半年~10か月程度です。
3.個人再生をスムーズに進めるための工夫
個人再生をスムーズに進めるには、申立前に手早く資料を集めることが大切です。
資料が揃わないといつまで経っても申立ができないので、時間がどんどん過ぎてしまいます。
また裁判所からの照会事項には早めに応えましょう。依頼している弁護士から連絡があったらすぐに対応するのが得策です。
千葉県の秋山慎太郎総合法律事務所では借金トラブルの解決に力を入れています。個人再生をご検討の方がおられましたらお気軽にご相談ください。
【借金】浪費やギャンブルがある場合の自己破産における注意点、対処方法
- 高額な買い物、高級レストランや高額な旅行などの「浪費」
- パチンコ、パチスロ、競馬や競艇などの「ギャンブル」
こういった事情がある方が自己破産をするときには、注意が必要です。「免責不許可事由」に該当する可能性があり、手続きが「管財事件」になる可能性が高くなるからです。
今回は浪費やギャンブルがある場合の自己破産における注意点や対処方法をお伝えします。
1.免責不許可事由とは
浪費やギャンブルのある方が自己破産する場合、「免責不許可事由」についての知識をもっておくべきです。免責不許可事由とは、該当すると免責(借金などの負債を0にする決定)を受けられなくなるいくつかの事情をいいます。
免責不許可になると、せっかく自己破産をしても免責を受けられません。借金が全額残ってしまうので、破産する意味がなくなってしまうでしょう。
浪費やギャンブルをしていると、最悪のケースでは借金が全額残ってしまうので、申立前に慎重な検討を要するのです。
裁量免責されるケースも多い
ただし免責不許可事由があるからといって、すべてのケースで免責不許可になるわけではありません。
裁判所により「裁量免責」される場合が多いからです。
裁量免責とは、免責不許可事由があっても裁判所の判断で免責を認めることです。
浪費やギャンブルのある方でも、よほど悪質でない限りは免責を受けられるケースが多数となっています。
「浪費している、ギャンブルに手を出してしまったから自己破産をあきらめるしかない」と思い詰める必要はありません。
2.管財事件になる可能性が高い
浪費やギャンブルなどの免責不許可事由のある方が自己破産する場合には「管財事件」になる可能性が高い点にも注意すべきです。
管財事件とは、破産管財人が選任されて財産調査や換価などの手続きが行われる原則的な破産手続きです。免責不許可事由がある場合、特に財産がなくても管財事件が選択される例が多数となっています。免責不許可事由のある人をほんとに免責させて良いかどうか、管財人に観察させて裁判所が慎重に判断すべきだからです。
浪費やギャンブルのある人が自己破産を申し立てると、破産管財人が選任されて月に1回程度面会を求められるのが一般的です。その都度「まじめに生活できているか」「無駄遣いしていないか、ギャンブルに手を出していないか」などを確認され、家計収支表も提出しなければなりません。
免責不許可事由のある状態で自己破産を申し立てると、手続き的な手間は増大し、期間も長くかかるといえるでしょう。
2-1.管財事件になった場合のデメリットは「予納金」
管財事件になると、もう一つ大きなデメリットがあります。それは「破産管財人の予納金」が必要になることです。
破産管財人が選任される場合、最低でも20万円程度の管財予納金を用意しなければなりません。同時廃止であれば予納金は不要なので、管財事件になると大幅に破産に要する費用が上がってしまう結果になります。
免責不許可事由のある方が必ずしも予納金を払えるだけの資産を持っているとは限らないので、手元資金がない場合には「どのようにして予納金を払うべきか」検討する必要があります。
2-2.予納金を用意する方法
自己破産の管財予納金を用意するには、毎月積み立てる方法がおすすめです。
自己破産を弁護士に依頼すると、債権者への支払いが不要となります。支払わなくても督促も来ません。これまで借金返済にまわしていたお金を手元資金にできるのです。
そこで余裕のできた分、予納金や弁護士費用として積み立てましょう。積立が完了した時点で自己破産を申し立てれば、スムーズに予納金を払って自己破産の手続きを進められます。
千葉県の秋山慎太郎総合法律事務所では、自己破産の案件を数多く解決してきた実績があります。浪費やギャンブルがあって免責不許可事由が心配な方や自己破産にかかる費用に不安のある方は、お気軽にご相談ください。
【借金】借金を払えないときの督促の流れと対処方法
キャッシングやカードローンなどの借金を払えない場合、どのような流れで督促されるのでしょうか?
