遺産相続のトラブルは資産家だけの話ではありません。ごく普通の、一般的な家庭にも起こり得るトラブルです。しかし、こうしたトラブルは事前に対策を立てておくことで回避できるものも多くあります。
そこで今回は、遺産相続トラブルを回避するための予防策についてご紹介しましょう。
遺産相続ではどんなトラブルが多い?
多くの場合、遺産相続のトラブルは「不公平さ」から発生します。
法定相続分どおりに分けるとすると、同居や介護をして最期まで面倒をみた人と、普段は遠くにいて分割協議にだけ姿を現す人が同じ取り分では、前者の立場の人が納得いかないのは当然と言えるでしょう。
また、こうした相続人同士の取り分の不公平感の他にも、特定の相続人が遺産を独り占めしている、両親が相次いで亡くなる二次相続、不動産など分割が難しい遺産の分割協議、婚外子など思わぬ人物の登場など、トラブルのもとはたくさんあります。
遺産相続でトラブルが続出している背景には、もう一つ、遺言書の作成がされていないということがあります。
遺言書がないと、被相続人の死後に相続人たちが話し合って遺産の分け方を決めることになるため、お互いの主張がぶつかり合ってもめることになるのです。
法律で定められている遺産の相続のしかた
遺言で相続の方法について指定されていない場合は、法律に則って遺産を分割することになります。
この取り分も民法に規定されており、被相続人の配偶者が遺産の2分の1を、残り2分の1を子供達が均等に分けます。
相続の順位は、第1順位が子供、第2順位が被相続人の両親、第3順位が被相続人の兄弟姉妹です。
遺言書を作成している場合は、法律のとおりに分ける必要はなく、遺産分割協議をおこなう必要もありません。とはいえ、遺言書があっても事情があってそのとおりに分割することが難しい場合は、相続人同士で遺産分割協議を行うこともできます。
相続トラブルを避ける5つの対策
遺産相続トラブルを起こさないためには、第一に、生前に被相続人と相続人がしっかりコミュニケーションを取っておかなくてはいけません。どのような遺産があり、どのように相続してもらいたいのか、相続人同士も説明を受け、納得しておけばトラブルになりにくいものです。
第二に、遺産の目録を作っておくこと。どのような遺産があるのか把握しておかなくては、どう分けるか話し合うこともできません。
第三に、相続税の対策をしておくこと。相続税は相続人全員で連帯責任を負います。払えない人がいると、一旦他の相続人が負担することになるので、相続税がどういうものなのか、いくら発生するのか確認しておきましょう。
第四に、法定相続人の数の確認。いざ相続というときになって婚外子が発覚するなどの可能性があります。婚外子も認知されていれば実子として平等に遺産をもらう権利がありますので、誰が相続人になるのか調べておきましょう。
第五に、法律上はどのような分け方になるのか、予め知っておくことが有用です。その上で生前に被相続人を交えてよく話し合った方が、思わぬトラブルは回避できるでしょう。
分け方の不公平感がトラブルのもとですから、予めどう分けるか全員で話し合っておくことが肝心です。ここでご紹介したことを参考にして、遺産相続に関しては早いうちから準備しておくようにしましょう。