払わないで無視していると最終的には給料や預貯金などを差し押さえられる可能性もあるので、放置してはなりません。
今回は借金を払わないときの督促の流れや払えない場合の対処方法をお伝えします。
1.借金を払わない場合の特則の流れ
借金を払わないで放置していると、一般的に以下のような流れで督促されます。
STEP1 電話や郵便で督促される
支払期日に遅れると、まずは電話や郵便などで督促されるのが通常です。
郵便は、差し出し会社名を伏せてくれる業者と伏せてくれない業者がいます。
自宅に届いた郵便を家族に見られて借金を知られてしまう方も少なくありません。
STEP2 内容証明郵便で一括請求される
借金を払わないで2か月程度放置していると、内容証明郵便で一括払いの請求書が届くのが一般的です。
STEP3 代位弁済が起こる
銀行カードローンの場合、一括払いの請求書が届いても支払わずに放置していると、保証会社が代位弁済を行います。保証会社となっているのは消費者金融会社や信販会社などです。
それ以降は保証会社が新たな債権者となって支払いを督促してきます。
STEP4 債権譲渡される
借金返済しないで放置し続けていると、債権回収会社へ債権譲渡されたり債権回収を委託されたりするケースもあります。すると、債権回収会社が督促をしてくるようになります。
STEP5 訴訟や支払督促を申し立てられる
一括請求書が届いても支払いをせずに無視し続けていると、債権者から訴訟や支払督促を申し立てられるケースが多数です。
支払督促を無視していると、仮執行宣言にもとづいて給料や預金を差し押さえられる可能性があります。
訴訟を無視していると、支払い命令の判決が出てしまいます。
STEP6 差し押さえをされる
最終的には判決や支払督促の仮執行宣言などにもとづいて、給料や預金、保険などの差し押さえをされてしまうでしょう。
そのような事態になれば、平穏な生活が難しくなってしまいます。差し押さえが起こる前に借金問題を解決するための対応をすべきです。
いわゆるブラックリストについて
督促の問題とは異なりますが、借金を払わずに放置しているといわゆる「ブラックリスト」の状態になります。ブラックリストとは、信用情報に事故情報が登録されてローンやクレジットを利用できなくなった状態です。借金を2か月程度延滞していると、信用情報機関へ通知されてブラックリストになるケースが多数です。
いったん信用情報に傷がつくと、完済してもすぐにはブラックリスト状態が解消しません。
借金を払えないなら、2か月も放置せずに何らかの対応をとるべきです。
2.借金を払えない場合の対処方法
借金を払えないなら、以下のように対応しましょう。
2-1.財産を処分して支払う
まずは今ある財産を処分して払う方法を検討しましょう。
- 保険を解約する
- 車を手放す
- 時計などの動産を売却する
保険や車を処分すると、月々の固定費を抑える効果もあります。
2-2.周囲から支援を受けて返済する
親や友人、親族などから支援を受けて返済する方法もあります。
周囲の親族で資力がある方がいれば、相談してみるのも良いでしょう。
ただし支援を受ける場合、後にトラブルを防ぐために借り入れるのか贈与を受けるのかはっきりさせておきましょう。
2-3.債務整理する
どうしても自力で解決できない場合には、債務整理をしましょう。
債務整理には任意整理、個人再生、自己破産の3種類の手続きがあり、いずれか適切な方法を選択すればたいていの借金問題を解決できます。
債務整理をした場合にもブラックリストの状態になりますが、手続きご相談5~10年程度でブラックリスト状態は解消されます。困ったときにはできるだけ早めに債務整理の手続きをとるのが得策といえるでしょう。
千葉県の秋山慎太郎総合法律事務所では、借金トラブルに積極的に取り組んでいます。お困りの方がおられましたら、お気軽にご相談ください。
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